今日紹介するのは「キューティー・ハニー」。先週の金曜日に有休などを取りあそばして、見に行ってきたわけでございます。監督は「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」の監督にして安野モヨコ(正直、吃驚したぞ)を嫁にした庵野秀明。「新世紀エヴァンゲリオン」と言えば一昔前にアニメファンに留まることなく、多くの映画ファン、いや多くの青少年を魅了した作品で当時、高校から大学に上がろうとしていた私もやはりその一人でした。当時、映画を見に行く習慣など持ちえなかった私でしたが、熱狂するファンでごった返す、今は無き京都朝日シネマで立ち見で見ておりました。(ちなみにこれが朝日シネマデビューになった)「ふしぎの海のナディア」は私が小学生6年生の時にやっていた作品ですが、実はこれも大好きな作品で毎週見てましたね。私が熱心に見てたアニメというのはこれとあとは「魔神英雄伝ワタル」ぐらいでございます。
「新世紀エヴァンゲリオン」って言う作品は本当に様々な作品にインスピレーションを与えてその影響というのは計り知れないもんで「キャシャーン」とか「バトルロワイアル?」みたいな作品もその影響を受けている。「THE END OF EVANGELION」(当時は夏エヴァって言い方していた)は人間の内面の踏み込みたくないところまで踏み込んで描ききった、見ようによってはすっごく悪趣味で厭な作品なんだが、上映時間通してドキドキさせるような作品でもうただただ、圧倒された。アニメファンには評判が悪かったんだよね、これ。でもアニメをあんまり見てないような人には圧倒的に支持された。深作欣二も夢中になった一人で、ちょっとの出番で死んでしまうような登場人物のその心象風景を丁寧に(ある意味、必要以上に)描いて見せた。「エヴァ」の声優だった宮村優子を出演させたのもその一つ。
が、当の庵野秀明自身はテレビで全ての力を使いきり、立て直るのに半年ほどかかったらしい。テレビの「エヴァ」は低視聴率で終わり、放送終了後に口コミで流行りだしていた。私も見たのは放送終了後に友人から借りたビデオでした。18話が過ぎたあたりから、セックスシーンは描くわ、残虐シーンのオンパレードでメチャクチャなストーリーになってわけのわからん終わり方したのだ。このラストがなかったらこれほどこの作品は持ち上げられずに、ただのアニメファンの作品に終わってただろう。当時、私はラジオで庵野秀明のインタビュー(林原めぐみのラジオだったと思う)を聞いているが「別のラストを考えるつもりはない。」「アニメファンってのは他者との接触をしたがらない、世の中から逃げている人たちなんです。だからもっと世の中に出ようと。僕が言いたかったのはそういうことなんです」みたいなことを言っていた。(うろ覚えなんで、少しニュアンスは違うと思うがこんな感じだった。本人曰く、この時期は壊れてたらしい)その監督の久々の新作が「キューティー・ハニー」。原作のファンでもない私にとっては庵野秀明がどんな映画を撮るのか、それが興味であった。
はじめに書いてしまうとお粗末な作品だし、見てて恥ずかしくなるシーンも多い。が、とにかく面白い。「キューティー・ハニー」も他の永井豪の作品の例に漏れず、実は複雑で一筋縄には行かない題材なんだが、そこを勢いとテンポのよさですっ飛ばしてしまう爽快感がある。庵野監督が「エンターテインメントに徹した作品」に語ったように非常に口当たりがよくて、楽しんで見ていられる作品になっている。73年にテレビで放送されたアニメの主題歌を映画の主題歌に使って、「ファイナルファンタジー」の主題歌を歌った倖田來未に歌わせたのも成功だった。番組を知らない私でもあの歌は何となく知っていたし、また耳に残るのだ。倖田來未もよくやったと思う。
ハニーを演じたのは佐藤江梨子、サトエリである。この人も割りと息が長い。バラエティとかのお仕事もしっかりこなしているが、NHKの映画の番組なんかもやってる。小津特集では大杉漣と対談までしてた。なんでサトエリなんかさっぱりわからんかったが割りとそつなくこなしていた。実はとっても器用なアイドルなんかもしれん。この映画でも様々なコスプレをこなして、相当にアホアホなことをやらされてるがよく頑張ってる。本人が作品を楽しんでいるのがわかって、微笑ましい気分になる。ただ、あんまりエロくはない。胸をゆさゆさ揺らして、相当にセクシーなコスプレもあるのだが、(入浴シーンとかもあるし、冒頭にすんげえシーンもあるけど)エロさというのは感じない。健康的すぎるんだな。そこがまあ彼女の魅力の一つなんだと思うけど。
