ミーン・マシーン
2002年11月16日 「フルモンティ」「リトルダンサー」とイギリス映画には私の琴線に触れる作品がとても多いのです。この作品もまさにそんな感じで従来の炭鉱ものに代表されるようなイギリス映画のしみったれた路線とガイ・リッチー風のスピード感溢れる演出が合体したような作品になっています。スタッフもキャストも「スナッチ」「ロックストック」組が非常に多い。
主演は「スナッチ」で前歯で銃弾を受け止める殺し屋をやってたヴィニー・ジョーンズ。実際にサッカーをやってたらしい。プロで。先日、DVDで「スナッチ」を見る機会があったのですが副音声として監督と製作の対談が流れていました。それによると「スナッチ」にしても「ロック・ストック」にしてもまともな俳優はほとんどおらず、「スナッチ」で主役やった男(ターキッシュ役)は「スナッチ」の撮影が始まった時には受刑中だったそうです。ちなみにターキッシュもこの映画で「空手で36人殴り殺した男」という役柄で登場します。
ダニー・"ミーン・マシーン"はワールドカップのキャプテンだったこともある、伝説のサッカー選手。しかし、決勝戦で八百長を告発され、サッカー界から追放される。お定まりの堕落した生活。酒飲んで車をぶっ飛ばす。さらに警官をぶん殴ってしまい、合わせて懲役3年の罪を食らう。護送されたダニーは早速、所長より呼び出しを受ける。所長は看守によるサッカーチームの育成に力を入れており、
そのコーチに彼を呼んだのだった。しかしダニーは看守との軋轢を避けるために看守チームと囚人チームの試合を提案。早速メンバーを集め始めるが、ダニーの"悪評"と看守の妨害工作に邪魔され、うまくいかない。。。
「スナッチ」同様の小ネタたっぷりでなかなか面白かったのですが、この演出もそろそろ厭きてきたな。もう少し工夫が必要だと思う。同じ牢獄物としては「ラッキーブレイク」には劣るし、サッカーものとしては「少林サッカー」に負けてしまう。36人を素手で叩き殺した空手家とか、貫禄たっぷりの牢名主とか、憎たらしい看守とかの活躍をもっと増やして欲しかった。ノミ競馬で大借金抱えてる所長の設定は笑えました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この映画を見た「シネフェスタ」が入ってる「フェスティバルゲート」の閉鎖が決定しました。よってこの映画館もつぶれる可能性が出てきました。また一つ関西のミニシアターが減るなあ。。まあ二回しか行ったことないけどね。
本日は「たそがれ清兵衛」を見たのでその感想を書こうと思っていましたが時間がなかったのでかけませんでした。来週は「たそがれ清兵衛」と「OUT」について書こうと思います。今、小説の「OUT」を読んでいるのですが映画とは全然違うなあ。。
主演は「スナッチ」で前歯で銃弾を受け止める殺し屋をやってたヴィニー・ジョーンズ。実際にサッカーをやってたらしい。プロで。先日、DVDで「スナッチ」を見る機会があったのですが副音声として監督と製作の対談が流れていました。それによると「スナッチ」にしても「ロック・ストック」にしてもまともな俳優はほとんどおらず、「スナッチ」で主役やった男(ターキッシュ役)は「スナッチ」の撮影が始まった時には受刑中だったそうです。ちなみにターキッシュもこの映画で「空手で36人殴り殺した男」という役柄で登場します。
ダニー・"ミーン・マシーン"はワールドカップのキャプテンだったこともある、伝説のサッカー選手。しかし、決勝戦で八百長を告発され、サッカー界から追放される。お定まりの堕落した生活。酒飲んで車をぶっ飛ばす。さらに警官をぶん殴ってしまい、合わせて懲役3年の罪を食らう。護送されたダニーは早速、所長より呼び出しを受ける。所長は看守によるサッカーチームの育成に力を入れており、
そのコーチに彼を呼んだのだった。しかしダニーは看守との軋轢を避けるために看守チームと囚人チームの試合を提案。早速メンバーを集め始めるが、ダニーの"悪評"と看守の妨害工作に邪魔され、うまくいかない。。。
「スナッチ」同様の小ネタたっぷりでなかなか面白かったのですが、この演出もそろそろ厭きてきたな。もう少し工夫が必要だと思う。同じ牢獄物としては「ラッキーブレイク」には劣るし、サッカーものとしては「少林サッカー」に負けてしまう。36人を素手で叩き殺した空手家とか、貫禄たっぷりの牢名主とか、憎たらしい看守とかの活躍をもっと増やして欲しかった。ノミ競馬で大借金抱えてる所長の設定は笑えました。
