今週は戦争をテーマにした映画の感想をお送りしております。で、今週の2本目は1976年の「沖縄やくざ戦争」。私の映画の感想は長すぎるので今回はサクッといきます。これ、RCSがやってくれた弥生座ナイトムービーで見たんだけどフィルム状態が悪すぎてところどころ飛んでおったんで混乱しました。特に千葉ちゃんがいつ死んだのかわからんかった。それでもこれはスクリーンで見れてよかった。これは一人でじっくり見る作品じゃないね。劇場でゲラゲラ笑いながら見る”まつり”的な作品です。監督は東映アクション映画のエース、中島貞夫。私はこの人の「狂った野獣」を同じく弥生座で見たんだがあまりの面白さにひっくり返った。こういうキレた、威勢のええ映画を撮らせるとこの人にかなう者はいないかもしれない。

 「東映実録やくざ映画 無法地帯」によると他の実録と一緒で「沖縄やくざ戦争」にも、もちろんモデルがあって実際の沖縄での抗争をモデルにしています。しかもこの映画が公開された時にはやや下火になったとは言え、いまだ事件は現在進行中。東映、言う会社はおっとろしい会社じゃのう。なおこの映画は1976年に公開されたのだがこの前年には笠原和夫@「県警対組織暴力」の脚本で「沖縄進撃作戦」が予定されて脚本もできあがっていたのですが製作はされていません。1975年と言えばまさに真っ只中だったのでさすがにヤバイということになったのかもしれません。「沖縄やくざ戦争」にしてもこの二年後に公開される「沖縄10年戦争」にしてもこの脚本を元にされて書かれているそうです。なお、この脚本は先ごろ発売された笠原和夫の「映画はやくざなり」で読むことができます。なお、「沖縄やくざ戦争」の脚本は高田宏治@「北陸代理戦争」と神波史男@「人斬り与太 狂犬三兄弟」の最強タッグ。

 昭和46年。本土復帰を控えた沖縄。それまで沖縄には二つのヤクザ組織があったのだが本土からの進出に備え、大同団結。千葉真一@空手と織本順吉@へたれをトップとした団体となっていた。しかし千葉真一は大のウチナンキュー嫌い。夜になると本土が経営する居酒屋で空手を披露していたのでした。そんな彼をフォローしていたのは彼の弟分である松方@一人だけまとも(始めだけ)。彼は数年前に起こした事件で服役していた。松方は千葉に組を保つ為のシノギを要求するが千葉は真面目に取り合わない。千葉の組は舎弟の地井武男@外道が実質仕切っており、彼は松方を激しく嫌っていたのだ。本土復帰が近づき、ますます荒れる千葉は松方の舎弟の室田日出男のイチモツをペンチでちぎる。それにも松方は耐えるが、千葉の狼藉の尻拭い(本土の幹部を車で轢き殺した)を「本土に尻尾ふりやがって、たっ殺す!!」と逆ギレされたことに遂にキレた。暗殺部隊の渡瀬恒彦、尾藤イサオの二人は千葉をたっ殺す!(このシーンが見れなかった。)松方は本部の織本と成田@蝙蝠に地井の除名を要求するが、無視。ペニス切断後、「たっ殺せ。。。たっ殺せ。。。」としかつぶやかない室田の声に誘われるように地井との全面戦争に突入する松方。部下は次々と死んでいく。。遂に松方は本土の幹部、梅宮辰夫に土下座して金を無心する。。

 ストーリーからもわかるとおり、とにかくテンションが高い。「仁義無き戦い 広島死闘編」の大友勝利を思わせる、針が振り切れた千葉真一がすごい。室田のイチモツはねじきる、机の上で空手を披露する、居酒屋でテーブルを叩き割る。私は千葉ちゃんを見たのは「直撃!地獄拳」が始めてだったんで、こんな人やと思ってましたが勝利をやるまでの千葉ちゃんは正当なアクションスターでこんな役は始めてやったそうです。ただ、本人とっても楽しそう(笑)。せんそお、だあいすき♪(訳:戦争、大好き)なんか言ってるし。

 地井の外道っぷり(俺の見る映画で地井は大概悪役なので今の地井は偽者にしか見えない)に渡瀬恒彦の狂犬っぷり、織本のへたれっぷり(俺はこのオッサンのへたれっぷりが大好きだ)に成田の卑怯っぷりと東映映画の全てが詰まったような映画。みんな、面白いように死んでいきます。顔の皮がはがれた尾藤イサオ、土に埋められて射殺される三上寛、姉を売った金を持ったまま、ぶち殺される矢吹二朗、ぶち殺す志賀勝。登場人物のほとんどが死ぬ、ものすごい映画。何の思い入れもなく、次々と死体はうち重なっていく。始めは正義のために。。と思っていた松方もやがて自分が千葉と全く同じであることに気づいていくのだ。でももうとまらない。最期は釣りをしている梅宮一派をモーターボードで襲撃!このシーンのアクションが素晴らしい!大きなビデオ屋に行けばあるんで、ぜひご覧下さい。

監督:中島貞夫 脚本:神波史男、高田宏治 撮影:赤塚滋
出演:織本順吉、志賀勝、松方弘樹、渡瀬恒彦、梅宮辰夫、地井武男、岡嶋艶子、岩尾正隆、尾藤イサオ、野口貴史、成田三樹夫、三上寛、矢吹二朗、千葉真一、室田日出男、片桐竜次

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