今週の「週刊文春」で小林信彦先生が「ギャング・オブ・ニューヨーク」のことを書いておられ、しっかりとネタばれを披露され、なおかつ間違っていました。テメエは浜村淳かい!とまず突っ込んでおきましょう。

 最近の小林信彦先生、どこかトチ狂ってきてると感じるのは私だけでしょうか。コラムの中でキャメロンディアスをたいしたことない女優と書いておられましたが、彼女は演技うまいですよ。

 「ギャング・オブ・ニューヨーク」は私も見ましたが、早くも今年のワースト候補決定かと思うほど、すっげえつまんねえ映画でした。昨年のうちに見てきた弟が「後半は見なくてもいい」と言ってましたが全くその通り。面白いのはディカプリオがデイ・ルイスに襲い掛かるシーンまで。あとはカス。迷走しまくってます。それからこのマズイ邦題は何とかならないものか。今日はこれじゃなくて今週で上映が終わる「黄泉がえり」。

 この「黄泉がえり」は極めてドラマ的に作られた作品であると思います。日本はアメリカと違ってドラマ俳優と映画俳優の区別が明確に引かれていませんが映画初主演の草薙剛にしても竹内結子(「イノセント・ワールド」という作品もあるが、この人ははっきり言って演技のセンスがない。)にしてもチンコさらしのブタ(俺はこいつ嫌い)にしても石田ゆり子にしてもドラマ俳優(女優)という言葉がぴったり来ます。なのにちゃんと映画らしくなっているのは、塩田明彦監督の手腕なのでしょう。北林谷栄や哀川翔のような映画俳優(女優)を出演させているのが憎い。キャストにとってもこの映画は勉強になったでしょう。最近見た「ラストシーン」という映画の中で映画出演中のアイドルが撮影所の威厳に打たれて、真摯に演技に打ち込むシーンがありますが、同じようなことが撮影中にあったのではないでしょうか。いや、ないかな。

 もう死んでしまった人が突然甦る、これがこの映画のテーマでなっています。この”黄泉がえり”の例が数ケース紹介されます。不慮の死を遂げた恋人を想う女性、死んだ妻を想う医者、死んだ旦那を想うラーメン屋の女将、兄が死んで天涯孤独になった弟、イジメに耐えかねて自殺した少年を密かに想う少女、失踪した息子のことを想いながら50年以上生きてきた老婆、最愛のパートナーを想う歌手。。私にはそうした、甦って欲しい人というのが正直いないので、その気持ちはわかりませんがこの映画の出演陣のような気持ちを持った人は決して少なくないでしょう。私もいずれそれがわかるようになるかも知れません。

 一番出色だったのは、イジメで死んだ中学生のエピソードでした。自分は愛されていない、と身を墓なんで自殺した少年が自分のことを想ってくれた女性のいることに気付く。映画の中ではほとんど出てきませんが、これが一番よかった。

 泣きませんでしたが数回、胸がズンとなるシーンがありました。近頃の東宝系邦画では出来がいい作品です。なお、これは多分、ドラマ化されると思います。サイドストーリーがよくできていますから、長くしやすい。ただ私は「壬生義士伝」の方がお薦めだな。

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