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この映画を見た「シネフェスタ」が入ってる「フェスティバルゲート」の閉鎖が決定しました。よってこの映画館もつぶれる可能性が出てきました。また一つ関西のミニシアターが減るなあ。。まあ二回しか行ったことないけどね。
本日は「たそがれ清兵衛」を見たのでその感想を書こうと思っていましたが時間がなかったのでかけませんでした。来週は「たそがれ清兵衛」と「OUT」について書こうと思います。今、小説の「OUT」を読んでいるのですが映画とは全然違うなあ。。
チェンジング・レーン
2002年11月14日 私の大学時代の友人が大学一年生の時に、親友がヨット事故で死ぬ、財布を落とすなどの不運が続き、挙句の果てには車にはねられました。しかも、歩道を歩いているところを酔っ払い運転にやられたそうです。しかも、これらのことが全て一ヶ月の間に起こったのです。人生には災難が立て続けに起こる時期があり、私もそれを去年に経験しました。この日にだけは起こって欲しくない災難が起こってしまう。だからこそ天災というのですが。また災難は災難を呼ぶのですな。泣き面に蜂、貧すりゃ鈍する、藁打ちゃ手打つ、お便所に行ったら先に人が入っとおる、というな感じですな。
早朝、渋滞の高速道路。二台の車が接触事故を起こす。敏腕弁護士・ベン・アフレックの無理な車線変更が原因だった。車が衝突してつぶれてしまったサミュエル・ジャクソンは激しく怒る。彼は本日、重要なな用事があったからだ。ベンも裁判で急いでおり、小切手を切るとロクに謝りもせずに去ってしまう。呆然と立ち尽くすサミュエル。彼は酒に狂い、家族を崩壊させていた。しかし反省した彼は断酒会に入り、更正しようとしていた。家族の為の家まで購入していた。今日はその審判の日だった。しかし、彼はその時刻に間に合わなかった。家族と暮らす夢は絶たれたのだ。一方、裁判所にたどり着いたベンだったが、あることに気がついた。重要な書類がなかったのだ。彼がかばんを開けたのは後にも先にも小切手を出した時。そうか、あいつか!幸運の神がついたか、彼は裁判所でその男を見つけた。追いすがり、ファイルのことを聞くベンにサミュエルは冷たく言い捨てた。「棄てちまったよ。」今日中に書類を提出しないと弁護士生命は終わり、養父でもあるボスにも棄てられるだろう。。窮地に陥った彼はサミュエルを脅して、書類を持ってこさせようと考え、ハッカーに彼の資産をいじらせ、破産させようとする。。
この二人、これから相手に次々と仕返しをしていくのですが、そのやり取りが面白い。とにかく、ありとあらゆる方法を使って破滅させていきます。全然注目されていない作品ですが脚本でしっかり見せてくれる作品です。親の資産で遊んでるバカ息子みたいな雰囲気を拭い去れないベン・アフレックですが今回はよかったです。サミュエル・ジャクソンが演技うまいのが当たり前ですが。ただ、直訳の邦題をなんとかしてくれんかなあ。。宣伝部の努力に期待する。
【最近、見た映画】
ハッシュ! 11/6 みなみ会館
→面白かった〜。期待してただけの作品ですわ。
マッスル・ヒート 11/7 京都弥生座2
→ケイン・コスギは主演に向かないな。加藤雅也と哀川翔に比べるとなあ、、
チョムスキー9.11 11/8 京都朝日シネマ
→超満員。チョムスキーはステキなオッサンだ。
ドニー・ダーコ 11/8 みなみ会館
→すいません。寝てしまいました。
A2 11/10 日本イタリア京都会館
→オウムのドキュメンタリー。ビデオ化はしないだろうなあ。。
アイ・アム・サム 11/12
→ハリウッド王道物。ショーンペンはすごい、すごすぎる。
チェンジング・レーン 11/12 京極東宝1
→脚本でしっかり見せてくれる佳作
【今週の鑑賞予定】
☆ロード・トゥ・パーディション(京都スカラ座)
×TRICK(京都宝塚)
→堤さんはセンスがあると思いますのでもっといい脚本家をお雇いください。
○チェンジングレーン(京極東宝)
→意外に面白いのではないか、と期待しています。
○ザ・リング(京極東宝)
→落ち着いてからね。
◎トリプルX(東宝公楽)
→今週こそ行きます!。
◎たそがれ清兵衛(Movix京都)
→マンセー評価しかきかん。無気味になってきた。
☆OUT
×セレンディビティ(美松)
→出た!直訳の邦題。興味なし!
