【どこに向かうの?】「ばかのハコ船」【進んでもいねえよ】
2003年11月30日やっと更新できるようになった。たまに更新しようと思ったらこれだもんねえ。。
本日は京都朝日シネマを経営していた如月社による上映会でかけられた「ばかのハコ船」。監督は大阪芸術大学の英才、山下敦弘。卒業制作で発表された「どんてん生活」が高く評価されて次に作ったのがこの作品です。東京国際映画祭と大阪のプラネット+1の支援を受けて作られています。今年の1月末に閉じた京都朝日シネマでも最終週に公開されました。大阪では夏頃にテアトル梅田で上映されていましたが、京都での上映ははじめて。
山下監督は「最も危険な 刑事まつり」で「汁刑事」という短編を撮っているのだがこれが何というか、すごい作品なのだ。私はプラネット+1で見ていたのだがひっくり返った。AVで男優さんがお仕事をしている最中に側でもぞもぞやってる人達。この人達を別名、汁男優という。その汁男優の尾崎(実は刑事)がはじめて本番に挑戦するというのがこの映画なんだが、突然ブチ切れて女優を泣かせたり、暴れたりともうめちゃくちゃ。刑事まつりはビデオにならないそうだがこの作品だけでもビデオにして欲しい。元々、尾崎は「ばかのハコ船」の登場人物で映画でも突然ブチ切れたり、いきなりやさしくなったりで観客の度肝を抜いてくれます。ちなみに彼を主人公にした「その男、凶暴につき」という短編もあるそうです。演じているのは監督の中学時代からの友人で本業はサラリーマンらしい。まあ一度見てください、尾崎を。
この映画の主人公である酒井大輔は死ぬほど駄目人間である。女に鼻かんでもらって、ケツに薬塗らせるような男である。飽きっぽくてだらしなくてそのくせ、プライドだけは高く絶対に向いてないことに挑戦して失敗して自信を喪失していき、人にあたる。ただ不思議に女にモテる。映画は東京で健康食品「あかじる」の販売に失敗し、500万円の借金を背負った大輔が彼女の島田久子を連れて田舎に帰ってきたところから始まります。
東京で失敗した大輔であったが、「あかじる」の販売はあきらめてなかった。彼は親父や親戚や友人のツテをたどって地元からこの商売をスタートさせようと考えていたのだ。が、誰も相手にしてくれない。ショックを受けた大輔は中学時代の彼女で現在は風俗嬢のまどかの家に逃げ込んでしまう。大輔を探す久子。大輔の同級生でスーパーを経営している尾崎の協力を得てまどかを見つける。尾崎、久子、まどかがまどかの家に向かうとそこには風呂上りの大輔とまどかの高校生の妹が。凍りつく5人。
尾崎の協力により、某薬チェーン店(何とキリンド!)で「あかじる」の店頭販売が決まった。張り切る久子に対して、元々から商売に向いてない大輔はどんどん鬱になっていく。実際、あかじるは全く売れなかった。
映画は淡々と進んでほとんど二人による会話で構成されています。会話のやりとりはそんな笑いを狙ったものではないのですが、聞き込むと笑ってしまう。1時間50分ほどあるんですが長さはほとんど感じずにぐいぐい引き込まれます。そこに尾崎が走り抜けていく。
主人公は本当にもうどうしようもない男なんだが、妙に憎めないところがある。こんなに駄目でええんか?と思うがまあそれもありなんだろう、長い人生。どこか、自分に似ているところがあるのも少しおかしいし、なんか悔しい。浮気がばれて、プシューと空気が抜けていくところでは大笑いしてしまった。ポケベルとかたまごっちなどの数年前に出てきた風物詩が散らされているのもまた楽しい。母親が「あかじるは罰ゲーム商品じゃないの?」というくだりは「笑っていいとも」の青汁一気呑みを思い出させます。すぐになくなっちゃったけどね。こうした細かいくすぐりをふんだんに入れて、丁寧に作られています。好きなキャラクターは悩み倒す他のキャラを尻目にちゃくちゃくと自分のキャリアを築いていく風俗嬢のまどか。こういうクールなキャラがまた新鮮ですわな。
人間、案外しぶといもんで、めちゃくちゃでも、どっこい生きてる。人生なんてそう堅苦しいものじゃないさと思わせてくれる映画でどうも最近、世の中に疲れた私にはのびのびと楽しめた映画でした。みなみ会館で公開される「どんてん生活」も見に行こうっと。
監督、脚本:山下敦弘、脚本:向井康介、音楽:赤犬、美術:前田隼人、企画:真夜中の子供シアター
キャスト:山本浩司、小寺智子、細江祐子、山本剛史、笹野高史、木野花、 松江哲明、田中暁子
