☆相変わらず、元気に映画見てまっせーという感じで京都映画祭の中間報告2です。京都映画祭も残るは二日。クロージングセレモニーは私見れません(クソ)ので明日が私にとっては最終日になります。この一週間、本当に映画しか見てないです。まあ年に何回もないことですしね、ねえ?(誰に言ってんだか)

☆22日はお休み。職場で仕事をしていました。弟が見に行っておりました。祇園会館で行なわれた文化庁のシンポジウム。人集まるんかいな、と密かに心配しておりましたが超満員で延長までしていたそうです。ゲストは崔洋一(日本映画監督協会理事長らしい)とゆとり教育の寺脇部長。崔洋一の人気もさることながら、京都市の副市長も出てますし、動員はかかってるでしょう。でも地域からの映画作りって凄く興味があって、実は行きたかったんですが、さすがに一週間丸ごと休むというのはねえ。。まだ二年目だしねえ、私も。

☆23日秋分の日も私は映画だ。前田珈琲本店でフレンチトーストで脳みそに砂糖を供給して京都文化博物館に出発。大入り満員の中で「特急三百哩」を活弁つきで鑑賞する。後ろの方で山根貞男氏がいるのを確認する、、って前説もやってたけど。1928年に作られたサイレント映画で鉄道省バックアップの蒸気機関車が走りたおすという触れ込みだったが最初で最後に少し走るだけであとは退屈なメロドラマというケッタイな映画であった。

☆続けて「父と暮らせば」の黒木和雄監督によるトーク。題して「山中貞雄監督を語る」。9月17日の山中貞雄の命日に山中貞雄を偲ぶ会という催しが京都のお寺で毎年行なわれている。黒木監督は山中貞雄の甥の加藤泰監督に師事しており、山中に興味を持って伝記映画を企画したこともあるらしい。私も山中貞雄の「人情紙風船」「丹下左膳余話百万両の壺」(DVDも買った)が大好きなので非常に面白いトークであった。聞き手はシネ・ヌーヴォの景山さんだった。山中貞雄の姪、原田道子さんからもお話がああった。黒木監督の映画は実はそんなに好きではないが、山中監督の伝記映画はぜひ見てみたいと思う。22年越しの企画だそうで実現して欲しいな。黒木監督の「これだけ凄い監督を一兵卒として殺してしまった戦争というものを私は許すことができない」という言葉が印象に残った。「丹下左膳余話百万両の壺」を25歳で撮ってしまった監督が29歳で死ななかったら戦後にどんな映画を撮ってくれたんだろう。戦後映画史もきっと変わったものになったと思う。そう思えるほど、遺された三作品はいい作品なのだ。

☆続けて祇園会館にて行なわれた座談会「ちゃんばら映画はこう作る」を見に行く。出演は福本清三、栗塚旭、殺陣師の上野隆三のお三方で司会は中島貞夫。出演者が刀をぶら下げながらでてくるのだから、期待してしまうではないか。待ってましたの立ち回り。上野氏が型を丁寧につけていって、実演。栗塚氏に斬られて、しっかり海老ぞりで死んでいく福本氏に会場全体から拍手が巻き起こるという大変楽しい時間であった。大友柳太朗は構えが大きく、胴払いするつもりが鼻の下を払ってしまった話とか河原崎長一郎は自分で目の下を斬ったことがあるとかの思い出話も楽しかった。拓ボンの話も面白かった。川谷拓三と志賀勝は「蒲田行進曲」のヤスじゃないけど危険手当がつく、危険なスタントもよくやってたらしい。その危険手当を飲み代にしていた。この時代の大部屋俳優の無茶ぶりはすごい。スタントの練習で撮影所の3階の窓から飛び降りたという逸話も残っている。下にはマットは引いてあるが危なすぎる。これもやはりやってたのは志賀勝と川谷拓三(笑)。拓ボンは中島貞夫の映画で火だるまになったり、高所恐怖症なのに忍者のスタントに志願して上にあがった途端に泣き出して代役を福本さんがやったりとかいろいろあったらしい。福本さんは拓ボンと一緒に住んでいた時期もあった。

☆後半は時代劇についての意見が交わされた。時代劇の今後はどうなっていくのか。19日の座談会で品川隆二が「昔のような時代劇はテレビでは成立するが映画に撮るとお客が見に来てくれない、自分が理想と思う時代劇はもう映画では無理だと思う」という感じのことを語っていたがこれはもう本当に深刻な問題でスタッフもキャストも規模が小さくなってきている。でも新しい人を入れてもメシが食えるかわからないという問題に直面してしまう。上野氏にしても福本氏にしてもその危機意識というのは大変高かった。福本氏は「ラストサムライ」撮影参加の経験から「聖林の凄いところは我々よりも本格的な時代劇映画でも簡単に撮ってしまうところで、馬の扱いや立ち回りについても本当によく勉強している。私は北野武監督の座頭市はそんなに好きではないが、ヒットしているということはやはりそれなりの魅力があるのだろう。まずはお客さんが入る映画を撮らないと。それには時代劇の変化も必要だろう」というような感じのことを熱弁しておられた。本当にこの人たちは時代劇が好きなんだなあ、、と思える有意義な座談会であった。

☆京極弥生座にて「座頭市 血煙り街道」を鑑賞後にダッシュで祇園会館にトンボ返り。ここ数日、新京極から祇園までを幾度往復したことか。大阪芸大出身で「燃えよ!ピンポン」という大脱力映画を撮った三原光尋監督の最新作「村の写真集」。淡々とテンポよく進められてじっくりと見ることができた。海東健はなかなかよくなったなあ。泣くシーンもよかったし。宮地真緒も可愛かったし。

☆24日。今日も朝から映画。祇園会館にて「幕末残酷物語」「丹下左膳」(バンツマバージョンの松竹映画)東映オールスターの「丹下左膳 決定版」の3本を見る。丹下左膳ってのは何回も映画化されてて一番有名なのはやはり大河内傳次郎の「セイはシャンゲ、名はシャゼン」が有名なんだが戦前からアラカンとか個性的な脇役で有名だった団徳磨に月形龍之介にバンツマ、水島道太郎、丹波さん、錦之助、そして大友柳太朗といろんな人がやっている。実録華やかなりし頃には文太さんがやるという話もあったと言う。「丹下左膳 決定版」は天然色カラー(東映スコープ)を生かした綺麗で華やかな映画だった。今まであんまり見てなかった東映時代劇だが実に面白い。やはり映画は東映と大映だな。「幕末残酷物語」も新撰組の裏面史みたいなドラマで幕末に翻弄されていく若者を描いており、非常に面白い。

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