◎歌え!フィッシャーマン(朝日シネマ)
→ドキュメンタリー好きな人間にははずせないでしょう。
×TAMALA2010(みなみ会館)
→可愛い絵柄でめちゃくちゃな話はサウスパークが実現しています。つうか絵嫌い。
○子連れ狼ナイト(みなみ会館)
→久々にオールナイト行こうかな。
【大阪】
○にっぽん零年(テアトル梅田)
→レイトショーなのがネック。
△少林サッカー(パラダイスシネマ)
→実はDVDを予約したので考え中
△クライムダイヤモンド
→ガイリッチー、好きだしな。。
【ビデオ】
「燃えよ!ドラゴン」
「スナッチ」
「アリーmy Love?」1
早朝、渋滞の高速道路。二台の車が接触事故を起こす。敏腕弁護士・ベン・アフレックの無理な車線変更が原因だった。車が衝突してつぶれてしまったサミュエル・ジャクソンは激しく怒る。彼は本日、重要なな用事があったからだ。ベンも裁判で急いでおり、小切手を切るとロクに謝りもせずに去ってしまう。呆然と立ち尽くすサミュエル。彼は酒に狂い、家族を崩壊させていた。しかし反省した彼は断酒会に入り、更正しようとしていた。家族の為の家まで購入していた。今日はその審判の日だった。しかし、彼はその時刻に間に合わなかった。家族と暮らす夢は絶たれたのだ。一方、裁判所にたどり着いたベンだったが、あることに気がついた。重要な書類がなかったのだ。彼がかばんを開けたのは後にも先にも小切手を出した時。そうか、あいつか!幸運の神がついたか、彼は裁判所でその男を見つけた。追いすがり、ファイルのことを聞くベンにサミュエルは冷たく言い捨てた。「棄てちまったよ。」今日中に書類を提出しないと弁護士生命は終わり、養父でもあるボスにも棄てられるだろう。。窮地に陥った彼はサミュエルを脅して、書類を持ってこさせようと考え、ハッカーに彼の資産をいじらせ、破産させようとする。。
この二人、これから相手に次々と仕返しをしていくのですが、そのやり取りが面白い。とにかく、ありとあらゆる方法を使って破滅させていきます。全然注目されていない作品ですが脚本でしっかり見せてくれる作品です。親の資産で遊んでるバカ息子みたいな雰囲気を拭い去れないベン・アフレックですが今回はよかったです。サミュエル・ジャクソンが演技うまいのが当たり前ですが。ただ、直訳の邦題をなんとかしてくれんかなあ。。宣伝部の努力に期待する。
【最近、見た映画】
ハッシュ! 11/6 みなみ会館
→面白かった〜。期待してただけの作品ですわ。
マッスル・ヒート 11/7 京都弥生座2
→ケイン・コスギは主演に向かないな。加藤雅也と哀川翔に比べるとなあ、、
チョムスキー9.11 11/8 京都朝日シネマ
→超満員。チョムスキーはステキなオッサンだ。
ドニー・ダーコ 11/8 みなみ会館
→すいません。寝てしまいました。
A2 11/10 日本イタリア京都会館
→オウムのドキュメンタリー。ビデオ化はしないだろうなあ。。
アイ・アム・サム 11/12
→ハリウッド王道物。ショーンペンはすごい、すごすぎる。
チェンジング・レーン 11/12 京極東宝1
→脚本でしっかり見せてくれる佳作
【今週の鑑賞予定】
☆ロード・トゥ・パーディション(京都スカラ座)
×TRICK(京都宝塚)
→堤さんはセンスがあると思いますのでもっといい脚本家をお雇いください。
○チェンジングレーン(京極東宝)
→意外に面白いのではないか、と期待しています。
○ザ・リング(京極東宝)
→落ち着いてからね。
◎トリプルX(東宝公楽)
→今週こそ行きます!。
◎たそがれ清兵衛(Movix京都)
→マンセー評価しかきかん。無気味になってきた。
☆OUT
×セレンディビティ(美松)
→出た!直訳の邦題。興味なし!
