←これ買いました。久々に本気で大笑いしますた。体を張ったギャグはこんなに笑えるのだ。眉ひそめる方もいらっさるでしょうが、俺はこんな笑いは大好き。こんな番組作れるアメリカってやっぱり偉大!アメリカ様、万歳!日本の弱虫子犬君揃いのマスゴミ(誤植にあらず、為念)にはこんなの作れねえもん。。スポンサーのご機嫌伺いするのが関の山。「おまえら、芸者になったんじゃ」(by大友勝利)もっとも本国でも危険すぎて打ち切りになったがな。

楽しかったのは(vol.2しか見てない)
「ホッケー選手、場外乱闘」(ただただ街角で殴りあう)
「店の中でボクシング」(店員がマジ切れ)
「ワックスで脱毛」(マジで痛そうだ)
「カップの性能を確かめる」(子供に金玉蹴り上げられてた)
「人間ボーリング」(出演者に泣きが入ってた)
だな。

ちなみにvol.1はあまりにも過激なために発売されてません。←ここ注意。

そのジャッカスが映画になった!!!

「jackass the movie」
↓ ↓ ↓
http://www.uipjapan.com/phej/mtv/index.htm

当然ながら日本では公開は全く未定だったのですが、映画秘宝編集部の熱心な宣伝のおかげでこの12月18日から渋谷にて公開決定!!

関西に来るんだろうか。やるとしたら、テアトル梅田かシネフェスタだろうけど。。第七藝術劇場とかシネ・ヌーヴォは嫌いそうだし。。

行くか?また行っちゃうか?

いっちゃえ、いっちゃえ。ボーナス出るんだし。
 今日は勝新の出世作「不知火検校」。1960年の作品です。ご存知のように勝新は雷蔵と同期入社で「花の白虎隊」で同時デビュー。早々に人気者となり、大映を背負う看板になっていく雷蔵に比べて勝新が売れるのには大変時間がかかりました。というのも当時のスターは白塗りの二枚目が主流。勝新も充分に男前なのですが線がごつかった。デビュー五年目にして「薄桜記」で市川雷蔵と二枚看板。本人は脚本の伊藤大輔に「どちらが主演か」と聞くほどに焦り始めていたらしい。

 が、この作品で一番目立ったのはなんと言っても雷蔵。ラストの傷だらけになりながらの殺陣はぞっとするほどに美しかった。二枚目路線で雷蔵に勝つのは無理だなと考えたのでしょう。当時の勝新は暇さえあれば企画部に来て自分にあった題材を探していたそうです。そして出会ったのは宇野信夫のエログロ講談を元にした歌舞伎の「不知火検校」。勝新は自ら、原作者に映画権の交渉をするほどの熱の入りようで当時のプレスには「彼のライフワークとしてこの一作に体当たりする真剣な態度と。。」と書かれています。大変に気合の入った作品であったのです。宣伝文句は「犯して殺して骨までしゃぶる悪で名代の美形あんま」というすごいものでした。昔の宣伝部って頭ひねってたんだねえ。

 貧乏長屋でうだつのあがらない父と男まさりの母親に育てられた杉の市(勝新太郎)は、異常に悪事に対しては知恵が回る男だった。少年時代から、知恵の足りない留吉(丸凡太)を連れての悪事三昧は成人して権勢を誇った不知火検校(荒木忍)に入門した今も相変わらずであった。貧乏長屋に育ち、全盲というハンディキャップを背負った彼にとって金と出世は何よりも大切なものであった。彼が狙うのはもちろん、二代目不知火検校。が、師匠は彼を鼻くそほどにも思わずにこきつかうばかり。

 ある日、市は旅の途中で発作に苦しむ旅人に出会う。介抱していた市であったが旅人が懐中に二百両ものの大金を持っていることを知ると殺して金を奪ってしまう。ところがそれを見ていた者がいた。生首の倉吉(須賀不二男)というヤクザだ。市は口止め料として百両を渡すが彼から言葉巧みに倉吉の書付をもらい受ける。市はタダでは転ばない。死体に書付を握らせると立ち去ってしまった。

 この50両を元に市は高利貸しを始める。旗本の岩井(丹羽又三郎)の奥方の浪江(中村玉緒)が夫には内密の借金を頼みに来た。弱みを握った市は浪江を金でつり上げて犯し続ける。一方、市は倉吉と再会。倉吉は丹治(安部徹)などと裏商売で押し込み強盗を働いていた。強盗に加担して得意先への手引きをする市。遂に師匠の家に押し込もうとするが。。

 勝が演じる杉の市は自分の栄達や金のためには手段を選ばぬ大悪人。後にこのイメージが座頭市につながっていくのですが、この主人公の悪人ぶりは異質。犯した女が自殺したら「何も死ぬほどのことはありゃしねえ」と嘯くわ、仲間だって平気で裏切るわ、見ず知らずの他人も殺してしまう。言葉巧みに優しく近づいてねこそぎ奪ってしまう。本当に大悪人。が、不思議に不快感を覚えないのはこの男の悪人ぶり以上に強く匂う人間力の強さと人間臭さだろう。「血と骨」もそれは強く匂ったがこちらの匂いは強烈。ラストで市はかつての悪行が全て暴かれ、得意の絶頂からどん底まで落ちるのですが「馬鹿野郎め!」と悪態をつきながら警吏に引きづられて行く姿はふてぶてしい中にもかっこよさまで感じてしまった。

 この翌年、勝新は「悪名」のヒットでスターの仲間入りを果たします。そして「不知火検校」で脚本を書いた犬塚稔と「座頭市物語」を生み出してスターの地井を不動のものとして「カツライス」と呼ばれる時代に突入します。従来の二枚目とは違って、天衣無縫で人間臭いキャラクターが大活躍する映画で一時代を築きました。それが勝プロ時代になると「御用牙」シリーズのように化け物みたいな主人公が出てくる、変な作品が出てきますが、「兵隊やくざ」「座頭市」「悪名」シリーズを中心として大映で作られた作品は安心して見てられます。私が好きなのは「兵隊やくざ」「座頭市地獄旅」「座頭市血煙街道」「やくざ絶唱」「とむらい師たち」あたりが好きで去年の12月にやった「勝新映画祭」で夢中になって見てましたね。森一生、田中徳三、三隅研次、増村保造と監督にも恵まれてましたな。