友人役に「すいか」の市川実日子。事件を追う、プライドの高い刑事を演じているのがこの人はもうめちゃくちゃ演技がうまいのでケチのつけようがない。ふとした時に見せる可愛い仕草も大いにグーだ。逆に全然だったのは村上淳。この人の真骨頂は「心優しい不良」にあるので、こういう調子のいい男の役はもう違うのだ。登場が多い割にはちっともストーリーにかめずに終わってしまった。友情出演で出た(誰への友情だ)松田龍平も然りである。
特撮の醍醐味はやはり「赤影」の汐路章を例に出すまでもなく、悪役である。悪の組織である「パンサークロー」のキャスト陣はもう素晴らしすぎる。まず「キャシャーン」でも断然目立っていた及川光博のハマリ具合は最高であった。槍に仕込んだマイクで一曲歌ってから戦いに挑むのはもう、アホらしすぎて完全にギャグなんだが彼がやるとビシッと決まるのだ。彼以外にはできない役である。片桐はいり、小日向しえ、新谷真弓、手塚とおる、篠井英介もよくこんな役やったなーと思う奮闘ぶり。片桐はいりは特撮向きやな。ハマリすぎ。それから台詞が一つもねえ京本政樹なんだが、また爆笑もんだ。これはまあ見てのお楽しみ。
少し前だったが、ジプリの新作を庵野が撮るという噂があった。彼は「風の谷のナウシカ」の製作にも参加しているし、宮崎駿が後継者に考えているという噂もあった。とにかく、目が離せない人で今後はアニメに行くのか、実写に行くのか、よくわからん。この映画もアニメと特撮がちゃんぽんになってて、そうした問いをはぐらかせてるようにも見える。素直に楽しみのが一番だろうね。あ、子どもに見せたら喜ぶだろうし、親子でも十分にOKですよ。では、じゃっ。(この仕草が一番かわいかった)
監督:庵野秀明 脚本:庵野秀明、高橋留美 原作:永井豪 主題歌:倖田來未 監督補:尾上克郎、摩砂雪 撮影:松島孝助 美術:佐々木尚 キャラクターデザイン:寺田克也、安野モヨコ、出渕裕、すぎむらしんいち、貞本義行 特殊メイク:原口智生 特撮監督:神谷誠
キャスト:佐藤江梨子、市川実日子、村上淳、京本政樹、片桐はいり、小日向しえ、及川光博、新谷真弓、手塚とおる、篠井英介、永井豪、加瀬亮、松尾スズキ、岩松了、吉田日出子、嶋田久作、佐藤佐吉、しりあがり寿、田中要次、森下能幸、倖田來未
「新世紀エヴァンゲリオン」って言う作品は本当に様々な作品にインスピレーションを与えてその影響というのは計り知れないもんで「キャシャーン」とか「バトルロワイアル?」みたいな作品もその影響を受けている。「THE END OF EVANGELION」(当時は夏エヴァって言い方していた)は人間の内面の踏み込みたくないところまで踏み込んで描ききった、見ようによってはすっごく悪趣味で厭な作品なんだが、上映時間通してドキドキさせるような作品でもうただただ、圧倒された。アニメファンには評判が悪かったんだよね、これ。でもアニメをあんまり見てないような人には圧倒的に支持された。深作欣二も夢中になった一人で、ちょっとの出番で死んでしまうような登場人物のその心象風景を丁寧に(ある意味、必要以上に)描いて見せた。「エヴァ」の声優だった宮村優子を出演させたのもその一つ。
が、当の庵野秀明自身はテレビで全ての力を使いきり、立て直るのに半年ほどかかったらしい。テレビの「エヴァ」は低視聴率で終わり、放送終了後に口コミで流行りだしていた。私も見たのは放送終了後に友人から借りたビデオでした。18話が過ぎたあたりから、セックスシーンは描くわ、残虐シーンのオンパレードでメチャクチャなストーリーになってわけのわからん終わり方したのだ。このラストがなかったらこれほどこの作品は持ち上げられずに、ただのアニメファンの作品に終わってただろう。当時、私はラジオで庵野秀明のインタビュー(林原めぐみのラジオだったと思う)を聞いているが「別のラストを考えるつもりはない。」「アニメファンってのは他者との接触をしたがらない、世の中から逃げている人たちなんです。だからもっと世の中に出ようと。僕が言いたかったのはそういうことなんです」みたいなことを言っていた。(うろ覚えなんで、少しニュアンスは違うと思うがこんな感じだった。本人曰く、この時期は壊れてたらしい)その監督の久々の新作が「キューティー・ハニー」。原作のファンでもない私にとっては庵野秀明がどんな映画を撮るのか、それが興味であった。