◎歌え!フィッシャーマン(朝日シネマ)
→ドキュメンタリー好きな人間にははずせないでしょう。
×TAMALA2010(みなみ会館)
→可愛い絵柄でめちゃくちゃな話はサウスパークが実現しています。つうか絵嫌い。
○子連れ狼ナイト(みなみ会館)
→久々にオールナイト行こうかな。
【大阪】
○にっぽん零年(テアトル梅田)
→レイトショーなのがネック。
△少林サッカー(パラダイスシネマ)
→実はDVDを予約したので考え中
△クライムダイヤモンド
→ガイリッチー、好きだしな。。
【ビデオ】
「燃えよ!ドラゴン」
「スナッチ」
「アリーmy Love?」1
ドキュメンタリー「A2」
2002年11月11日 くしくも日本のドキュメンタリー2連発。先日言った通り、ドキュメンタリーとは扱う題材が命。この映画で扱う題材は超危険物、それは何とあのオウム教団だったのです。
監督の森さんは95年に「A」というオウムを扱ったドキュメンタリーを撮りました。元々はマスコミの仕事であったようですが途中で放映されないこととなって彼が独力で仕上げた作品です。私、映画ファンになったのは98年ごろでしたがその時期からそうしたドキュメンタリーがあることは知っておりました。ちなみにこの「A」はビデオ化しておりません。石井輝男の「地獄」でさえもDVD化される時代において、唯一ビデオ化されない作品かもしれません。その「A」の続編たる「A2」もビデオ予定はないでしょう。
難しい、と思います。こうしたドキュメンタリーを撮るのは。本来、ドキュメンタリーとは政治的意思を持った作品が多く、60年代に多く作られたドキュメンタリーは左翼の立場からとられたもの(小川紳介とか)がほとんどでした。先日の繰り返しになりますが「ゆきゆきて、神軍」が画期的だったのは、何の意見をはさむことなく、淡々と撮っていることでした。実は意外にこれが難しい。何故なら撮っているうちにある種の思い入れがどうしても出てくるからです。私も前半はこの監督はオウムを擁護しとるんとちゃうか?と懐疑的でしたが、信者に対して「あの事件についてどう考えていますか」とか厳しい質問をちゃんとしています。
現在、オウム信者は厳しい立場にあります。まあ当然なんでしょうが。少し前ですがオウム信者の転居届を市役所が受け付けない、ということがありました。こんなのは本当は絶対にやってはいけないことなのですが、世間の目は同情的でした。ドキュメンタリーの中で描かれる、住民のオウム反対運動はすさまじいです。
「オウムの人と口を聞いてはいけません」
「オウムに触れてはいけません」
ここまで行くともう笑うしかありません。
ただそうした看板の前で住民と信者が楽しそうに喋るシーンをカメラは映し出します。戦前、社会主義者には常に尾行がついていましたが、そのうち尾行している刑事と主義者が仲良くなってしまったこともあったようです。もっとも、仲良くなって情報を聞き出そうという作戦もあるのですが。ただ、身近にいるとどうしても情はうつる。
「あんた、もうオウムなんかやめちゃいなよ。こっちの世界に戻ってきたら、俺達が面倒みてやるからさ」
信者が自主退去する際にはオウムグッズをもらったり、「がんばんなよ!」と激励したりする。基本的に信者さんは大人しくて、人のいい人が多い。こうした交流も各地であったとは思います。但し、それは「鬼が来た!」で結局、日本兵が中国人を皆殺しにしたように表層的な付き合いで本心からの交流じゃないと思う。作品の中で右翼がオウム信者と話し合いたいとして警察に止められるシーンがあるのだが、右翼が言った「しっかりとした謝罪を行って解散すべき」というのは正論で、強制的にでも解散すべきであったと思います。
この映画を見ていると信者さんには愛すべき人が多く、見ようによっては住民の方が悪者に見えてしまうことがあります。但し、私が映画を見ている最中にぬぐいきれなかった不安があります。こいつら、いつまでこんなことやってんだろ、と。海水呑んで吐き出したり、電線だらけの帽子をかぶることがどんな修行かは知らないが森さんが荒木広報部長に言ったように「結局、あなた達がきっちりとした総括をしない限り、世間との融解はないと思いますよ」というのが本当でしょう。住民の立場になっても、いざ自分の隣にオウム信者が住んでいると思うと気味が悪い。実際に上九一色村の人は健康被害がありましたし。(軽いサリン被害が出ている。)そういう不安を生み出しているのはオウム教団の煮え切らない態度なのです。