 なお、中村玉緒はこれが勝新との初共演。翌年、「悪名」で共演しますがその時には婚約していました。脚本の犬塚稔は「狂った一頁」などの代表作を持つ大ベテランの脚本家で勝新は売れてからも頭が上がらなかったそうです。

監督:森一生 脚本:犬塚稔 原作:宇野信夫 撮影:相坂操一 企画:奥田久司
キャスト:勝新太郎、中村玉緒、近藤美恵子、鶴見丈二、丹羽又三郎、安部徹、須賀不二男、荒木忍、山本弘子、丸山修、丸凡太
☆偽れる盛装 10/1 高槻松竹セントラル
★★★
→京都を舞台にした芸者の一家のお話。京マチ子がくらくらと来るぐらい、色っぽい。劇中、「京都は戦災を逃れたおかげで町並みは残ったけど古い因習は残らない」という台詞には思わずうなづいてしまった。男としては、目をぎらつかせながら包丁を振り上げる菅井一郎よりも、立ち飲み屋の主人になってさばさばしてた殿山泰司よりも、板前で粋を体現したような感じの進藤英太郎が男の目指すところに見えた。よし!おれも芸者遊びできるような身分になるぞ。(無理やって)

☆細雪 10/1 高槻松竹セントラル
★★★★
→1983年に作られた女性映画。このあたりから映画の観客の中心は徐々に女性に移行していきます。岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川裕子と恐ろしいほど豪華なキャストをそろえたこの映画は市川昆が女優を綺麗に魅力的に撮りあげるために精魂こめた豪華絢爛の映画でこれはスクリーンで見るべき作品です。呉服メーカーがバックについて女優が着せ替え人形のように着物を着まくります。一番魅力的だったのはお乳を見せての熱演だった古手川裕子。男性陣では桂小米朝の”落語”演技がやや気になったが伊丹十三、石坂浩二と言った曲者がいい味を出している。なお、岸恵子と佐久間良子は昔、鶴田浩二を取り合ったことがある犬猿の仲で映画の撮影時も火花がバチバチと音を立ててたそうです。佐久間良子の方が綺麗だ。(きっぱり)

☆五番町夕霧楼 10/3 高槻松竹セントラル
★★★★
→金閣寺炎上を題材に取った水上勉の小説を東映の良心だった田坂具隆。田舎から出てきて遊女になった少女の物語だが、この映画は主人公の少女を演じた佐久間良子の美しさ、可憐さに尽きる。ぽちゃぽちゃしたほっぺたにつぶらな瞳に透き通るような白い肌。鶴田浩二は彼女を大変に気に入って彼女との共演するシーンを増やすために脚本を書き加えさせたらしい。うらやましいなあ、、、遊女なので濡れ場は当然にあるのだが田坂監督は「裸は撮らない」と断ってしまった。岡田茂が懸命に説得して佐久間良子が布団の中で親指を噛みながら首を左右に振るというシーンを入れたらしいがこのシーンがめちゃくちゃに色っぽくてエロっぽい。貧乏な青年を演じさせると天下一品の河原崎長一郎も大熱演であった。

☆雁の寺 10/3 高槻松竹セントラル
★★★
→増村保造の映画ばかり見てるせいか、若尾文子は白黒の方がエロく見えて仕方がない。増村が撮りそうな映画なんだが監督は川島雄三。ラストに遊び心が見えててシャレが聞いてる。若尾文子もいい女優でため息つく仕草に腰が砕けそうになる。

☆祖母が亡くなりました。今日はお通夜でした。明日はお葬式。

正直、めんどうくさい。
☆帰宅後、大津の滋賀会館シネマホールにて松田優作の「野獣死すべし」を見に行く。この寒い、今にも降りだしそうな天気の中に往復1000円近くも出してわざわざ大津まで旧作を見に行くのはどうかなとも思ったが、「野獣死すべし」の室田日出男ではありませんが「こんな阿呆がいてもいいだろう」と思い直して、大津へと向かった。

☆大津は京都駅から電車で10分。単純に電車に乗っている時間で言うと京都駅から今出川に行くのと変わらない。が、駅から一歩出るとすこには県庁所在地とは思えないほど寂しい雰囲気が漂っている。遠くの町に来たようである。そうした雰囲気がちょっぴり好きだったりする。しかし。。相変わらず、ここは客が少ない。今日も10人足らず。ちと寂しい。

☆見終わって思ったのはこれが角川映画だったというのが凄い。最も、角川春樹は作品を見て激怒したらしいが。死人のように歩く、不気味な男を松田優作が好演している。後半の室田日出男との対決から衝撃的なラストまでの演技は彼の独断場。最後まで画面いっぱいに緊張感をたぎらせて、観客を最後まで楽しませてくれる。それから円熟期に入っていた室田日出男も素晴らしい。飄々としながらも、犯人の一挙一足すらも見逃さない狡猾な刑事ぶりを発揮していた。実はこの映画が私の今年の劇場鑑賞映画の200本目。わざわざ大津まで足を運んでよかった。

☆来月の4日に開館する京都シネマから内覧式の案内が来た。内覧式というのがよくわからんので電話して聞いたところ、プレミア会員を対象にした映画館の見学会みたいなもんらしい。こんな機会もなかなかなさそうなので、休み取って行くことにした。

☆戦前に大活躍した映画女優の市川春代さんが亡くなられました。「鴛鴦歌合戦」の調子っぱずれな歌声が印象的でした。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/fu/news/20041119k0000e060065000c.html

