松田龍平デビュー作「御法度」〜衆道〜
2003年12月29日 今日、紹介しますのは大島渚監督の「御法度」。1999年12月に公開された作品です。当時、大学生だった私は新京極にあった京都ピカデリー劇場で見ました。主演はこれがデビューとなった松田龍平。共演はビートたけしに松田龍平と車のCMやってる浅野忠信に本来なら主演をやるはずだった武田真治。なんだかすごく懐かしい。今から4年前か。。
原作は司馬遼太郎の「新撰組血風録」。これ新撰組に関する短編がおさめられている本なんですが、「前髪の惣三郎」をベースに大島渚自身が脚本を書いています。実は大島渚は90年代初頭に「御法度」を撮ろうとしています。そのときの主演は今作で沖田総司をやった武田真治。ただその後、脳溢血で倒れてしまったので計画は延期になりました。今回撮るのにあたって武田真治では年食いすぎてて難しいということで松田優作の息子である松田龍平に白羽の矢がたちました。大島監督も復帰後、これしか撮っていません。撮る予定もないみたいだし、やはり体の調子があまりよくないんだろうか?ほとんど公の場にも姿を現してないし。
新撰組に新しい隊士が入隊してきた。その名も加納惣三郎(松田龍平)。この男、沖田(武田真治)と互角に戦えるほどの剣術の持ち主なのだが、それ以上に目を引くのが、その色気漂う美貌ぶりである。彼はとうに元服の年を超えていたのだが何故か前髪を残していた。衆道(同性愛)に興味のある者はもちろん、その気がない近藤勇(崔洋一)さえも彼に興味を持った様だった。彼にまず近づいたのは同期に入隊した田代(浅野忠信)だった。惣三郎は拒むが、田代はしつこく言い寄りできてしまう。が、惣三郎を狙うのは彼だけではなかった。湯沢(田口トモロヲ)もその一人であった。
その年の秋。惣三郎は新撰組の長老、井上源三郎(坂上次郎)と剣道の稽古をした。井上は近藤らと同門の古株だが剣術はさっぱり駄目で惣三郎は遠慮してしまう。それを覗いていた何者かに「新撰組はこの程度のものか」と嘲笑されてしまう。このような無礼は許せぬと土方(ビートたけし)は監察の山崎(トミーズ雅)に調査を命じる。一方、新撰組の名誉を傷つける形となった惣三郎は気が重かった。そこに湯沢が入り込んだ。湯沢は祇園に惣三郎を連れ出し、強引に関係を持ってしまう。
やがて湯沢の惨殺死体が発見される。山崎が調査にあたるが何もわからずじまい。組内に衆道が広がるのを恐れた土方は山崎に惣三郎を遊郭に連れて行くように命じる。惣三郎は山崎までもが自分に興味があると思い込み、逃げ回る。が、一月もたつと彼の方から山崎に好意を抱き始めた。元よりその気がない山崎。山崎は何とか惣三郎を島原に連れて行くのだが、惣三郎は遊女に触れることなく帰ってしまう。彼は山崎と寝たかったのだ。
これ、スタッフも一流だし、キャストも豪華だし、それに何と言っても大島渚監督の13年ぶりの新作ということで結構話題になりました。が、すぐに話題は立ち消えになってしまいました。題材が同性愛で変てこなCMをうってしまったのもまずかったんだと思いますが、それ以上にあまり面白くないのだ。いや面白くないというか、大島渚が懸命にリハビリして一度頓挫した企画にもう一回着手して作ったのがこの作品だというのに納得できないのだ。原作も、読んでもらえばわかるのだがはっきり言ってどうってことない作品なのだ。確かにワダエミの衣装もいいし、坂本龍一の音楽も一流だし、金もかかってることはわかるんだが、なんか「おお、すげー」というのがなかった。淡々と進んで終わる、という感じなんだ。
惣三郎は当初、普通の剣術の強い男の子だったんだが、いろんな男に言い寄られるうちに男を手玉に取るような化け物になってしまう。状況が人を変えるというか、元からその素質があったというか。。イタリアで同性愛関係のもつれで射殺された人もいましたが男の妬みというのは本当に怖いらしい。ただ、この映画はその問題を真剣に描いたものではないと思う。だって相手が田口トモロヲに浅野忠信にトミーズ雅だよ。浅野忠信はともかく、トモロヲちゃんはねえ。撮影中は随分、大島監督にもいじめられたらしい。皆が少しずつおかしくなっていく様はなかなか面白かった。
ただ問題は松田龍平。デビュー時は演技も棒読み出し、顔がぽちゃぽちゃしてて、角度によってはすごく不細工に見えるときもありました。おすぎが「龍平君はちっとも素敵じゃない」と言ってましたね。映画もそれと同じで見ようによってはなかなか面白い映画なんですが、なんか中途半端というか。。褒めにくいし、けなしにくい。でも見て損はないと思います。たけし、かっこいいし。
監督、脚本:大島渚 美術:西岡善信 撮影監督:栗田豊通 音楽:坂本龍一 衣装デザイン:ワダエミ