このドキュメンタリーはただ、弱い立場の人を応援するというセンチなものではなく、様々なことを考えさせてくれます。私自身も以前、キリスト教の教会に通っていた時期がありましたが、宗教というものは必要ですし、残るものだと思います。信仰とは何か、社会とは何か、を真剣に考えさせてくれる映画です。ビデオになることは難しいでしょうから、上映スケジュールがあるのなら万難を排し、ぜひごらんください。
監督の森さんは95年に「A」というオウムを扱ったドキュメンタリーを撮りました。元々はマスコミの仕事であったようですが途中で放映されないこととなって彼が独力で仕上げた作品です。私、映画ファンになったのは98年ごろでしたがその時期からそうしたドキュメンタリーがあることは知っておりました。ちなみにこの「A」はビデオ化しておりません。石井輝男の「地獄」でさえもDVD化される時代において、唯一ビデオ化されない作品かもしれません。その「A」の続編たる「A2」もビデオ予定はないでしょう。
難しい、と思います。こうしたドキュメンタリーを撮るのは。本来、ドキュメンタリーとは政治的意思を持った作品が多く、60年代に多く作られたドキュメンタリーは左翼の立場からとられたもの(小川紳介とか)がほとんどでした。先日の繰り返しになりますが「ゆきゆきて、神軍」が画期的だったのは、何の意見をはさむことなく、淡々と撮っていることでした。実は意外にこれが難しい。何故なら撮っているうちにある種の思い入れがどうしても出てくるからです。私も前半はこの監督はオウムを擁護しとるんとちゃうか?と懐疑的でしたが、信者に対して「あの事件についてどう考えていますか」とか厳しい質問をちゃんとしています。
現在、オウム信者は厳しい立場にあります。まあ当然なんでしょうが。少し前ですがオウム信者の転居届を市役所が受け付けない、ということがありました。こんなのは本当は絶対にやってはいけないことなのですが、世間の目は同情的でした。ドキュメンタリーの中で描かれる、住民のオウム反対運動はすさまじいです。
「オウムの人と口を聞いてはいけません」
「オウムに触れてはいけません」
ここまで行くともう笑うしかありません。
ただそうした看板の前で住民と信者が楽しそうに喋るシーンをカメラは映し出します。戦前、社会主義者には常に尾行がついていましたが、そのうち尾行している刑事と主義者が仲良くなってしまったこともあったようです。もっとも、仲良くなって情報を聞き出そうという作戦もあるのですが。ただ、身近にいるとどうしても情はうつる。
「あんた、もうオウムなんかやめちゃいなよ。こっちの世界に戻ってきたら、俺達が面倒みてやるからさ」
信者が自主退去する際にはオウムグッズをもらったり、「がんばんなよ!」と激励したりする。基本的に信者さんは大人しくて、人のいい人が多い。こうした交流も各地であったとは思います。但し、それは「鬼が来た!」で結局、日本兵が中国人を皆殺しにしたように表層的な付き合いで本心からの交流じゃないと思う。作品の中で右翼がオウム信者と話し合いたいとして警察に止められるシーンがあるのだが、右翼が言った「しっかりとした謝罪を行って解散すべき」というのは正論で、強制的にでも解散すべきであったと思います。
この映画を見ていると信者さんには愛すべき人が多く、見ようによっては住民の方が悪者に見えてしまうことがあります。但し、私が映画を見ている最中にぬぐいきれなかった不安があります。こいつら、いつまでこんなことやってんだろ、と。海水呑んで吐き出したり、電線だらけの帽子をかぶることがどんな修行かは知らないが森さんが荒木広報部長に言ったように「結局、あなた達がきっちりとした総括をしない限り、世間との融解はないと思いますよ」というのが本当でしょう。住民の立場になっても、いざ自分の隣にオウム信者が住んでいると思うと気味が悪い。実際に上九一色村の人は健康被害がありましたし。(軽いサリン被害が出ている。)そういう不安を生み出しているのはオウム教団の煮え切らない態度なのです。