☆さて奈良で起こった事件である。目撃者もいたし、不審者のことは前から噂になっていたようだから割と早くに逮捕されると思うが、なんともひでえ事件である。携帯で死体の画像を送るって普通の神経じゃないな。なんか映画みてえな犯罪だ。死体が棄ててあったところが「殺人の追憶」のロケ地によく似てるしな。歯を全部抜いたとあるが、生きている間に抜いたのか、死んでから抜いたのかで犯人像が変わってくると思うが。こいつが映画ファンだったら厭だなあ。。また猟奇サスペンスものが延期になっちまう。

☆明日は「ハウルの動く城」。初日に行ってきます!
 今日、紹介するのは第七藝術劇場で見てきた「アトミック・カフェ」。1982年に作られた作品です。どうしてそんな作品が話題になっているか、というと「華氏911」のマイケルムーアの映画の師匠がこの映画を撮ったラファティ兄弟。兄貴のケヴィンは撮影を担当しています。なおこの兄弟は何とブッシュの従兄弟。ムーアの「アホでマヌケなアメリカ白人」を読んでいる人は思い出そう。エピローグでジェフ・ブッシュ(ブッシュの弟でフロリダの知事)とケヴィンについて話すシーンがある。最もケヴィンはブッシュの親父を破ったクリントンのドキュメンタリーを撮ったりしています。なおムーアは彼と12年以上も仕事はしていないそうです。

 ムーアの映画の醍醐味と言えば、ダレがちなドキュメンタリーをテンポよく見せてくれるところにあります。その彼がよく使うのは昔の映像を引っ張り出して面白く使う。「華氏911」の「同盟軍の登場!」で数々の珍妙なフィルムをナレーションにうまくあわせて作っていた。「アトミックカフェ」は昔のキテレツな啓蒙映画やニュースフィルムを組み合わせて作られた作品です。ナレーションや新しく撮られたフィルムは使われていませんので、ムーアの映画とは印象が変わります。が、ムーアがこの映画から受けた影響は窺い知ることができます。そしてラファティ兄弟が選んだお題は「原爆」。第二次大戦終戦直前からのニュースフィルムや広報用フィルムがネタに使われています。

 今でこそ、核爆弾は全世界でも減らしていこうという風潮になっていますが当初はそうでもありませんでした。エノラ・ゲイ(広島に原爆を投下した爆撃機)の機長のインタビューからこの映画は始まります。原爆の投下が戦争の終結を早めたと当時の大統領だったトルーマンが語ったように原爆は強力な武器でした。日本でも終戦直後に「原爆ラーメン」だのありましたし、プロ野球でも松竹水爆打線ってのもありました。「原爆固め」もあったよな。朝鮮戦争で原爆を使うべきだと主張したマッカーサーは熱烈に支持されました。アメリカの50年代はマッカーシー旋風が吹き荒れて、共産主義者は追放されてしまいます。その中で"I like lke"の風に乗って、二次大戦の英雄で政治家としては全くの無能であったアイゼンハワーが大統領になります。

 そうした社会風潮で撮られた広報映画やニュース映画が多く使われています。前半のエノラ・ゲイ機長のインタビューと能天気に原爆の威力をたたえる阿呆なロカビリーは正直、むかついた。関西在住の方は思い出してくれ。最近まで「京都に空襲がなかったのはアメリカが文化財の破壊を望んでいなかったからだ。」とか言う説があったが、京都は原爆投下の第三候補であり、空襲しなかったのは原爆の威力を試すつもりであったのだ。投下予定地は私の実家から50mも離れちゃいねえ。一つ間違えば、私は生まれてこなかったのだ。原爆の効果を試すってこいつらは日本を何だと思ってやがんだ。被爆者の映像もあるしね。こういう映画を見て目くじら立てて怒るのは野暮天かもしれねえが、やっぱアメリカは地獄に落ちろ。アルカイダがアメリカに核を落とすとか言っていたが、いっぺんやったったらいい、と思う。俺は応援するぜ!

 面白かったのはカメのバートが出演する「DUCK and COVER」。原爆が落ちたらどうする?→さっと隠れて頭を覆え。放射能は?→大丈夫!全然危険じゃない、と笑うという唖然とするアホアホすぎる子供向けの教育映画。こうした冷戦下のアホアホな啓蒙映画はサウスパークでもネタにされてました。製作者はこんなのを真面目に作ってたのか?

 冷戦下のアメリカを探る資料としても楽しめますが、日本でも戦時中のフィルムや新聞を見ると似たようなことはどこでもやっていることがわかります。政府による大衆の操作というのはこういうものだ、と冷静に今でこそ見つめられていますが、そうしたことは今も進行中だったりするのです。いや、アメリカだけじゃなくて日本でもね。日本でもこういう映画ができたら面白いんだろうけど著作権の問題とかで難しいんだろうねえ。NHKならできるかもしれないけど。。やらんやろうね。

監督・製作・編集:ケヴィン・ラファティ、ピアース・ラファティ、ジェーン・ローダー
 今日、紹介するのは梁石日の自伝小説の映画化である「血と骨」。監督は「刑務所の中」の崔洋一で脚本は「OUT」の鄭義信。この組み合わせは93年の「月はどっちに出ている」以来で11年ぶり。「月はどっちに出ている」は93年のキネ旬ランキングで二位の「お引越し」に大差をつけて一位を奪取しました。在日という言葉がまだタブーワードに近かった時代に在日朝鮮人の生き様をあざやかに描き出したこの作品は、この年の代表作になったのです。この作品にはユーモアたっぷりに動き回る人間が描かれていました。

