深作まつり第十一夜「蒲田行進曲」〜よーし、人一人殺しちゃうぞ〜
2003年4月24日 いよいよ東京では「追悼特集 映画監督・深作欣二」が始まりますが関西でも9月からシヌ・ヌーヴォでやるようです。本来ならこういうことは東映が率先してやるべきだと思うんやけどね。(まあ全てが東映の映画じゃないけどさ)ずっとここまで深作監督の映画を紹介してまいりましたが、「深作まつり」第一弾〜吐いた唾、のまんとけや〜はを6月ぐらいで完結します。9月から「深作まつり」第二段〜まだタマはのこっとるがよ〜を再開したいと考えています。6月からの企画は現在、鋭意製作中ですが岡本喜八特集か緒方拳特集をやると思います。
今日は深作監督の代表作の一つ、「蒲田行進曲」。つかこうへいのお芝居が原作になっており、脚本もつかこうへいが書いております。「蒲田」となっていますが舞台は京都。しかも京都東映撮影所、あの太秦の映画村があるところです。ここを借り切って撮影しています。でも製作は松竹。何で東映じゃないのか、不思議。
太秦撮影所では現在「新撰組」の撮影中。主演は売り出し中の倉岡銀四郎。彼は大変な気分屋で撮影はボイコットする、飲み屋で大暴れする、の困ったちゃん。そんな彼にも付き人がたくさんいます。その中でも大部屋役者のヤスは銀ちゃんを大変尊敬していました。銀ちゃんも彼を可愛がっていたのですが、また悪い癖が出た。自分の昔の女、小夏を押し付けてしまったのです。小夏は元々、女優だったのですが今は落ち目。会社にしても、売り出し中の銀ちゃんが落ち目の女優と交際中というのはよくない。
大部屋俳優に嫁さんを養う余裕なんかあるわけない。しかも小夏は銀ちゃんの子供を身ごもっていた。悩むヤスだったが、銀ちゃんの頼みを断れるわけもないし、また彼自体が彼女のファンだったので小夏を嫁にします。始めは嫌がっていた小夏ですが一生懸命なヤスに打たれて次第に彼を好きになっていきます。お金を稼ぐ為に危険な役でも何でも引き受けるヤス。傷だらけでしたが彼は幸せでした。ただ彼のお人よしは相変わらず。遂に銀ちゃんから頼まれた階段落ちのスタントを引き受けてしまったのでした。会社から危険だからやめとけ、と命令が出た、10メートルはあると思われる階段。こんなもん、背中から落ちたら死ぬ、または寝たきり。。平静を装うヤスだったがその心中は。。
1982年の各賞を総ナメにした作品です。一例を挙げるとキネマ旬報、毎日映画コンクール、ブルーリボン、日本アカデミーの作品賞と監督賞を全て受賞。平田満、風間杜夫、松坂慶子も様々な賞を受賞しています。角川映画の全盛期でした。この年最大のヒットを飛ばした邦画は「セーラー服と機関銃」。これも角川でした。
角川映画については否定的に語られることがありますが、私は角川春樹という人は優れたプロデューサーだと考えています。晩年は確かに「寝床」の旦那でしたが、80年代の初頭においてヒットした映画は全て角川映画でした。深作、市川昆と言ったベテランから崔洋一や井筒和幸の下積みから苦労してきた新人まで様々な人にメガホンを取らせています。質的にも悪くなかった、と思います。
話題が横にそれました。昔、東映の映画の撮影に参加して東映の映画撮影所に入ったことがあるので、映画のシーンで使われる建物を見て「ああここか」とわかるのが結構、嬉しい。東映京都は昔からの撮影所で映画同様に若手がゴロゴロしていました。川谷拓三も大部屋でしたしね。ヤスがどうも拓ボンに、監督が深作監督に重なるなあ、と思うのは私だけではありますまい。「よーし、人を一人殺しちゃうぞ」なんて言ってたのに違いありません。
風間杜夫演じる銀ちゃんが面白い。自分勝手で気分屋で困り者ですが、なんか憎めない。スターというのはああいうもんなんでしょう。ジェームス・ディーンについて「ハチマキ巻いてたこ焼き焼いてる方が似合うんじゃねえか」言うところなんか大爆笑でしちゃ。確かに似合うかもしれねえ。
最近でも「ラストシーン」という撮影所を舞台にした映画がありましたが、(多分、これも東映京都だと思うのだが。。)みんなで協力して一つのものを作っていく撮影所の雰囲気は独特。それがあのラストにつながっていくんだと思うのですが、あれが深作の提案なのか、つかさんの提案なのか、よくわかりません。好きな人は好きでしょう。
