今日、紹介するのはドイツ映画の「レボリューション6」。製作はソニー・ピクチャーズ・ワールドシネマ。大手配給会社のソニー・ピクチャーズの子会社で聖林以外の地域で映画を製作して配給していこうという企画です。この秋から「レボリューション6」から始まって同じくドイツの「ビタースウィート」に今敏の「東京ゴッドファーザーズ」が公開されます。東京の方は知りませんが関西では「レボリューション6」も「ビタースウィート」も動物園前で一週間だけのロードショー公開でちとさびしい。まあロードショー公開されるだけ、マシかもしれませんけど。ソニーの企画もどこまで続くかわかりませんが、面白い企画だと思うのでぜひ頑張って欲しいです。期待してます。

 80年代のベルリン。アナキズム(無政府主義運動)の闘士であった6人グループはドラッグをやり、酒を飲み、セックスをし倒し、警官に小便をぶっかけるなど楽しい毎日を過ごしていました。毎日のように爆弾を作り、町の空家に設置して警察に犯行予告のフィルムを送りつける。警官とデモ行進の衝突。これらはみな、ベルリンにとっては日常の風景でした。が、その後、ベルリンの壁が崩壊、東西ドイツ統一、ソ連の崩壊、統一ユーロと時代はすっかり変わってしまった。6人のうち、ホッテとティムを除く4人は堅気になっていた。

 そして現代のベルリンで爆発事故が起こった。古くから空家だった豪邸で突然、爆弾が作動したのだ。それは、まぎれもなく彼ら6人がしかけた爆弾だった。警察は捜査に入り、80年代の過激派がしかけた爆弾だと断定。80年代、過激派運動と戦い続けた敏腕刑事マフノフスキーが指揮を取り、ホッテがガサ入りを食らった。押収された中には爆弾予告のフィルムもしっかり入っていた。

 何とか警察から取り戻そうと6人はまたもや集結する。小心者で現在、検察官を目指しているテラー、売れっ子コピーライターに転身したマイク、育児に専念するネレ、ヤンエグとの結婚を控えたフロー。みな、幸せな生活を送っていた。ホッテとティムは今でも運動をやっているが実情は家賃も払えないでティムが車椅子のホッテを介護するので精一杯。6人は警察に忍び込んでフィルムを盗み出す作戦を計画。ジャーナリストに化けて警察に忍び込むが、マフノフスキーに阻まれる。ティムは警察に爆弾を仕掛けて、フィルムごとぶっ飛ばそうとする計画をたてるが。。

 いや、これにはやられました。こういう映画ね、実は考えていたんですよ。若い頃、主義運動やりまくってた人が後始末をつけるって映画。アナキズムと学生運動の違いはあるけど、日本とドイツのこういう状況って似てると思うんですよ。日本でも60年代から70年代にかけて学生運動が凄くてノンポリなんて言葉が許されないで勉強する為に大学に入るような奴はイモだ、ってそういう時代があったわけですよ。私の親父の世代ですね。今からは考えられない左翼運動が盛んだった。現代も完全に消えたわけでなく、そういうサークルは今でもあるし、大学一回生の時にそういう運動をまだやってる先輩に会ったこともあります。「インターナショナル」とか岡林信康を知ってる(本当にただ知ってただけなんだけど)と言ったらえらく喜んでくれてね。ただ、私は左翼運動ははっきり言って嫌いだし、日本赤軍もよど号もアホだと思う。週刊金曜日も朝日新聞も焼かれろと思う。でも、多分、自分がその時代に学生をやってたら運動をやってたと思うのね。私のことだから途中で辞めてたと思うけど、多分やってた。そういう意味での興味はあるし、あの運動やってて今、カタギやってる人が何を思うかというのは興味がある。

 日本でも高橋伴明の「光の雨」って作品がありますがこれが全然面白くないし、はっきり言って何も総括しとらへんのです。大体、日本の左翼運動家で曲がりなりにも総括したのは塩見さんぐらいでね。肯定ででも否定でもいいんだけど、映画人でも誰もやっとらん。そういう状況に対するイラツキというのは相当、ありますね。おまえら、一体何を考えて運動やっとったんだ、と。

 せっかく集結した6人ですがずっと運動やってる2人とカタギになった4人では相当に温度差がある。ティムはまた運動ができる!とはしゃいでいるのですが、ホッテを含めて他の5人はちっともそうは考えていない。そのギャップがまた悲しいね。で、そのティムの一番の理解者が実は刑事のマフノフスキーだったりするわけです。「左と右の対決は終わった。これからは勝ち組と頑固な負け組の対決だ」という言葉が全てを象徴するような気がする。非常に微妙な問題をテンポよく描いてエンターティメントにしています。日本でもこんな映画があればいいんだけど、日本の映画界はまだまだ未発達で多分、怒る奴が出てくると思うし、(多分、荒井晴彦は怒る)それに答える観客も少ないだろう。でもそろそろこういう映画もいると思うんだけどね。

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