出演:松田龍平、桂ざこば、田中要次、吉行和子、中村麻美、青山知可子、浅野忠信、田口トモロヲ、菅田俊、坂上二郎、寺島進、武田真治、梅垣義明、神田うの、的場浩司、藤原喜明、トミーズ雅、ビートたけし、崔洋一
原作は司馬遼太郎の「新撰組血風録」。これ新撰組に関する短編がおさめられている本なんですが、「前髪の惣三郎」をベースに大島渚自身が脚本を書いています。実は大島渚は90年代初頭に「御法度」を撮ろうとしています。そのときの主演は今作で沖田総司をやった武田真治。ただその後、脳溢血で倒れてしまったので計画は延期になりました。今回撮るのにあたって武田真治では年食いすぎてて難しいということで松田優作の息子である松田龍平に白羽の矢がたちました。大島監督も復帰後、これしか撮っていません。撮る予定もないみたいだし、やはり体の調子があまりよくないんだろうか?ほとんど公の場にも姿を現してないし。
新撰組に新しい隊士が入隊してきた。その名も加納惣三郎(松田龍平)。この男、沖田(武田真治)と互角に戦えるほどの剣術の持ち主なのだが、それ以上に目を引くのが、その色気漂う美貌ぶりである。彼はとうに元服の年を超えていたのだが何故か前髪を残していた。衆道(同性愛)に興味のある者はもちろん、その気がない近藤勇(崔洋一)さえも彼に興味を持った様だった。彼にまず近づいたのは同期に入隊した田代(浅野忠信)だった。惣三郎は拒むが、田代はしつこく言い寄りできてしまう。が、惣三郎を狙うのは彼だけではなかった。湯沢(田口トモロヲ)もその一人であった。
その年の秋。惣三郎は新撰組の長老、井上源三郎(坂上次郎)と剣道の稽古をした。井上は近藤らと同門の古株だが剣術はさっぱり駄目で惣三郎は遠慮してしまう。それを覗いていた何者かに「新撰組はこの程度のものか」と嘲笑されてしまう。このような無礼は許せぬと土方(ビートたけし)は監察の山崎(トミーズ雅)に調査を命じる。一方、新撰組の名誉を傷つける形となった惣三郎は気が重かった。そこに湯沢が入り込んだ。湯沢は祇園に惣三郎を連れ出し、強引に関係を持ってしまう。
やがて湯沢の惨殺死体が発見される。山崎が調査にあたるが何もわからずじまい。組内に衆道が広がるのを恐れた土方は山崎に惣三郎を遊郭に連れて行くように命じる。惣三郎は山崎までもが自分に興味があると思い込み、逃げ回る。が、一月もたつと彼の方から山崎に好意を抱き始めた。元よりその気がない山崎。山崎は何とか惣三郎を島原に連れて行くのだが、惣三郎は遊女に触れることなく帰ってしまう。彼は山崎と寝たかったのだ。
これ、スタッフも一流だし、キャストも豪華だし、それに何と言っても大島渚監督の13年ぶりの新作ということで結構話題になりました。が、すぐに話題は立ち消えになってしまいました。題材が同性愛で変てこなCMをうってしまったのもまずかったんだと思いますが、それ以上にあまり面白くないのだ。いや面白くないというか、大島渚が懸命にリハビリして一度頓挫した企画にもう一回着手して作ったのがこの作品だというのに納得できないのだ。原作も、読んでもらえばわかるのだがはっきり言ってどうってことない作品なのだ。確かにワダエミの衣装もいいし、坂本龍一の音楽も一流だし、金もかかってることはわかるんだが、なんか「おお、すげー」というのがなかった。淡々と進んで終わる、という感じなんだ。
惣三郎は当初、普通の剣術の強い男の子だったんだが、いろんな男に言い寄られるうちに男を手玉に取るような化け物になってしまう。状況が人を変えるというか、元からその素質があったというか。。イタリアで同性愛関係のもつれで射殺された人もいましたが男の妬みというのは本当に怖いらしい。ただ、この映画はその問題を真剣に描いたものではないと思う。だって相手が田口トモロヲに浅野忠信にトミーズ雅だよ。浅野忠信はともかく、トモロヲちゃんはねえ。撮影中は随分、大島監督にもいじめられたらしい。皆が少しずつおかしくなっていく様はなかなか面白かった。
ただ問題は松田龍平。デビュー時は演技も棒読み出し、顔がぽちゃぽちゃしてて、角度によってはすごく不細工に見えるときもありました。おすぎが「龍平君はちっとも素敵じゃない」と言ってましたね。映画もそれと同じで見ようによってはなかなか面白い映画なんですが、なんか中途半端というか。。褒めにくいし、けなしにくい。でも見て損はないと思います。たけし、かっこいいし。
監督、脚本:大島渚 美術:西岡善信 撮影監督:栗田豊通 音楽:坂本龍一 衣装デザイン:ワダエミ
出演:松田龍平、桂ざこば、田中要次、吉行和子、中村麻美、青山知可子、浅野忠信、田口トモロヲ、菅田俊、坂上二郎、寺島進、武田真治、梅垣義明、神田うの、的場浩司、藤原喜明、トミーズ雅、ビートたけし、崔洋一
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