はじめに書いてしまうとお粗末な作品だし、見てて恥ずかしくなるシーンも多い。が、とにかく面白い。「キューティー・ハニー」も他の永井豪の作品の例に漏れず、実は複雑で一筋縄には行かない題材なんだが、そこを勢いとテンポのよさですっ飛ばしてしまう爽快感がある。庵野監督が「エンターテインメントに徹した作品」に語ったように非常に口当たりがよくて、楽しんで見ていられる作品になっている。73年にテレビで放送されたアニメの主題歌を映画の主題歌に使って、「ファイナルファンタジー」の主題歌を歌った倖田來未に歌わせたのも成功だった。番組を知らない私でもあの歌は何となく知っていたし、また耳に残るのだ。倖田來未もよくやったと思う。
ハニーを演じたのは佐藤江梨子、サトエリである。この人も割りと息が長い。バラエティとかのお仕事もしっかりこなしているが、NHKの映画の番組なんかもやってる。小津特集では大杉漣と対談までしてた。なんでサトエリなんかさっぱりわからんかったが割りとそつなくこなしていた。実はとっても器用なアイドルなんかもしれん。この映画でも様々なコスプレをこなして、相当にアホアホなことをやらされてるがよく頑張ってる。本人が作品を楽しんでいるのがわかって、微笑ましい気分になる。ただ、あんまりエロくはない。胸をゆさゆさ揺らして、相当にセクシーなコスプレもあるのだが、(入浴シーンとかもあるし、冒頭にすんげえシーンもあるけど)エロさというのは感じない。健康的すぎるんだな。そこがまあ彼女の魅力の一つなんだと思うけど。
友人役に「すいか」の市川実日子。事件を追う、プライドの高い刑事を演じているのがこの人はもうめちゃくちゃ演技がうまいのでケチのつけようがない。ふとした時に見せる可愛い仕草も大いにグーだ。逆に全然だったのは村上淳。この人の真骨頂は「心優しい不良」にあるので、こういう調子のいい男の役はもう違うのだ。登場が多い割にはちっともストーリーにかめずに終わってしまった。友情出演で出た(誰への友情だ)松田龍平も然りである。
特撮の醍醐味はやはり「赤影」の汐路章を例に出すまでもなく、悪役である。悪の組織である「パンサークロー」のキャスト陣はもう素晴らしすぎる。まず「キャシャーン」でも断然目立っていた及川光博のハマリ具合は最高であった。槍に仕込んだマイクで一曲歌ってから戦いに挑むのはもう、アホらしすぎて完全にギャグなんだが彼がやるとビシッと決まるのだ。彼以外にはできない役である。片桐はいり、小日向しえ、新谷真弓、手塚とおる、篠井英介もよくこんな役やったなーと思う奮闘ぶり。片桐はいりは特撮向きやな。ハマリすぎ。それから台詞が一つもねえ京本政樹なんだが、また爆笑もんだ。これはまあ見てのお楽しみ。
少し前だったが、ジプリの新作を庵野が撮るという噂があった。彼は「風の谷のナウシカ」の製作にも参加しているし、宮崎駿が後継者に考えているという噂もあった。とにかく、目が離せない人で今後はアニメに行くのか、実写に行くのか、よくわからん。この映画もアニメと特撮がちゃんぽんになってて、そうした問いをはぐらかせてるようにも見える。素直に楽しみのが一番だろうね。あ、子どもに見せたら喜ぶだろうし、親子でも十分にOKですよ。では、じゃっ。(この仕草が一番かわいかった)
監督:庵野秀明 脚本:庵野秀明、高橋留美 原作:永井豪 主題歌:倖田來未 監督補:尾上克郎、摩砂雪 撮影:松島孝助 美術:佐々木尚 キャラクターデザイン:寺田克也、安野モヨコ、出渕裕、すぎむらしんいち、貞本義行 特殊メイク:原口智生 特撮監督:神谷誠
キャスト:佐藤江梨子、市川実日子、村上淳、京本政樹、片桐はいり、小日向しえ、及川光博、新谷真弓、手塚とおる、篠井英介、永井豪、加瀬亮、松尾スズキ、岩松了、吉田日出子、嶋田久作、佐藤佐吉、しりあがり寿、田中要次、森下能幸、倖田來未
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