本日は京都朝日シネマを経営していた如月社による上映会でかけられた「ばかのハコ船」。監督は大阪芸術大学の英才、山下敦弘。卒業制作で発表された「どんてん生活」が高く評価されて次に作ったのがこの作品です。東京国際映画祭と大阪のプラネット+1の支援を受けて作られています。今年の1月末に閉じた京都朝日シネマでも最終週に公開されました。大阪では夏頃にテアトル梅田で上映されていましたが、京都での上映ははじめて。
山下監督は「最も危険な 刑事まつり」で「汁刑事」という短編を撮っているのだがこれが何というか、すごい作品なのだ。私はプラネット+1で見ていたのだがひっくり返った。AVで男優さんがお仕事をしている最中に側でもぞもぞやってる人達。この人達を別名、汁男優という。その汁男優の尾崎(実は刑事)がはじめて本番に挑戦するというのがこの映画なんだが、突然ブチ切れて女優を泣かせたり、暴れたりともうめちゃくちゃ。刑事まつりはビデオにならないそうだがこの作品だけでもビデオにして欲しい。元々、尾崎は「ばかのハコ船」の登場人物で映画でも突然ブチ切れたり、いきなりやさしくなったりで観客の度肝を抜いてくれます。ちなみに彼を主人公にした「その男、凶暴につき」という短編もあるそうです。演じているのは監督の中学時代からの友人で本業はサラリーマンらしい。まあ一度見てください、尾崎を。
この映画の主人公である酒井大輔は死ぬほど駄目人間である。女に鼻かんでもらって、ケツに薬塗らせるような男である。飽きっぽくてだらしなくてそのくせ、プライドだけは高く絶対に向いてないことに挑戦して失敗して自信を喪失していき、人にあたる。ただ不思議に女にモテる。映画は東京で健康食品「あかじる」の販売に失敗し、500万円の借金を背負った大輔が彼女の島田久子を連れて田舎に帰ってきたところから始まります。
東京で失敗した大輔であったが、「あかじる」の販売はあきらめてなかった。彼は親父や親戚や友人のツテをたどって地元からこの商売をスタートさせようと考えていたのだ。が、誰も相手にしてくれない。ショックを受けた大輔は中学時代の彼女で現在は風俗嬢のまどかの家に逃げ込んでしまう。大輔を探す久子。大輔の同級生でスーパーを経営している尾崎の協力を得てまどかを見つける。尾崎、久子、まどかがまどかの家に向かうとそこには風呂上りの大輔とまどかの高校生の妹が。凍りつく5人。
尾崎の協力により、某薬チェーン店(何とキリンド!)で「あかじる」の店頭販売が決まった。張り切る久子に対して、元々から商売に向いてない大輔はどんどん鬱になっていく。実際、あかじるは全く売れなかった。
映画は淡々と進んでほとんど二人による会話で構成されています。会話のやりとりはそんな笑いを狙ったものではないのですが、聞き込むと笑ってしまう。1時間50分ほどあるんですが長さはほとんど感じずにぐいぐい引き込まれます。そこに尾崎が走り抜けていく。
主人公は本当にもうどうしようもない男なんだが、妙に憎めないところがある。こんなに駄目でええんか?と思うがまあそれもありなんだろう、長い人生。どこか、自分に似ているところがあるのも少しおかしいし、なんか悔しい。浮気がばれて、プシューと空気が抜けていくところでは大笑いしてしまった。ポケベルとかたまごっちなどの数年前に出てきた風物詩が散らされているのもまた楽しい。母親が「あかじるは罰ゲーム商品じゃないの?」というくだりは「笑っていいとも」の青汁一気呑みを思い出させます。すぐになくなっちゃったけどね。こうした細かいくすぐりをふんだんに入れて、丁寧に作られています。好きなキャラクターは悩み倒す他のキャラを尻目にちゃくちゃくと自分のキャリアを築いていく風俗嬢のまどか。こういうクールなキャラがまた新鮮ですわな。
人間、案外しぶといもんで、めちゃくちゃでも、どっこい生きてる。人生なんてそう堅苦しいものじゃないさと思わせてくれる映画でどうも最近、世の中に疲れた私にはのびのびと楽しめた映画でした。みなみ会館で公開される「どんてん生活」も見に行こうっと。
監督、脚本:山下敦弘、脚本:向井康介、音楽:赤犬、美術:前田隼人、企画:真夜中の子供シアター
キャスト:山本浩司、小寺智子、細江祐子、山本剛史、笹野高史、木野花、 松江哲明、田中暁子
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