 1920年代。多くの朝鮮人が一旗挙げようと日本に渡ってきていた。済州島出身の金俊平(ビートたけし)だった。大阪の朝鮮人集落に住んだ彼は並外れた暴力を頼りにヤクザにすら、一目置かれる存在になっていく。やがて彼は金正雄(新井浩文)の母となる李英姫(鈴木京香)と出会う。幼い娘を女手一つで育てながら飲み屋で働く彼女を気に入った俊平は暴力で彼女を自分のものにしてしまう。そして花子(田畑智子)と正雄が生まれた。しかし、その生活は円満とは程遠く、俊平の暴力に母と子は怯えるだけであった。家は荒れ放題で地獄のような毎日であった。

 戦争が終わると俊平は子分の高信義(松重豊)、元山(北村一輝)を従えてかまぼこ工場を始める。事業は成功し、巨万の富を得る俊平。そこに俊平の息子と名乗る朴武(オダギリジョー)が突然現れる。俊平が済州島で犯した人妻の子供であった。武は愛人の早苗(中村麻美)を呼び寄せ、好き勝手に暮らし始めた。正雄は颯爽とした武に憧れる。武は俊平に金を要求するが、俊平は拒絶して大喧嘩になる。

 やがて俊平は家を出て同じ町内に愛人を囲う。戦争未亡人の清子(中村優子)だ。英姫は昼間からセックスに狂う二人に怒りを覚えるが、俊平が家にいないことで安堵も覚えるのだった。。。

 この映画の主人公である金俊平は並外れた暴力で相手を叩きのめし、女を犯し、金を握る男で圧倒的な存在感も持ちます。家族にしてみればこれほど迷惑な男もおらんし、知り合いにも欲しくないタイプです。だが、たけしが語るように見方を変えると「この人は強烈に悪いけど純真な」男なのだ。自分の体だけを信じて、自分の思うように酒を飲み、女を抱き、金を稼いだ。関西の在日社会では俊平は伝説になっており、たけしも「血と骨」を知る前から金俊平の存在を知っていたらしい。友達にはなりたくないタイプだし、「あたまのおかしなオッサン」なのかもしれません。ただ、そのすさまじい人間力には何か惹かれるものがあるのだ。

 金俊平の凄かったところは誰にも頼らなかったところだ。韓国は同族社会で一族の結びつきが強い。狭い在日の社会では在日同士が助け合っていきていたし、固まって過ごしていた。が、俊平は同胞をこき使い、甥っ子からも銭を取った。そして家族を奴隷のようにこきつかった。彼が信じたのは自分の肉体だけであった。それだけに、彼が脳溢血のために倒れた時にはじめて「たたれへん。。」と不安げな顔で呟くシーンが印象的だった。

 俊平を演じたのはビートたけし。自分の監督作品以外での主演は久しぶり。「御法度」での共演(近藤を崔、土方をたけしがやった)が有名ですが崔洋一のデビュー作「十階のモスキート」にもチョイ役(予想屋)で出演していました。役者としてのたけしは演技はあんまりうまくありませんが、「バトルロワイアル」の先生役のように圧倒的な存在感を持っている。金俊平の得体の知れなさ、怖さみたいなものをよく体現していた。ただ惜しむらくは肉体がついていってないので、暴力シーンに説得力がないのだ。「コミック雑誌なんかいらない!」をやってた頃のたけしなら、怖いほどの迫力になっていたと思う。それから老人メイクはやはりコントのイメージが強すぎる。

もし時代が10年前なら俊平を誰が演じていただろうか。

緒形拳、原田芳雄、萩原健一、菅原文太と名前は何個でも挙がるが、もし彼が生きていたなら絶対に手を挙げていた。

松田優作である。

祖国の血を誇りにしていた彼なら、嬉々として金俊平になりきっただろう。

いずれにせよ、仮定の話である。

 今の40代の俳優で金俊平を演じきれる俳優は少し考え難い。佐藤浩市、豊川悦司、岸谷五朗、中井貴一と俳優の名前を思い浮かべるが、しっくり来ない。崔がたけしを指名したのは賢明だったと思う。

 パンフによると阪本順治がこの映画を撮りたがっていたらしい。「KT」や「新・仁義なき戦い」と在日社会にこだわってきた彼ならば、そうだろうなと思う。彼が撮ったならばどんな作品になっていただろうか。彼ならば在日を通した”昭和史”の側面を強調した芸術映画になっていただろう。しかし私はそうした”昭和史”を映画の彩りにとどめて、あくまでも俊平の生き様に焦点を定めた、この描き方がよかったと思う。賛否両論な作品ですが、映画の醍醐味をたっぷり味わえた作品だった。俳優では高を演じた松重豊、ヌードも披露した濱田マリ、借金で追い詰められる國村準がよかったです。

監督:崔洋一 脚本:崔洋一、鄭義信 原作:梁石日 撮影:浜田毅 美術:磯見俊裕 音楽:岩代太郎 
キャスト:ビートたけし、田畑智子、國村準、オダギリジョー、中村麻美、鈴木京香、濱田マリ、松重豊、北村一輝、新井浩文、中村優子、柏原収史、寺島進、伊藤淳史、唯野未歩子、平岩紙、トミーズ雅、仁科貴、斎藤歩、佐藤貢三、三浦誠己、伊藤洋三郎、塩見三省
☆11月13日にシネ・ヌーヴォで行なわれた映画番長オールナイト「映画番長VS刺客オールナイトッ!」を見てきました。これも「刑事まつり」の系譜につながるおまつりなんだが、作品の出来よりもノリでかっ飛ばしてた「刑事まつり」に比べるとずっと予算も多いし、見てられる作品になっている。同型のDVカメラで同一予算という条件の中でコメディ、エロ、ホラーの分野で映画を撮る。気鋭の監督を映画番長として、新人を刺客としてその作品の質を勝負する、という大層面白い企画である。昔のATG映画みたいな雰囲気である。雨後の竹の子のように新人監督が溢れている状況であるが、ほとんどがテレビ畑やCM畑の人で異業種からの参入が多い。映画監督になりたい人は他の分野で功を成してから入るのが一般的に見える。もう一つの道が黒沢清や清水崇のように自主制作から入る道だろう。「映画番長」もそうした自主制作からの登竜門みたいな雰囲気も持ってて、映画美の学生も製作に参加している。

