妻夫木&池脇「ジョゼと虎と魚たち」〜でも、まあ、それもまたよしや〜
2003年12月30日 今年最後に紹介しますのは「ジョゼと虎と魚たち」。映画には、見終わった時には傑作と思っても時間が経つにつれて印象が薄れる映画(今年を例にとると「マトリックスレボリューションズ」と「シカゴ」がそう)と時間が経っても胸にズンと突き刺さったままな映画があります。「ジョゼと虎と魚たち」はまさにそんな映画で映画から一日たった現在でも何だか私は落ち着かないというか、寂しいというか不思議な気分になっています。多分、もう一度見に行くと思います。
深夜の雀荘。学生アルバイトの恒夫(妻夫木聡)は雀荘の客から不思議な話を聞く。明け方にボロボロの乳母車を押す変な婆さんがいる。あの乳母車の中には何が入っているのか。もしかして運び屋なんかじゃないか?いや死んだ子供のミイラが入っているんだ、と深夜のうだうだ話は続く。明け方、いつものようにマスターの愛犬を連れて散歩していた彼は坂の上から転がってくる乳母車を見かけた。坂の上で婆さんが何か言っている。中を覗くと包丁を握り締めた少女が。話に出ていた乳母車だ。
少女(池脇千鶴)は老婆(新屋英子)の孫で足が不自由で歩けない。老婆は孫の存在を隠しており、誰もいない明け方に少女を乳母車に乗せて散歩しているのだ。彼は老婆に連れられて少女が作る朝ごはんをご馳走になる。彼女に名前を問うと面倒くさそうに「ジョゼ」と名乗った。無愛想でおばはんみたいな子だが、恒夫は興味を抱いてちょくちょく通い始める。彼女は本好きで老婆が拾ってきた本を繰り返し読んでいた。恒夫は彼女が読みたいと言っていた、フランソワーズ・サガンの「一年ののち」の続編である「すばらしい雲」を古本屋で探し出し、彼女にプレゼントする。「ジョゼ」という名前はこの本の主人公の名前なのだ。
世間様に迷惑かけたくない、と隠れるように生きていた老婆だが恒夫の計らいで家が改築されることとなった。老婆は近所にばれることを恐れて(実は近所は皆、ジョゼの存在を知っている)、押入れにジョゼを隠してしまう。ある日、ジョゼの家に恒夫を訪ねて恒夫の彼女の香苗(上野樹里)が来る。押入れの中で二人の会話を聞くジョゼ。その日の夜、ジョゼは彼に「帰れ!」と叫ぶ。老婆は「あの子はこわれもんや。あんたみたいなお人にどないにできるもんやない」と二度と来ないように告げる。
それから数ヵ月後、老婆が亡くなったことを知った恒夫は二度と来ることはないと思っていたジョゼの家に向かう。ジョゼは静かに恒夫を迎えたが。。
監督は犬童一心。池脇千鶴のデビュー作となった「大阪物語」の脚本を書き、監督は池脇主演の「金髪の草原」に引き続き、二本目。「金髪の草原」は本当に池脇千鶴の魅力全開で悪くはないんだが、あんまり好きではなかった。池脇千鶴は本当に演技がうまいんだが、映画運、ドラマ運があんまりよくないような気がする。「大阪物語」「金髪の草原」はよかったけど「化粧師」「猫の恩返し」はつまらなかったし、ドラマの「ほんまもん」に至っては脚本がひどすぎて、可哀想とさえも思った。今度の映画で演じたジョゼは本当に難しい役で、これは池脇千鶴の代表作になると思う。
ジョゼは足が悪くて歩くことができない。でも世の中のことには人一倍関心を持っているし、色々なことをしてみたいと考えている。でも老婆は彼女を「こわれもんにはこわれもんの分があるやろ」と世間にも彼女のことを隠してる。そこに恒夫が現れた。。彼女は彼に連れられて色々な経験をしていきます。その意味では恒夫は彼女にとっての救世主だったのです。そしてあのラスト。あまりにもあっけらかんなラストなのですが、心にズンと沁みました。なんかどうしようもない。
脚本を書いたのは渡辺あやという岩井俊二のお弟子さん。島根県の方で雑貨屋やりながら脚本を書いているらしい。この人の名前はチェックしておきましょう。東京、大阪では連日、大入りで立ち見が出るほどの盛況になっています。みなみ会館でも半分以上入ってました。(とても珍しい)映画の評判もさることながら、妻夫木&池脇人気に田辺聖子ファンに日本映画ファン(これが一番少ない)の支えられてのヒットだと思います。。。いや無論、アレの評判もあるんですけど。池脇の乳首ですけどね。私は別にファンじゃないけど、あれはあかんやろ。。それと完成記者会見の妻夫木、池脇のはしゃぎっぷりもなんか気になった。デキてるんとちゃうか?何にせよ、この年末一番のお薦めです。この年末年始、暇なあなたはぜひ。年末年始終わっても見てくださいね。
