本日で深作まつりも遂に30夜を迎えました。よくここまで続いたもんです。なんかもうあらかたやってしもうたような気がするのですが、まだ半分しか終わってないんですね。これからもよろしくね。記念すべき30夜目に紹介するのは1978年に公開された「宇宙からのメッセージ MESSAGE from SPACE」。

 この前年、アメリカでは「スター・ウォーズ」が大ヒットしており、そのブームにあやかって製作された映画です。「スター・ウォーズ」の日本公開の2ヶ月前に封切された理由は曰く「中身が似てるも何もパクリだから、先につくって封切しなちゃどうしようもない(笑)」。まあなんつうか、すごい作品です。里見八犬伝をモチーフに「スター・ウォーズ」のキャラをパクってそれにチャンバラをくっつけた、めちゃくちゃな作品。撮影期間も短かったみたいだし、とりあえず「スターウォーズ」より早く公開させるために早撮りしたんだと思うのですが(関係あるのかわからんがメインテーマがショスタコビッチの交響曲第五番にそっくりだった。作る暇なかったんやろか)勢いがあって面白い。

 実録路線の終了に伴い、東映は従来の二本立てのプログラムピクチャー体制より大作主義の一本立て公開に徐々に移行していきます。深作監督は東映の屋台骨を背負う職人監督としてこの年、一本立て公開で「柳生一族の陰謀」「宇宙からのメッセージ」「赤穂城断絶」を監督しています。「柳生一族の陰謀」から「宇宙からのメッセージ」までは3ヶ月しかあいてない。時代劇からSFともう何でもやる。錦之助に「なんで柳生一族のあとに、あんな映画撮るのよ」とツッこまれたそうです。

 太陽系から遥か200万光年離れた惑星グルーシアはガバナス帝国の圧政に苦しんでいた。長老(これを織本順吉がやる)はこの危機を救うために奇跡への願いをこめた「リアベの実」8つを太陽系に放つ。さらにこの8つの実を受け取った勇者を探す為に孫娘(志穂美悦子@長淵嫁)と勇士ウロッコ(佐藤允)は太陽系に旅立った。やがて彼らはリアベの実を受け取った宇宙暴走族(外人、真田広之)、退役軍人(外人)、成金の娘(外人)、ヤクザの若衆(岡部正純)に出会う。すったもんだあったあげく、グルーシアの救出に向う勇者達。一方、ガバナス帝国は次なる侵略地として地球を目指していた。。

 舞台は宇宙で元ネタは里見八犬伝、でも台詞は時代劇風と頭がおかしくなりそうな設定ですが天本英世のおばあさんとか、三谷昇の山姥とか、佐藤允のチューバッカとか、外人が出てるのにみんな日本語吹替えだとか、曾根晴美が参謀?もう色々ツっこむ要素で一杯なんであんまりそこでとまちゃいけません。「柳生一族の陰謀」で白塗りの剣豪公家をやらされた成田三樹夫が顔に銀粉まぶしてのド派手、皇帝メイクにはアホらしさを通り越して成田さんの役者魂すら、感じてしまいました。あ、アホすぎる。千葉真一はハンス王子としてこれまた変なメイクしてますが鎧が重いのか、動きが鈍い。それから、R2D2のつもりなんでしょうか、変なロボットが出てくるのですがこれがウザイ、本当にウザイ。子供の頃に見たNHK教育にこんなロボットが出てたような気がする。変な着ぐるみを着てぴょこぴょこ歩いてる姿を見て、日本映画の悲しさがひしひしと感じられた。こら、あかんわ。。

 特撮を担当したのは矢島信男で監督は特撮に関してはほとんど任せきりだったようです。特撮なんですが、宇宙遊泳(ドリフの宇宙コント以下)以外のシーンはまあまあ見れました。真田広之と警官の小林稔持のチキンランもなかなか面白い。日本の特撮界はこの年、東宝特撮界のエースだった中野昭慶が「スターウォーズから学ぶものは何もない!」と豪語して作った「惑星大戦争」が大コケ。私は特撮、全然知らないんだが特撮ファンから見たらこの映画はどうなんでしょうかね?もし特撮好きの方がここ見てたら教えて欲しいです。もっともこの映画の魅力は大仰な台詞回しと突き抜けたバカっぽさが魅力なんだけど。織本順吉が大演説するところは「アルマゲドン」なんかよりもよっぽど感動したよ。

監督:深作欣二 プロデューサー:岡田裕介 脚本:松田寛夫 原案:石森章太郎、深作欣二、松田寛夫 撮影:中島徹 特撮監督:矢島信男
出演:三谷昇、丹波哲郎、織本順吉、佐藤允、福本清三、天本英世、真田広之、岡部正純、志穂美悦子、小林稔持、曽根晴美、成瀬正、成田三樹夫、千葉真一

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