☆東京では渋谷のユーロスペースで長期にわたって上映されて好評を博した企画ではあったが関西ではシネヌ-ヴォで一週間のみの上映。さぞかし、多くのお客さんが来てるんだろうなあ、と前売り券をゲットしてなかった私はおそるおそる8時半過ぎに窓口で残部数を尋ねたが整理券の番号は何と10番台。そしてレイトショーの「片目だけの恋」もガラガラ。拍子抜けした感じであったが、オールナイトも半分も入っていなかった。ここは土日のイブニングショー、レイトショーは大入り満員なんだが。。

☆一抹の寂しさを感じる。この手のおまつりは映画館側にしても、手がかかる企画なんでお客さんが入らないのなら辞めてしまうだろう。東京ではまだまだこの手の企画にお客さんが入って、話題にもなっている。人口が多いから、だというのもあるがそれだけでは片付けられない。関西にそうしたパワーが少なくなってきている感じがするのだ。東京に住む映画ファンにはやはり映画文化の先頭に立つのは東京人だという自負があるのだろう。東京国際映画祭、ファンタスティックもあるし、ラピュタ阿佐ヶ谷もあるし、ボレボレ東中野もあるし、渋谷のミニシアター街に三百人劇場、新文芸座と東京の方がそりゃ中心で関西なんか既存のミニシアターがバタバタと倒れてるような状態でどうしようもないんですが、こうした企画に客が入らんというのはこれは本格的に、文化の発信地=東京という方向が進んでしまっている。大阪、名古屋、福岡、広島も今や他の地方と同じで地方都市になってしまうのか。もちろん、地元で地元発信のエンターティメントを作ろうとしている人はいるんですが、笛は吹けども踊らずではねえ。。(これは自戒の意味も込めて。口だけでは駄目なんで主体的に何かやらねばならんと考えている。)さいたま、ちばを始めとする首都圏+長野みたいに方言棄てて、東京からあのアクセスが如何によいかのみがとりえの、東京のおこぼれ預かって生きていく方が楽なんだろうが、関西もそうなるのか?関西が駄目なら他の地方も総崩れやで。ただ、新文芸座で大ヒットとなった中島貞夫映画祭もあんまり入ってなかったみたい。中島貞夫ってこっちの方が本場やで。もっとも、映画番長にしてもオールナイトやるんだからゲストの一人でも寄越しやがれとは思うぞ。

☆象!象!象!さん(http://diarynote.jp/d/45998)もオールナイトに行かれた用で詳細なレポを書いておられます。文中に出てくる“つぶした納豆をわざと足に塗って来た”人は私ではありませんので、これだけは書いておきます。(笑)私は大人しく、見ておりました。

。。。まあこれは書かなくてもいいが。。学生時代には駄菓子を食いながら映画を見るという悪癖があり、(そのせいで太った)マナーのいい客ではなかったと思います。駄菓子を食いながら映画を見てて、後ろのおばさんに「うるさいのですが。。」と咎められたこともあります。(そのおばさんは一番後ろに座ってて前から3番目の私にわざわざ歩いて注意しにきました。よほどうるさかったのか、そういう人なのか。少し怖かったです。)最近はせいぜいフリスクぐらいであんまり食べなくなりました。ポップコーン大嫌いだしね。あ、それからもう何年も映画見てますが映画館で食い物を買ったことないです。多分、死ぬまで買いません。

☆脱線しましたが作品の質はどれも素晴らしく高く、ほとんど眠りませんでした。(「稀人」の前半は少し寝た)画像がきたねえだろうからどうかなと思いましたが、思った以上に綺麗でした。個人的には「ラブキルキル」が一番よかったです。津田寛治の面白さを引き出したかたちで料理したのは”刺客”であった。これからが楽しみです。瀬々さんの「ユダ」もよかったです。デビューの「バウンスKOGAL」以来に久々に出ずっぱりの岡元夕紀子のお姉さまが大変美しゅうございました。え?この人は私より一つ下ですか?
☆今日はポッキーの日でもあり、鮭の日でもあります。ついでに言うと電池の日でもあるそうです。

☆当ブログも映画以外の話題も多くなりましたので、別に映画のことや時事ネタのことを語るブログをはてなで立ち上げました。

右を向いても左を見ても〜関西映画草子〜

http://d.hatena.ne.jp/tetorapot/

題名は鶴田浩二の歌から取りました。草子というのは「絵入り日記」のことでこちらも写真を使おうと思います。こちらは従来の関西の映画事情とか映画ネタとか書いていきます。あと時事ネタとか野球ネタとかも。

☆こちらでは週一本ほどの映画の感想(ペースは大分狂ってますけど)と短評(これも大分にたまってる)を中心に更新していくつもりです。映画草子共々、ごひいき願います。
☆ブッシュ当選。やっぱりなあ、という感じです。もっと戦争しよるんちゃうかという感じもしますが、二期目は人気取りの必要がないので戦争はないと思います。現にイラクからはもう手引きたがってるしね。冷たい言い方をするとあの戦争の功罪については後世の人が判断するということですな。閣僚ではライス、パウエルが辞任でネオコンの代表のウォルフィッツとラムズフェルドは留任だとか。。やっぱ戦争しそうだな。

☆アラファト死亡。晩年はハマスに鼻面引きずりまわされていいところなかったけど、影響は大きいだろう。日本ではシャロンとの比較でこの人はいいイメージがあるが、この男の指導力のなさが混乱を招いてるという側面もあり、事情通によるとシャロンは右派の中でも穏健派で閣僚の中にはアラブ全体をイスラエルにしようぜと発言する奴とかもいるらしい。アラブ全体がイスラエルになれば、それはそれで凄いことで一度試してみたいような気もするが本当にやったら一億人は死ぬな。何にせよ、アラブ問題はアラブ=善、ユダヤ=ビッチのような簡単な構図ではないのだ。