このドキュメンタリーはただ、弱い立場の人を応援するというセンチなものではなく、様々なことを考えさせてくれます。私自身も以前、キリスト教の教会に通っていた時期がありましたが、宗教というものは必要ですし、残るものだと思います。信仰とは何か、社会とは何か、を真剣に考えさせてくれる映画です。ビデオになることは難しいでしょうから、上映スケジュールがあるのなら万難を排し、ぜひごらんください。
home
2002年11月8日*水曜日に更新ということでしたが、更新できる間は月、水、金と更新します。ご愛顧のほど、よろしゅう。
これは大阪九条にあるシネヌーヴォのモーニングショーで見たのですが、補助席が出るほどの超満席となりました。まあ日曜日ということもあったのでしょうが、映画学校の学生さんが卒業作品として撮った、ビデオ撮りのドキュメンタリーにしても大入り満員だったと思います。「マッスルヒート」なんて客3人しかおらんかったちゅうねん(笑)。
それだけ注目されたのには理由があります。「事実は小説より奇なり」この言い古された言葉をドキュメンタリーはその意味を改めて認識させてくれます。ドキュメンタリーの金字塔になり、ミニシアターなるものを各地で誕生させた作品、「ゆきゆきて、神軍」神の一兵卒、奥崎謙三の生き様を描いたものでありました。ドキュメンタリーとは扱う題材が命です。そして、この映画の監督さん、小林君が選んだのは自分の家族であったのです。彼のお兄さんは「引きこもり」だったのです。
本人もビデオの中で述懐されていますが、「はじめは家族の問題は俺が解決する、という意識がありました」。作品の題材として、兄貴撮ってみるかあ、と軽い気持ちであったのですが、彼は何年ぶりかに見る実家の様子を見て思わず、嘆息するしかなかったのです。
兄貴は「引きこもり」だしてもう7年。その世話をする母親は兄貴の潔癖症に疲れ果て、うつ病になってしまう。カメラを向けるとひどく怯え、(鬱は周期があり、いつもは平気だが鬱になると泣きだしてしまう)兄貴の顔を見たくないと車の中で寝起きを始める始末。祖母も末期ガンであることがわかり、(本人は知らない。そのせいか、一番元気だった)その介護を誰がするのか、考えただけで恐ろしい。 父親は兄貴とのバトルに疲れ果て、今は埼玉と小林君と二人暮しをしている。(金は実家に送っている。)弟は何とか兄貴と話をして、母親に暴力を奮うことを止めさせようとしますが、本人は完全無視。部屋に入ろうとするとボコボコに殴られてしまいます。しかし、そこは兄弟、話をするようになる。「俺は潔癖症だから外に出ることはできない」と呟く兄貴。兄貴にも新聞記者になりたいという夢があったのだ。ただ、その一歩が踏み出せない。。
ホームページの中で結論が書いてありますし、またチラシ(兄弟で映っている)を見たらわかることですので書いてしまいますが兄貴は家を出て今はアルバイトをしながら一人暮らしをしているようです。映画公開の挨拶にも来ていますから、元気なんでしょう。一方、祖母は寝たきり状態になってしまいました。しかし父親が帰ってきて介護をしているそうです。本当によかったと思います。
実際問題、私の身近にも完全な引きこもりではありませんが、「引きこもり」状態になった人がいます。世話していた母親が鬱状態になったわけもわかりますし、本当に切実な問題であります。引きこもりの話を聞いて思うのは、引きこもっている人はめちゃくちゃ物を考えています。その分、自分の不甲斐なさを感じています。だから一朝一夕には行かない。この映画のクライマックスは兄貴が悩むシーンでしょうが涙さえ誘いました。東京の方ではまだやっているようですから、ぜひ見に行かれてください。
BOX東中野→http://www.mmjp.or.jp/BOX/
これは大阪九条にあるシネヌーヴォのモーニングショーで見たのですが、補助席が出るほどの超満席となりました。まあ日曜日ということもあったのでしょうが、映画学校の学生さんが卒業作品として撮った、ビデオ撮りのドキュメンタリーにしても大入り満員だったと思います。「マッスルヒート」なんて客3人しかおらんかったちゅうねん(笑)。
