今日は「機関車先生」。主演はドラマで活躍中の坂口憲二。映画は「新・仁義なき戦い/謀殺」でチョイ役のみ。立小便のあとに鼻歌交じりに単身、事務所に突っ込んで拳銃をぶっ放す鉄砲玉で出演時間は1分もないのですが、その暴れっぷりがなかなかよかった。で、映画の二本目は何と主演。しかも、口が聞けないという、難しい役です。無茶しよる。

 時代設定は一昔前になります。瀬戸内海に浮かぶ小島に一人の青年がやってきた。代用教員としてやってきた吉岡誠吾(坂口憲二)だ。彼の母親(寺島しのぶ)はこの島の出身だった。彼女の友人であり、島にたった一つしかない小学校の校長である佐古(堺正章)が呼んだのだ。

 島に新しい先生がやってくる。島は新しい先生の噂で持ちきりであった。生徒達も期待と不安でいっぱいであった。やがて校長と共に吉岡先生が現れた。吉岡先生は黙って一礼すると黒板に「ぼくは話すことができません」と書いた。吉岡先生は剣道の試合の事故で声を失ったのだ。それ以来、彼は教師を休んでいた。佐古に呼ばれた時、彼はこれを最後に教職から去るつもりだったのだ。驚く子供達だったが、先生の大きくて強そうな雰囲気から「機関車先生」というあだ名をつけた。「口をきかん」という意味もあるあだ名だった。こうして機関車先生と7人の子供達の生活が始まった。。

 当初は戸惑った子供達だったが、吉岡先生の人柄に打たれて徐々に絆を作っていく子供達。島の実力者である網元の美作(伊武雅刀)は「口のきけん先生をよこすとは、島を馬鹿にしとる」と怒るのだが、島での吉岡先生の評判も悪くなかった。しかし、ある日悲しい事件が島を襲う。突然起こった嵐で漁師が遭難したのだ。遭難した漁師の息子は生徒の修平だった。自暴自棄になる修平を吉岡は何とか慰めようとするのだが。。

 私はあんまり映画を見て号泣するということはないのですが、この映画は本当にボロボロと涙を流してしまった。本当に素直にいい話なのである。そりゃ、少しはベタすぎると思うよ。でも3回ぐらい、本当に泣いてしまった。割りと長い映画なんだが、もう少し長くてもよかったと思うほど、どっぷりとハマってしまった。

 子供達の演技がいいのである。少し、オーバーアクションなきらいはあるが、演技に素直に感情をぶつけているところに非常に好感が持てた。修平の「親がおらん子でも立派に育つということを思いしらせてやってくれ」というシーンで一番泣いた。絵が好きな少女もよかったな。子供達が先生を慕っているところがよく出ていた。坂口憲二は口が聞けない設定なので、感情を表情や仕草で表せねばならない。芝居も受けが中心で、難しかったと思う。ただ、彼の見た目もあるだろうが、吉岡先生の素直で実直そうな性格がよく出てた。本当によく頑張りました。

 マチャアキは演技うまいとは思ってたが想像以上に素晴らしい演技でびっくりした。植木等、いかりや長助を引くまでもなく、エノケン、伴淳の時代からお笑いから入った人がびっくりするような演技を披露することがある。マチャアキもやはりそうで、しみじみとしたいい演技である。おもむろに戦地に旅立った自分の教え子の話しを始めるシーンが印象的だった。それから短い出番だったが、笑福亭松之助も味わい深い。

 監督は「ヴァイブレータ」で新境地を開いた廣木隆一。廣木がこんな作品を撮るなんて思わなかった。「不貞の季節」「理髪店主の悲しみ」「美脚迷路」(DVDで早く出て欲しい!)とアブノーマルな映画ばかり撮っている印象があったのだが、やはりこの人も職人。大塚寧々をきっちりとエロ満開で撮りあげてくれたけどね。マニアックな作品から泣かせる映画まできっちり撮って幅の広さを見せ付けました。寺島しのぶの使い方もいい。

監督:廣木隆一 脚本:及川章太郎、加藤正人 撮影:鈴木一博 美術:重田重盛 音楽:国吉良一 主題歌:林明日香
出演:坂口憲二、倍賞美津子、堺正章、笑福亭松之助、伊武雅刀、大塚寧々、千原靖史、徳井優、逸見太郎、佐藤匡美、吉谷彩子、迫英雄、鶴田さやか、小村裕次郎、森田直幸、中山麻聖、小市慢太郎、真由子、野上正義、岡崎礼、神保悟志、寺島しのぶ、石田晃一、友川文絵、小井沼愛、石川眞吾、太田琴音、松田昴大、杉山りん、高橋勝男

☆「誰も知らない」ですが、どうも書き足りない、もやもやしたもんがあるんで後日、追記いたします。

☆私信 浜乙女様
どうもはじめまして。「チームアメリカ」は私も期待しております。「サウスパーク」は大ファンで全部見ております。日本ではひっそりとミニシアターのみの公開になりそうですが、今から楽しみです。

「AIKI」は脚本がよかったですね。ラストの爽やかな終わり方は拍手ものでございました。割りと深刻なテーマを取り扱った映画ですが加藤晴彦の軽い感じが生きてました。勃起して大喜びするシーンとかよかったです。

これからもよろしく。

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