☆11月3日。イベンツの搬入の手伝いで休日出勤。めちゃくちゃいい天気でこの天気が先週の土曜日だったらなあ、と思う。だらだらと続いたが4時ごろ、やっと終わってシネ・ヌーヴォに中島貞夫の映画を見に行く。休日のシネヌ-ヴォは満員なことが多かったが6時50分からの「くの一忍法」は大入り満員である。この前が「にっぽん69’セックス猟奇地帯」で大阪の皆様は本当にスケベですな。「くの一忍法」は中島貞夫のデビュー作で脚本は盟友の倉本聰。デビュー作とは思えないほどのテンポよい演出とユーモアでうならせてくれる。小沢昭一、山城新伍、待田京介と曲者を使いながらも悪乗りすることなく、エロを交えながら笑いどころもふんだんにつかって(忍法、露がらし!)飽きさせることなく見せてくれる。脱ぎはなかったが野川由美子が大変に美しい。原作は山田風太郎。変な小説ばっか書いてるな。続けてレイトショー。ATGで撮った「鉄砲玉の美学」。ヤクザ映画で使い捨てにされている鉄砲玉の生き様を描いた作品で渡瀬恒彦が威勢良く若いヤクザを演じている。若者のうっぷんをうまく描いている。やたらにものを食うシーンが出てくるのが印象的だった。人間ってそんなにあっさりしたもんじゃなくて、もっとややこしくて、しぶといもんだ。中島貞夫の哲学が押し込められたような作品。

☆11月6日。私のTOHOシネマズ高槻にて「血と骨」「オールド・ボーイ」の連続鑑賞。激しく疲れるが見応えのある作品であった。「血と骨」はやっぱたけしの存在感が大きい。もっと若い役者を使うべきだったという意見もあるが、この底がしれない主人公はたけしじゃないと体現できないと思うし、また40歳過ぎの役者で演じきれる人がいるとは思えない。昔なら三国連太郎、緒形拳、菅原文太がやってたような感じで松田優作が生きてたら、嬉々として演じただろう。松田優作の死は本当に惜しかった。監督は崔洋一、脚本は鄭義信、原作は梁石日と「月はどっちにでている」以来の組み合わせで金俊平という男の生涯を描くだけでなく、彼を通しての昭和史をきっちりと築いている、稀に見る硬派な作品である。つまらぬ茶々を入れることなく、腹くくって見るべき作品。「オールド・ボーイ」はカンヌでグランプリを取った韓国映画。今年の韓国映画って本当に凄い。韓流なる韓国ドラマのブームに乗ろうとは思わんが映画のレベルは年々上がってる。今年はベストテンに韓国映画が何個かランクインすると思う。本作もその作品の一つ。後半の謎解きは見るのがつらいが前半の前のめりに突っ込んでいくようなテンポのよさは非凡。

☆11月7日。MOVIX京都にてティム・バートンの「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」を見る。いいねえ、こういった楽しいミュージカルは。こういう映画は久しぶり。夕方にTOHOシネマズ高槻にて「笑の大学」。三谷幸喜の傑作舞台劇を映画化。私はこれの舞台版をテレビで見てて、感激した口なので映画化は半分楽しみで半分不安であったが、大変よく仕上がっていた。監督は三谷幸喜脚本のドラマを撮っていた星護。「僕が生きる道」は結構よかった。舞台劇の雰囲気をうまく映画化したと思う。役所広司と稲垣吾郎が出ずっぱりで稲垣の演技が心配だったがこれが案外、ナチュラルでよかったのだ。役所広司の緩急つけた演技は相変わらず見事。久しぶりに見たような感じがする。「ドッペルゲンガー」以来か。2時間は少し長すぎたと思うが最後まで飽きることなく引っ張る演出のテンポは見事。

☆明日は中島貞夫の映画を見に行きます。全然見に行けへんかった。
☆祝50000HIT。皆様、ありがとうございました。今日でここにブログを持って2年になります。2年に5万ということは1年に25000ヒット、ということは一ヶ月2000HITですか。。。まあもっとヒットしておられる方もいるわけでたいした数字ではないのかもしれませんが、私は素直に嬉しいです。

☆もともと私は文章が書くのが苦手で特に何かの感想文というのは書いてて楽しいと思ったことがありませんでした。前に運営していたサイトでも映画のことを扱っていましたが、書くのがしんどくてすぐに辞めてしまいました。今も映画の感想を書くのには大層時間がかかっています。たまに書く、べらんめえな流し文章の方は楽に書けますけどね。

☆正直に書くと映画を見る時間と同じ時間かかってます。当初は1000字以内の短文でこういう感じで行こうと思ってたんですが、いつのまにか長文化していき、今では2000〜2500字となっています。ネットやパンフ、場合によってはその監督が過去に撮った作品やインタビュー、関連本を読んでから書くこともあるのでおそろしく時間がかかることもあります。「血槍富士」「忍者狩り」は実は半分ほど書いていたのですが、3時間以上かけても後が続かずに諦めてしまいました。おそろしく文章の進みが遅いのです。

☆そもそも、映画の感想を書き溜めていこうと思ったきっかけは私が敬愛する日垣隆氏が学問のアウトプットの重要性について書いていたものを読んだからです。インプットというのはネットや本から情報を得ること。学ぶ、ということは普通、インプットをさします。それに対して、アウトプットというのは自分が得た知識をどのようにして人に伝えるかです。賢明なる諸兄諸姉ならば、試験勉強の際に勉強が遅れている友人に教えてあげた経験があると思います。人に物を伝えるというのは実はとても難しい。しかも、相手がそれを知らない場合は余計に難しい。よっぽどうまく整理して伝えねばなりません。実はこの行為が何よりも勉強になっているのだ。思えば。成績のいい子はよく教えてくれる子でした。

