このゴールデンウィークは映画を全然見てませんでした。まあしょっちゅう見に行ってるから見る映画がなくなったのもありますが、最近映画面白いッスか?「シカゴ」「Xメン2」ぐらいしか見る映画ないとか思わんですか?今年はなんかもう一つ。正直すげえ、と思う映画がない。これなら家で「不良番長」とか見てる方が面白いし、金使わんでも済むと思う。

 5月も「あずみ」はつまんなさそうだし、「ゾルゲ」も?マーク「コーリング」にしても絶対、くだらない。「アバウトシュミット」ぐらいやね。。本当のところ。今見に行くとしたら、東京の三百人劇場で始まった「追悼・深作欣二」ですけどこちらは関西なんで我慢の子。皆さん、「8MILE」とか「スピリット」に無駄銭使う暇があったならキネマ旬報から発売された「映画監督 深作欣二の軌跡」を買いましょう。1800円に税別で我々を楽しませてくれます。

 本日は「魔界転生」。深作監督が82年に撮った作品のリメイクになります。監督は「OUT」「笑う蛙」の平山秀幸監督。脚本は「お引越し」の奥寺佐渡子で衣装デザインに「ドグラマグラ」のホリ・ヒロシという布陣。私はこの人の「OUT」が大好きで劇場で3回も見ています。当然、期待していたのですが。。

 私は平山秀幸と阪本順治が好きで将来、日本映画の中心的な人物になると思っています。日本映画の監督は話題性だけで多分野から選ばれた人が多く、ちゃんとした映画監督が極めて少ない。飯田譲治とか北村龍平とか石井克人とかね、ガキの手遊びって感じで銭取って見せるもんじゃないですよ。最も才能は持ってても芸術の方に走ってしまう黒沢清みたいな人もいます。そんな中、きっちりとストーリーを通してエンターティメント志向の映画が撮れるのはこの二人ぐらいだと思う。

 今の日本映画界、俳優も監督も決して韓国には劣らないと思う。ただ、圧倒的に差がつけられてる要因ってのは客を呼ぶ映画を取れる環境でないところ。お金をかけて、映画で客を呼ぼうと本気で考えてる会社もプロデューサーもいない。そんな度胸ないんです。特に東宝グループはへたれです。つまらない映画ばかり残すならいっそのことつぶれろ、と思います。

 暴言が過ぎたかもしれません。しかし、この「魔界転生」にしてもやっぱりもう少しお金をかけたらなあ、、と思うところがいっぱいあります。比べちゃ駄目なんでしょうが、深作版の「魔界転生」に比べると手抜きが多い。特に最後の江戸城が真っ二つに別れるシーンですが、佛田さんや原口さんの頑張りは認めますがやはり、迫力不足だった。深作は燃やしてましたからね。あの炎をバックにした若山富三郎と千葉真一の決闘がやはり冴えた。

 ストーリーは若干の修正はありますが大筋は深作版とほとんど同じ。ただ修正された場面がくだらなかったりするのだが。よかったな、と思うのは前作よりも十兵衛の性格付けがしっかりなされたこと。実の父親と刃を交わせながら「今日、この時を与えたもうた者に礼を言う」というところはゾクリと来るほどのよさ。佐藤浩一、相変わらずうまいです。

 あとは麻生久美子ですが、彼女は案外「ラストシーン」や「贅沢な骨」で見せた普段着の格好の方がいいような気がしました。まあ彼女がこれだけ長く映画に出ていることも珍しいのでそれだけでも充分ですが。窪塚は危惧していた通り、「ピンポン」と同じ演技でした。こうした癖は早く直しておかないと癖になると思う。


監督:平山秀幸 脚本:奥寺佐渡子 衣装:ホリ・ヒロシ 特撮監督:佛田洋 特殊造型スーパーバイザー:原口智生
出演:佐藤浩一、麻生久美子、高橋和也、黒谷友香、吹石一恵、麿赤児、中村嘉津雄、長塚京三、古田新太、柄本明、加藤雅也、窪塚洋介、杉本哲太、國村準

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