監督:犬童一心 脚本:渡辺あや 原作:田辺聖子 プロデューサー:久保田修、小川真司 音楽:くるり
出演:妻夫木聡、上野樹里、新井浩文、新屋英子、江口徳子、池脇千鶴、荒川良々、SABU、森下能幸、大倉考二
深夜の雀荘。学生アルバイトの恒夫(妻夫木聡)は雀荘の客から不思議な話を聞く。明け方にボロボロの乳母車を押す変な婆さんがいる。あの乳母車の中には何が入っているのか。もしかして運び屋なんかじゃないか?いや死んだ子供のミイラが入っているんだ、と深夜のうだうだ話は続く。明け方、いつものようにマスターの愛犬を連れて散歩していた彼は坂の上から転がってくる乳母車を見かけた。坂の上で婆さんが何か言っている。中を覗くと包丁を握り締めた少女が。話に出ていた乳母車だ。
少女(池脇千鶴)は老婆(新屋英子)の孫で足が不自由で歩けない。老婆は孫の存在を隠しており、誰もいない明け方に少女を乳母車に乗せて散歩しているのだ。彼は老婆に連れられて少女が作る朝ごはんをご馳走になる。彼女に名前を問うと面倒くさそうに「ジョゼ」と名乗った。無愛想でおばはんみたいな子だが、恒夫は興味を抱いてちょくちょく通い始める。彼女は本好きで老婆が拾ってきた本を繰り返し読んでいた。恒夫は彼女が読みたいと言っていた、フランソワーズ・サガンの「一年ののち」の続編である「すばらしい雲」を古本屋で探し出し、彼女にプレゼントする。「ジョゼ」という名前はこの本の主人公の名前なのだ。
世間様に迷惑かけたくない、と隠れるように生きていた老婆だが恒夫の計らいで家が改築されることとなった。老婆は近所にばれることを恐れて(実は近所は皆、ジョゼの存在を知っている)、押入れにジョゼを隠してしまう。ある日、ジョゼの家に恒夫を訪ねて恒夫の彼女の香苗(上野樹里)が来る。押入れの中で二人の会話を聞くジョゼ。その日の夜、ジョゼは彼に「帰れ!」と叫ぶ。老婆は「あの子はこわれもんや。あんたみたいなお人にどないにできるもんやない」と二度と来ないように告げる。
それから数ヵ月後、老婆が亡くなったことを知った恒夫は二度と来ることはないと思っていたジョゼの家に向かう。ジョゼは静かに恒夫を迎えたが。。
監督は犬童一心。池脇千鶴のデビュー作となった「大阪物語」の脚本を書き、監督は池脇主演の「金髪の草原」に引き続き、二本目。「金髪の草原」は本当に池脇千鶴の魅力全開で悪くはないんだが、あんまり好きではなかった。池脇千鶴は本当に演技がうまいんだが、映画運、ドラマ運があんまりよくないような気がする。「大阪物語」「金髪の草原」はよかったけど「化粧師」「猫の恩返し」はつまらなかったし、ドラマの「ほんまもん」に至っては脚本がひどすぎて、可哀想とさえも思った。今度の映画で演じたジョゼは本当に難しい役で、これは池脇千鶴の代表作になると思う。
ジョゼは足が悪くて歩くことができない。でも世の中のことには人一倍関心を持っているし、色々なことをしてみたいと考えている。でも老婆は彼女を「こわれもんにはこわれもんの分があるやろ」と世間にも彼女のことを隠してる。そこに恒夫が現れた。。彼女は彼に連れられて色々な経験をしていきます。その意味では恒夫は彼女にとっての救世主だったのです。そしてあのラスト。あまりにもあっけらかんなラストなのですが、心にズンと沁みました。なんかどうしようもない。
脚本を書いたのは渡辺あやという岩井俊二のお弟子さん。島根県の方で雑貨屋やりながら脚本を書いているらしい。この人の名前はチェックしておきましょう。東京、大阪では連日、大入りで立ち見が出るほどの盛況になっています。みなみ会館でも半分以上入ってました。(とても珍しい)映画の評判もさることながら、妻夫木&池脇人気に田辺聖子ファンに日本映画ファン(これが一番少ない)の支えられてのヒットだと思います。。。いや無論、アレの評判もあるんですけど。池脇の乳首ですけどね。私は別にファンじゃないけど、あれはあかんやろ。。それと完成記者会見の妻夫木、池脇のはしゃぎっぷりもなんか気になった。デキてるんとちゃうか?何にせよ、この年末一番のお薦めです。この年末年始、暇なあなたはぜひ。年末年始終わっても見てくださいね。
監督:犬童一心 脚本:渡辺あや 原作:田辺聖子 プロデューサー:久保田修、小川真司 音楽:くるり
出演:妻夫木聡、上野樹里、新井浩文、新屋英子、江口徳子、池脇千鶴、荒川良々、SABU、森下能幸、大倉考二
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