それだけ注目されたのには理由があります。「事実は小説より奇なり」この言い古された言葉をドキュメンタリーはその意味を改めて認識させてくれます。ドキュメンタリーの金字塔になり、ミニシアターなるものを各地で誕生させた作品、「ゆきゆきて、神軍」神の一兵卒、奥崎謙三の生き様を描いたものでありました。ドキュメンタリーとは扱う題材が命です。そして、この映画の監督さん、小林君が選んだのは自分の家族であったのです。彼のお兄さんは「引きこもり」だったのです。
本人もビデオの中で述懐されていますが、「はじめは家族の問題は俺が解決する、という意識がありました」。作品の題材として、兄貴撮ってみるかあ、と軽い気持ちであったのですが、彼は何年ぶりかに見る実家の様子を見て思わず、嘆息するしかなかったのです。
兄貴は「引きこもり」だしてもう7年。その世話をする母親は兄貴の潔癖症に疲れ果て、うつ病になってしまう。カメラを向けるとひどく怯え、(鬱は周期があり、いつもは平気だが鬱になると泣きだしてしまう)兄貴の顔を見たくないと車の中で寝起きを始める始末。祖母も末期ガンであることがわかり、(本人は知らない。そのせいか、一番元気だった)その介護を誰がするのか、考えただけで恐ろしい。 父親は兄貴とのバトルに疲れ果て、今は埼玉と小林君と二人暮しをしている。(金は実家に送っている。)弟は何とか兄貴と話をして、母親に暴力を奮うことを止めさせようとしますが、本人は完全無視。部屋に入ろうとするとボコボコに殴られてしまいます。しかし、そこは兄弟、話をするようになる。「俺は潔癖症だから外に出ることはできない」と呟く兄貴。兄貴にも新聞記者になりたいという夢があったのだ。ただ、その一歩が踏み出せない。。
ホームページの中で結論が書いてありますし、またチラシ(兄弟で映っている)を見たらわかることですので書いてしまいますが兄貴は家を出て今はアルバイトをしながら一人暮らしをしているようです。映画公開の挨拶にも来ていますから、元気なんでしょう。一方、祖母は寝たきり状態になってしまいました。しかし父親が帰ってきて介護をしているそうです。本当によかったと思います。
実際問題、私の身近にも完全な引きこもりではありませんが、「引きこもり」状態になった人がいます。世話していた母親が鬱状態になったわけもわかりますし、本当に切実な問題であります。引きこもりの話を聞いて思うのは、引きこもっている人はめちゃくちゃ物を考えています。その分、自分の不甲斐なさを感じています。だから一朝一夕には行かない。この映画のクライマックスは兄貴が悩むシーンでしょうが涙さえ誘いました。東京の方ではまだやっているようですから、ぜひ見に行かれてください。
BOX東中野→http://www.mmjp.or.jp/BOX/
なんかヒットしているようですが、これはメル・ギブソンが主演でなく、ミニシアター配給だったら、3ヶ月ほど走って、映画ファンの間で少し話題になって終わる映画だと思います。
こういう映画は感想が書きにくいのです。だって何を書いてもネタバレになる可能性を含んでいるからです。(まあシャマランの映画は全部そうですが)監督がこの映画を大真面目に撮ってるのか、それか「発狂する唇」みたいなスタンスで撮っているのか、わかりませんが、大真面目に解釈すると全ての出来事には意味がある。監督は少なくともそう考えている。おすぎが「これは宗教の映画」と言うておりましたが、そう言えばそうかもしれません。
「マグノリア」に近いですが、「マグノリア」は「人生って何が起こるかわからない。だから面白い」という爽快感を持っているのに対し、「サイン」は「人生の不可解なことにも全て意味がある。だから神に感謝しなさい」という“畏敬”を示した「道徳の映画」みたい。
私の身近でくすくす笑ってる方がいらっしゃいましたが確かに笑えるポイントは多い。「よーし。パパは今日、ベーコン・ハンバーガー食べちゃうぞ!(2ちゃんねる風)ベーコンたっぷりのせてやる!ホアキン!おまえは何が欲しい」「あー。。。テリヤキ」の件(くだり)とか子供の読んでる宇宙に関する本が小さな本屋の倉庫で眠っていた本で作者が「異端者科学者グループ」(失業者が書いた本か、というシュートなツッコミがあり)で内容もトンデモだったり、ホアキンが陳腐な宇宙人映像に怯えたり。。
まあとりあえず一度、ごらんになることをお薦めします。