☆映画の感想を書き出して映画の鑑賞方法は少し変わった。どんな感想を書こうかと考えながら、見ていることが多くなった。ただ単純に面白い!だのクールだ!だの言うのではなくて、どこがどうで面白く思えたかを文章に整理する癖がついたのだ。もちろん、感覚的に面白い!としか言いようのない映画もあるけど。2年やってわかったことは。。けなすよりも褒める方が難しい。

☆いつのころか、「日本映画専門サイト」なる看板を夢想権之助よろしく背負ってしまった。(洋画も2割ほど扱ってるので”ほぼ”とつけているけどね)今年は昨年よりも日本映画旧作を見る機会が増えてきた。旧作の方は滅法面白い。過去の方がレベルが高かったのは確かであるが、現在残る旧作はやはり当時のヒット作であるので、ある程度は当たり前なのである。深作欣二、黒澤明、山中貞雄、川島雄三は既に死んでしまったのだ。

☆つまらない作品ばかり愛想が尽きるがやはり新作にも目に向け、雨後の竹の子のようにぞくぞくと出てくる新人映画監督の作品も見ねばならない。それが同時代を生きる映画ファンとしての勤めなのだろう。日本映画はつとに「つまんなさそう」と思われる分野で実際につまらん映画ばかりなのだが、”玉石石石玉石石石”混合でたまに玉も混じっているのだ。それを少しでも見定めるために”玉石石石玉石石石”の戦場に旅立つ。それが私の”業”だと勝手に思ってます。これからもその成果の紹介の場としてブログを活用していく次第。3年目も皆様、よろしくお願いします。
 今日、紹介するのは昨年公開の「蛇イチゴ」。監督は「誰も知らない」の是枝裕和のお弟子さんの西川美和。私より4つ上の美人のお姉さん(正直、クラクラときた)でこれが第一作目。毎年毎年、新しい映画監督が続々と出てきて、それなりに目を引く作品は多いのですが見て一ヵ月後には忘れてる作品が多い。「蛇イチゴ」は昨年のちょうど今ごろに見た映画で、見た当時は面白いなとは思ったがそう高くは買わなかった。ただ興味はあってもう一回見てみたいなと思ってて先日にスカパーで久しぶりに見返してみた。演出にたどたどしさは見えるが、面白い映画でなかなか考えさせられる映画であった。

 誰の目にも普通の家族に見える明智家。今日も父親の芳郎(平泉征)は、娘の倫子(つみきみほ)と出勤し、母親の章子(大谷直子)は家事に勤しんでいた。悩みらしい悩みと言えば、祖父の京蔵(笑福亭松之助)の痴呆であったが章子は文句一つ言うことなく、世話をしていた。明智家は今日も平和であった。が、そう思ってたのは倫子だけであった。倫子は教師であり、同僚の鎌田(手塚とおる)と付き合っていた。

 ある晩、倫子は鎌田を父母に紹介するために家に連れてきた。ぎこちなくも、お互いが気を使いながら、和気あいあいと会話を楽しむ家族たち。しかし、これが明智家の平和な日の最後であった。芳郎はリストラされたことを家族に告げることが出来ずに借金を繰り返し、今ではかつての部下(寺島進)に金をせびる有様。借金の額も相当額になっていた。倫子曰く「お母さんとおじいさんは心の底から信頼しあってるの」。そんなことがあるわけなく、章子は円形脱毛症になるほど介護に疲れ果てていた。芳郎が自分の父を見て「人間こうなったら終わりだな。。」と呟く。それを見て心の糸が切れた章子は発作に苦しむ祖父を見殺しにしてしまう。

 数日後、祖父の葬式会場で倫子は思いがけない再会を果たす。兄の周治(宮迫博之)だ。彼は手八丁口八丁の根っからの詐欺師で父から勘当されていた。倫子はかわいがってくれた祖父が死んだので葬式に来てくれたと思ったが、真相は違った。周治は香典泥棒の常習犯で今日も”仕事”の真っ最中だったのだ。

 出棺の列の前に男が立ちふさがった。芳郎の顔色が見る見るうちに変わる。借金取りだ。借金取りは家族や親族や友人の前で全てをぶちまけてしまった。おろおろする家族。その時に颯爽と表れたのが弁護士を装った周治だった。周治は借金取りをうまく丸め込んでしまう。。。周治が10年ぶりに家に帰ってきたのだ。

 大学に行ってると騙して学費を騙し取ったり、妹の下着を売り飛ばしたりなど家族すらも平気で騙す周治。父も母もそのことを充分知ってて勘当にしたのだが、彼はあっさりと帰って来てしまう。「お父さん、このままでは破産だよ。僕が何とかするからお父さん、何も持ってないことにしちゃう?」と家の権利書を預かってしまう。家を売り飛ばしてトンズラ。それがいつもの周治だ。しかし、父も母もコロリと騙されてしまう。「まさか家族まで騙さないだろう」それをやってきたのが周治なのに。鎌田に棄てられて一人冷静になった倫子は兄を家を守る為に兄にある質問をする。。
 
 この映画で一番の注目株はなんと言っても詐欺師の兄貴を演じた宮迫。宮迫の演技力は「岸和田少年愚連隊」の頃から有名で昨今でもドラマや映画に多く出ています。「十三階段」の死刑囚役なんかよかったな。あれを見た時にこいつは本当に演技うまいと思った。ただ今回の演技は今までの宮迫とは全然違う。演技をほとんどしてないのだ。ありあまる演技力をさらりと棄て去っている。パンフに本人のインタビューに載っています。

「最初に脚本を読ませていただいたときにまず感じたのが『これ、俺やん!』でした。芸人と詐欺師って、ほんまには紙一重でその差はたまたまでしかない。じゃあ、その差は何か。それってたぶん、たまたまでしかない。ぼくは人との出会いに助けられた。出会う人がプラスになった。でも周治出会った人がマイナスだったから、ああなってしまったというだけで。僕、詐欺師になっていたかもしれない自分を想像できますから。」

