深作まつり第六夜「県警対組織暴力」
2003年3月23日 本日は深作まつり第六夜。「県警対組織暴力」でございます。1975年の作品。この年、深作監督は「仁義の墓場」、「県警対組織暴力」、「資金源強奪」、「新仁義なき戦い 組長の首」と4本も発表。仕事しすぎ。
先週お知らせいたしました笠原和夫による「昭和の劇」ですが少しずつ読み進めています。本日、ご紹介する「県警対組織暴力」は深作×笠原コンビで作られた作品。「KT」の荒井晴彦曰く「シナリオの教科書みたいなホンだと思いました。」笠原さん自身が「完成度が高い」と言っておられる作品です。菅原文太、梅宮辰夫、松方弘樹の揃いぶみ。金子信雄、田中邦衛、成田三樹夫、山城新伍と「仁義無き戦い」のメンバがズラリ。もちろん、室田日出男、川谷拓三もおるでよ。拓ボンはこれで人気が出たそうです。
中国地方・倉島市。(広島と倉敷を掛け合わせてできた地名と思われる)大原組は分派独立した三宅組と激しい抗争を繰り広げていた。抗争の最中、三宅組の組長が何者かに狙撃され、勝敗は決した。三宅組を引き継いだ友安政一は組を解散。市会議員に転じた。一方、組長が逮捕された大原組は代行に広谷を擁立。替わって倉島に進出してきた川手組との抗争が始まった。
この倉島においても警察は存在する。しかし、当時の警察は基本的に地元採用。同じ高校出身でヤクザになる奴もいれば、警察になる奴もいる。ラブホテルの料金をおごってもらっている刑事もおれば、「アカに比べりゃやくざなんか可愛いもんよ。。」と声高に叫ぶ刑事までいる。その中でマル暴の久能は大原組代行の広谷と大変仲がよかった。実は久能には三宅組組長を射殺して自首してきた広谷をかくまったという過去があった。県警と大原組は持ちつ持たれつの関係だったのだ。
しかし川手組と大原組の抗争が激化。中央は遂にキャリア組の海田を本部長として派遣。海田は部下にヤクザとの交友を厳しく禁ずる。反抗する県警であったが、徐々に追いやられていった。ある日、県警が大原組の事務所を強制捜査。どうして知らせてくれなかった、と激昂する広谷。広谷と久能の仲は崩壊しつつあった。友安と手を結んだ川手はボケあがって出所してきた大原親分の篭絡。大原組は川手組に乗っ取られてしまう。遂にキレた広谷は。。。
「仁義無き戦い」は警察が全然出てこない作品でした。実は脚本には法律的に武器をもてなかった警察が山守組に朝鮮人のギャング軍団を取り押さえるように依頼する、ところがあったのですが、カットされたそうです。(DVD化の時に入れてくんないかな。)この作品では主人公の文太は何と警察。
面白かったのは山城新伍と菅原文太が拓ボンをリンチするところ。「おまえら、税金で食うとんねやろ!何さらしとんじゃあ!!」と叫びまくる拓ボンが加えるタバコをまず飛ばす。椅子に座ってるところを蹴っ飛ばす。壁にぶつける。「何すんじゃ」と立ち上がろうとする拓ボンの足をかけて、すっ転ばす。これが何回も続く。蹴っ飛ばす。たまらず、机の下に逃げ込むところを首根っこつかんで引っ張り挙げる。腕ひしぎをかまして「おんどれ、一生、刑務所にぶちこんだろか!」と一喝。窓枠にへばりついて許しを乞う拓ボン。「おんどれ、逃げようと思うとるな!よし、逃げられへんようにしたる!」とフリチンにして踏む、蹴る、踏む、蹴る。。凄すぎます。。大谷昭宏が怒るぞ。
酒の席で梅宮に投げ飛ばされたことにむかついて退職してしまった佐野浅男。人妻と密通し、ヤクザから小遣いもらう最低な警官ですが、官職を棄て極道の世界に身を投じてしまう生き様がかっこいい。警官の中には、裏社会に首を突っ込みすぎて帰れなくなってしまう人がいます。覚せい剤の売買に手を出している警官もいますしね。先月の新潮45でも北海道警察の組織ぐるみの犯罪について取上げられていました。何に税金つかっとるんや。
隙あらば自分がトップになっちまおう、と思う連中ばかりの裏社会において久能のように「おまえの旗をたてるのはわしじゃ」と他人をたてる人は珍しい。ただそうした生き方しかできなかったんでしょうな。最近見た「新・仁義無き戦い/謀殺」で高橋克則が演じたヤクザに似ています。ただこうした人達の末路は。。極道の世界でもカタギの世界でもはぐれ者は生き難い。。思わず自分の身も案じてしまう。。はあ。
今週の素敵すぎる一言
