深作まつり第十三夜「豚と狼と人間」〜深作版「俺達に明日はない」〜
2003年5月8日 今日は1964年に作られた「豚と狼と人間」。ネットで検索しても妙に情報が出てこないなあ、と思ってたらこの映画がビデオ化したのは最近のこと。公開当時、あまりにもヒットしなかったので長らく放置されていた作品でした。この年、深作監督は黒澤の脚本「ジャコ萬と鉄」をリメイク。これは興行成績もよかったのですが、その次に撮ったこの作品は興行成績がよくない。その後、深作監督は66年の「脅迫」までホされます。なおこの作品は5月21日にDVDで発売されます。
あるドヤ街に三人の兄弟がいた。長男は早くにドヤを棄てて、ヤクザになった。やがて次男も病気の母親と弟を棄ててヤクザの世界に身を投じた。が、あまりにもやり口が乱暴だったので長男が所属するヤクザ組織につぶされてしまう。三男は独り、ドヤ街に残り、母親を看取った。友人と母親の骨を川に流す。それが葬式だ。
三男の前に次男が姿を表した。刑務所から出てきた次男は一発逆転にかけていた。俗に言う「闇取引」の現場を襲撃して金を奪おうと考えていたのだ。その手伝いを三男とその仲間に頼みに来たのだ。彼らは引き受ける。作戦は見事に成功。しかし一つ失敗があった。三男が金を隠してしまったのだ。次男は三男を拷問にかけるが、絶対に口を割ろうとしない。次男は三男の仲間思いの性格を利用して仲間を拷問にかける。。
これは深作版「俺達には明日はない」ですな。オトナの世界にどっぷりつかってしまった長男、オトナになりきれない次男、そしてオトナを嫌う三男の対比が面白い。本来なら次男と三男は仲間なんでしょうが、中途半端にオトナの世界をのぞいてしまった次男は三男が憎らしくて仕方ない。言うならば、昔の自分を見ているようでたまらないのだ。三男はいまだに「仲間」や「友情」を信じていたのだ。次男は「世の中は騙しあい。やらなきゃ、やられる」と常に自分に言い聞かせています。
長男が三国連太郎、次男が高倉健、三男が北大路欣也という凄すぎるキャスティングだけでもおなかいっぱい。他に深作映画には欠かせない内田朝雄(「仁義無き戦い」の大久保はん。大体、どの映画でもボスをやっている)や江原真二郎、これが深作作品の初出演となる中原早苗、そしてデビューしたての、ガリガリに痩せた石橋蓮司が出ています。
序盤に「ウェストサイドストーリー」さながらのミュージカルシーンがあるのが楽しい。欣也や蓮司が指をならしながら、踊り狂います。でも楽しいのはここだけ。後はひたすら拷問、裏切りの連続でかなりへこみます。ラストの三国連太郎の表情がすごい。これを見るだけでも充分価値あります。深作のファンを名乗るならば、欠かせぬ作品であります。
監督:深作欣二 脚本:佐藤純彌、深作欣二
出演:北大路欣也、石橋蓮司、内田朝雄、中原早苗、八名信夫、三国連太郎、高倉健、室田日出男、江原真二郎
あるドヤ街に三人の兄弟がいた。長男は早くにドヤを棄てて、ヤクザになった。やがて次男も病気の母親と弟を棄ててヤクザの世界に身を投じた。が、あまりにもやり口が乱暴だったので長男が所属するヤクザ組織につぶされてしまう。三男は独り、ドヤ街に残り、母親を看取った。友人と母親の骨を川に流す。それが葬式だ。
三男の前に次男が姿を表した。刑務所から出てきた次男は一発逆転にかけていた。俗に言う「闇取引」の現場を襲撃して金を奪おうと考えていたのだ。その手伝いを三男とその仲間に頼みに来たのだ。彼らは引き受ける。作戦は見事に成功。しかし一つ失敗があった。三男が金を隠してしまったのだ。次男は三男を拷問にかけるが、絶対に口を割ろうとしない。次男は三男の仲間思いの性格を利用して仲間を拷問にかける。。
これは深作版「俺達には明日はない」ですな。オトナの世界にどっぷりつかってしまった長男、オトナになりきれない次男、そしてオトナを嫌う三男の対比が面白い。本来なら次男と三男は仲間なんでしょうが、中途半端にオトナの世界をのぞいてしまった次男は三男が憎らしくて仕方ない。言うならば、昔の自分を見ているようでたまらないのだ。三男はいまだに「仲間」や「友情」を信じていたのだ。次男は「世の中は騙しあい。やらなきゃ、やられる」と常に自分に言い聞かせています。
長男が三国連太郎、次男が高倉健、三男が北大路欣也という凄すぎるキャスティングだけでもおなかいっぱい。他に深作映画には欠かせない内田朝雄(「仁義無き戦い」の大久保はん。大体、どの映画でもボスをやっている)や江原真二郎、これが深作作品の初出演となる中原早苗、そしてデビューしたての、ガリガリに痩せた石橋蓮司が出ています。
序盤に「ウェストサイドストーリー」さながらのミュージカルシーンがあるのが楽しい。欣也や蓮司が指をならしながら、踊り狂います。でも楽しいのはここだけ。後はひたすら拷問、裏切りの連続でかなりへこみます。ラストの三国連太郎の表情がすごい。これを見るだけでも充分価値あります。深作のファンを名乗るならば、欠かせぬ作品であります。
監督:深作欣二 脚本:佐藤純彌、深作欣二
出演:北大路欣也、石橋蓮司、内田朝雄、中原早苗、八名信夫、三国連太郎、高倉健、室田日出男、江原真二郎
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