こういう映画は感想が書きにくいのです。だって何を書いてもネタバレになる可能性を含んでいるからです。(まあシャマランの映画は全部そうですが)監督がこの映画を大真面目に撮ってるのか、それか「発狂する唇」みたいなスタンスで撮っているのか、わかりませんが、大真面目に解釈すると全ての出来事には意味がある。監督は少なくともそう考えている。おすぎが「これは宗教の映画」と言うておりましたが、そう言えばそうかもしれません。
「マグノリア」に近いですが、「マグノリア」は「人生って何が起こるかわからない。だから面白い」という爽快感を持っているのに対し、「サイン」は「人生の不可解なことにも全て意味がある。だから神に感謝しなさい」という“畏敬”を示した「道徳の映画」みたい。
私の身近でくすくす笑ってる方がいらっしゃいましたが確かに笑えるポイントは多い。「よーし。パパは今日、ベーコン・ハンバーガー食べちゃうぞ!(2ちゃんねる風)ベーコンたっぷりのせてやる!ホアキン!おまえは何が欲しい」「あー。。。テリヤキ」の件(くだり)とか子供の読んでる宇宙に関する本が小さな本屋の倉庫で眠っていた本で作者が「異端者科学者グループ」(失業者が書いた本か、というシュートなツッコミがあり)で内容もトンデモだったり、ホアキンが陳腐な宇宙人映像に怯えたり。。
まあとりあえず一度、ごらんになることをお薦めします。
これから、毎週水曜日に映画の感想を更新していこうと思います。コンセプトとしては、なるべくネタバレすることなく、権威におもねることなく、自分の感想を素直に書こうと考えています。
私はどんな映画であろうとも(一部の邦画は除きますが)とりあえず見てみることを薦める淀長主義者ですので、評論は致しません。映画の感想というのは千差万別で、たとえば私は「ダンサーインザダーク」のよさがさっぱりわかりませんが、この映画を「心の映画」に選ぶ方もいらっしゃいます。よかろうが悪かろうが興味を抱いたならとりあえず見てみることをお薦めします。1800円と言えども二回、メシを抜けば充分補填できる金ではありませんか。
私はここ数年、映画を年に50本以上見ていますが時には自分の趣味ではない映画を見ることもあります。「あかん」と思うと見てみると意外に当たりがでることがあります。(そんなことは10回に1回も無いですが)また反対に「絶対いい」と思いながら見て「なんじゃい、こりゃ」と思う作品もございます。(特に邦画に多いです。)
当ホームページの目的は映画ファンの層を広げ、映画界の繁栄を促すことです。映画は娯楽であり、国の金で保護される藝術ではないのです。二度と「京都朝日シネマ」のような悲劇を起こさない為にも。それと私自身がこうした映画の感想を読むのが好きなので、こうしたサイトが他にできるといいなあ、と思います。私の映画プロフィールに関してはぼちぼち書いて行きたいと思います。詳しいことはホームページでも見てください。(宣伝)
ps タグが使えないとは思わなかった
私はどんな映画であろうとも(一部の邦画は除きますが)とりあえず見てみることを薦める淀長主義者ですので、評論は致しません。映画の感想というのは千差万別で、たとえば私は「ダンサーインザダーク」のよさがさっぱりわかりませんが、この映画を「心の映画」に選ぶ方もいらっしゃいます。よかろうが悪かろうが興味を抱いたならとりあえず見てみることをお薦めします。1800円と言えども二回、メシを抜けば充分補填できる金ではありませんか。
私はここ数年、映画を年に50本以上見ていますが時には自分の趣味ではない映画を見ることもあります。「あかん」と思うと見てみると意外に当たりがでることがあります。(そんなことは10回に1回も無いですが)また反対に「絶対いい」と思いながら見て「なんじゃい、こりゃ」と思う作品もございます。(特に邦画に多いです。)
当ホームページの目的は映画ファンの層を広げ、映画界の繁栄を促すことです。映画は娯楽であり、国の金で保護される藝術ではないのです。二度と「京都朝日シネマ」のような悲劇を起こさない為にも。それと私自身がこうした映画の感想を読むのが好きなので、こうしたサイトが他にできるといいなあ、と思います。私の映画プロフィールに関してはぼちぼち書いて行きたいと思います。詳しいことはホームページでも見てください。(宣伝)
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