「刑事もヤクザもたいしてかわりゃせんのよ。。仁義の代わりに法律がモノ言う社会じゃ。どっちも就職にあぶれた残り物じゃ。。」
先週お知らせいたしました笠原和夫による「昭和の劇」ですが少しずつ読み進めています。本日、ご紹介する「県警対組織暴力」は深作×笠原コンビで作られた作品。「KT」の荒井晴彦曰く「シナリオの教科書みたいなホンだと思いました。」笠原さん自身が「完成度が高い」と言っておられる作品です。菅原文太、梅宮辰夫、松方弘樹の揃いぶみ。金子信雄、田中邦衛、成田三樹夫、山城新伍と「仁義無き戦い」のメンバがズラリ。もちろん、室田日出男、川谷拓三もおるでよ。拓ボンはこれで人気が出たそうです。
中国地方・倉島市。(広島と倉敷を掛け合わせてできた地名と思われる)大原組は分派独立した三宅組と激しい抗争を繰り広げていた。抗争の最中、三宅組の組長が何者かに狙撃され、勝敗は決した。三宅組を引き継いだ友安政一は組を解散。市会議員に転じた。一方、組長が逮捕された大原組は代行に広谷を擁立。替わって倉島に進出してきた川手組との抗争が始まった。
この倉島においても警察は存在する。しかし、当時の警察は基本的に地元採用。同じ高校出身でヤクザになる奴もいれば、警察になる奴もいる。ラブホテルの料金をおごってもらっている刑事もおれば、「アカに比べりゃやくざなんか可愛いもんよ。。」と声高に叫ぶ刑事までいる。その中でマル暴の久能は大原組代行の広谷と大変仲がよかった。実は久能には三宅組組長を射殺して自首してきた広谷をかくまったという過去があった。県警と大原組は持ちつ持たれつの関係だったのだ。
しかし川手組と大原組の抗争が激化。中央は遂にキャリア組の海田を本部長として派遣。海田は部下にヤクザとの交友を厳しく禁ずる。反抗する県警であったが、徐々に追いやられていった。ある日、県警が大原組の事務所を強制捜査。どうして知らせてくれなかった、と激昂する広谷。広谷と久能の仲は崩壊しつつあった。友安と手を結んだ川手はボケあがって出所してきた大原親分の篭絡。大原組は川手組に乗っ取られてしまう。遂にキレた広谷は。。。
「仁義無き戦い」は警察が全然出てこない作品でした。実は脚本には法律的に武器をもてなかった警察が山守組に朝鮮人のギャング軍団を取り押さえるように依頼する、ところがあったのですが、カットされたそうです。(DVD化の時に入れてくんないかな。)この作品では主人公の文太は何と警察。
面白かったのは山城新伍と菅原文太が拓ボンをリンチするところ。「おまえら、税金で食うとんねやろ!何さらしとんじゃあ!!」と叫びまくる拓ボンが加えるタバコをまず飛ばす。椅子に座ってるところを蹴っ飛ばす。壁にぶつける。「何すんじゃ」と立ち上がろうとする拓ボンの足をかけて、すっ転ばす。これが何回も続く。蹴っ飛ばす。たまらず、机の下に逃げ込むところを首根っこつかんで引っ張り挙げる。腕ひしぎをかまして「おんどれ、一生、刑務所にぶちこんだろか!」と一喝。窓枠にへばりついて許しを乞う拓ボン。「おんどれ、逃げようと思うとるな!よし、逃げられへんようにしたる!」とフリチンにして踏む、蹴る、踏む、蹴る。。凄すぎます。。大谷昭宏が怒るぞ。
酒の席で梅宮に投げ飛ばされたことにむかついて退職してしまった佐野浅男。人妻と密通し、ヤクザから小遣いもらう最低な警官ですが、官職を棄て極道の世界に身を投じてしまう生き様がかっこいい。警官の中には、裏社会に首を突っ込みすぎて帰れなくなってしまう人がいます。覚せい剤の売買に手を出している警官もいますしね。先月の新潮45でも北海道警察の組織ぐるみの犯罪について取上げられていました。何に税金つかっとるんや。
隙あらば自分がトップになっちまおう、と思う連中ばかりの裏社会において久能のように「おまえの旗をたてるのはわしじゃ」と他人をたてる人は珍しい。ただそうした生き方しかできなかったんでしょうな。最近見た「新・仁義無き戦い/謀殺」で高橋克則が演じたヤクザに似ています。ただこうした人達の末路は。。極道の世界でもカタギの世界でもはぐれ者は生き難い。。思わず自分の身も案じてしまう。。はあ。
今週の素敵すぎる一言
「刑事もヤクザもたいしてかわりゃせんのよ。。仁義の代わりに法律がモノ言う社会じゃ。どっちも就職にあぶれた残り物じゃ。。」
コメント