製作:角川春樹、脚本:つかこうへい
出演:風間杜夫、松坂慶子、平田満、清川虹子、蟹江敬三、原田大二郎、荻原流行
今日は深作監督の代表作の一つ、「蒲田行進曲」。つかこうへいのお芝居が原作になっており、脚本もつかこうへいが書いております。「蒲田」となっていますが舞台は京都。しかも京都東映撮影所、あの太秦の映画村があるところです。ここを借り切って撮影しています。でも製作は松竹。何で東映じゃないのか、不思議。
太秦撮影所では現在「新撰組」の撮影中。主演は売り出し中の倉岡銀四郎。彼は大変な気分屋で撮影はボイコットする、飲み屋で大暴れする、の困ったちゃん。そんな彼にも付き人がたくさんいます。その中でも大部屋役者のヤスは銀ちゃんを大変尊敬していました。銀ちゃんも彼を可愛がっていたのですが、また悪い癖が出た。自分の昔の女、小夏を押し付けてしまったのです。小夏は元々、女優だったのですが今は落ち目。会社にしても、売り出し中の銀ちゃんが落ち目の女優と交際中というのはよくない。
大部屋俳優に嫁さんを養う余裕なんかあるわけない。しかも小夏は銀ちゃんの子供を身ごもっていた。悩むヤスだったが、銀ちゃんの頼みを断れるわけもないし、また彼自体が彼女のファンだったので小夏を嫁にします。始めは嫌がっていた小夏ですが一生懸命なヤスに打たれて次第に彼を好きになっていきます。お金を稼ぐ為に危険な役でも何でも引き受けるヤス。傷だらけでしたが彼は幸せでした。ただ彼のお人よしは相変わらず。遂に銀ちゃんから頼まれた階段落ちのスタントを引き受けてしまったのでした。会社から危険だからやめとけ、と命令が出た、10メートルはあると思われる階段。こんなもん、背中から落ちたら死ぬ、または寝たきり。。平静を装うヤスだったがその心中は。。
1982年の各賞を総ナメにした作品です。一例を挙げるとキネマ旬報、毎日映画コンクール、ブルーリボン、日本アカデミーの作品賞と監督賞を全て受賞。平田満、風間杜夫、松坂慶子も様々な賞を受賞しています。角川映画の全盛期でした。この年最大のヒットを飛ばした邦画は「セーラー服と機関銃」。これも角川でした。
角川映画については否定的に語られることがありますが、私は角川春樹という人は優れたプロデューサーだと考えています。晩年は確かに「寝床」の旦那でしたが、80年代の初頭においてヒットした映画は全て角川映画でした。深作、市川昆と言ったベテランから崔洋一や井筒和幸の下積みから苦労してきた新人まで様々な人にメガホンを取らせています。質的にも悪くなかった、と思います。
話題が横にそれました。昔、東映の映画の撮影に参加して東映の映画撮影所に入ったことがあるので、映画のシーンで使われる建物を見て「ああここか」とわかるのが結構、嬉しい。東映京都は昔からの撮影所で映画同様に若手がゴロゴロしていました。川谷拓三も大部屋でしたしね。ヤスがどうも拓ボンに、監督が深作監督に重なるなあ、と思うのは私だけではありますまい。「よーし、人を一人殺しちゃうぞ」なんて言ってたのに違いありません。
風間杜夫演じる銀ちゃんが面白い。自分勝手で気分屋で困り者ですが、なんか憎めない。スターというのはああいうもんなんでしょう。ジェームス・ディーンについて「ハチマキ巻いてたこ焼き焼いてる方が似合うんじゃねえか」言うところなんか大爆笑でしちゃ。確かに似合うかもしれねえ。
最近でも「ラストシーン」という撮影所を舞台にした映画がありましたが、(多分、これも東映京都だと思うのだが。。)みんなで協力して一つのものを作っていく撮影所の雰囲気は独特。それがあのラストにつながっていくんだと思うのですが、あれが深作の提案なのか、つかさんの提案なのか、よくわかりません。好きな人は好きでしょう。
製作:角川春樹、脚本:つかこうへい
出演:風間杜夫、松坂慶子、平田満、清川虹子、蟹江敬三、原田大二郎、荻原流行
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