 悪人を装うことなく、善人を装うことも無く、ふと気づけば向こうのペースに丸め込まれて騙される。外から見れば、「何故そのような話に騙される?」と思うのだが本人にそう思わせないところが詐欺師のすごいところ。宮迫は自分がメシを食っている、芸人としての素質は裏返せば詐欺師の才能であることを見据えて宮迫はその世界で生きている。正直、これを読んだ時に背中に悪寒がはしった。周治はもう一人の宮迫なのだ。善人には見えないが悪人には見えない。そこから善人と思わせていくのだ。激昂することなく、薄笑いを浮かべながら。

 他は俗人っぷりを体現している平泉征、人生に疲れきっている大谷直子、一人背筋伸ばして頑張るつみきみほ、憎みきれないボケ爺様の笑福亭松之助、大阪人らしいドライな姿勢に徹した絵沢萠子と他のキャストもそれぞれに素晴らしい。大谷直子の円形脱毛症はマジにかみそりでジョリジョリとやっちゃったらしい。さすが、デビューの「肉弾」から脱ぎも辞さずの女優さんでございます。平泉征のあの台詞回しもいいなあ。

 派手さはないし、演出の工夫も効果が低いが脚本の組み立てがうまくて、ぐいぐい引き込まれていく。つみきみほの独特の喋り方も映画にテンポを出している。ラストカットの使い方もうまいしね。西川監督の次回作にも超期待だ。撮影は「殺し屋イチ」「ゲロッパ!」の山本英夫なんだね。光を絞ってくらーい感じにしてて画面が落ち着いていた。例えるなら背中に突きつけられた真綿にくるまれた匕首。ふっと気づけばぞっとくるような見事な佳作で、思わずうなってしまった。

監督、脚本:西川美和 プロデューサー:是枝裕和 撮影:山本英夫 美術:磯見俊裕キャスト:宮迫博之、つみきみほ、平泉征、大谷直子、絵沢萠子、手塚とおる、寺島進、菅原太吉、笑福亭松之助、蛍原徹

http://www.kore-eda.com/hebiichigo/
☆土曜日のイベンツ(しつこく、福本調)は結局、悪天候でございましたが盛況のうちに終わりました。降ったりやんだりで本降りになったのは終わってからということで私も完全に運に見放されたわけではありませんな。お客は晴天だった去年に比べると少なくはなりましたが、私にすれば上出来です。これもスタッフの皆様とステージ出演者のおかげさまでございます。皆様、よく働いてくださいました。口には出しませんが少し泣きますた。

☆日曜日はフラリと高槻で映画。「SAW」と「隠し剣 鬼の爪」という何の関連性もない組み合わせだ。「SAW」は金はないけど、アイディアだけはあるで、という心意気で作られたホラーでカンヌで話題になった作品。

まりゅう氏が書かれているように
↓ ↓ ↓
http://diarynote.jp/d/13602/20041020.html

感想を書くとネタバレになりそうなんで多くは語らずですが、まあ見て損な作品ではないです。画面が暗いからビデオで見たら寝てしまう危険があるのでスクリーンで見るべきです。ファンタスティック映画祭で流されたバージョンはオリジナルバージョンで私が見たのはヤヴァイシーンがカットしてあるそうです。どこがカットになっているのか。充分に厭な作品なんだが。パンフにはストーリーがしっかり書いてあるので絶対に終わったあとに読むこと。まあパンフは見終わってから買うことを判断するものであると思いますが。2ちゃんねるのスレはネタバレしてるので見てはいけません。興味ある人は今から
車飛ばしてオールナイトででも見に行け、と。それぐらいに事前情報を仕入れずに見に行くと面白いです。

☆「隠し剣 鬼の爪」は今や日本の芸術映画を背負ってたった山田洋次監督の作品。彼の本領は喜劇映画にあって、ヒューマニズム映画は言わば余技であったのだがその余技に求めるものが深ければ氏もこんな映画撮らねばならないのだろう。80歳を過ぎてもなお、実験作に嬉々と取り組んでいる市川昆監督や死ぬまでゴンタ(不良)な清順のじい様に比べるとやや気の毒な感じもする。山田監督の初期の、舌がしびれるようなコメディが好きだった私は少し残念である。映画は「たそがれ清兵衛」に似た雰囲気で年寄りからヤング(死語)まで楽しめる作品になっていて、ヒットはするだろうと思う。「ザッツ日本映画」という感じでよく出来ている。ただ映画の内容を語りすぎるのは悪い癖だぜ。パンフのインタビューなんかみってもなくてねえ。映画見りゃわかることをわざわざ説明しすぎるなんてどうも粋じゃねえや。

☆ふと気が付けば心斎橋のシネマ・ドゥが閉館に。最後に見たのは今年の3月7日に見た油断大敵か。ここも一年に一回も二回行く映画館だったねえ。ここでしかやらない作品なら見に行ってたけど他で見れる映画なら、行かなかったしね。二人がけの椅子しかない小さな劇場で一人の私には行きにくかったし、客席に鏡がついてたのもなあ。。私は夏目漱石が鏡を嫌いな理由と同じで鏡があるところは苦手なのだ。難波の千日会館もポルノ映画館になったし、ここも無くなったし、ますます心斎橋・難波に行く予定がなくなるねえ。

☆風邪を引き込んだようで多分、明日は休むと思います。
☆明日からシネ・ヌーヴォにて「中島貞夫 遊撃の美学」がスタート。短期間ですので、お見逃し無きよう。私のお薦めとしてはやはり「にっぽん69’セックス猟奇地帯」「893愚連隊」「木枯し紋次郎 かかわりござんせん」「日本の首領」あたりがお薦めですが、絶対に見ておくべきは「脱獄広島殺人囚」と蓮實重彦絶賛の「狂った野獣」でございますな!日本にもこんな映画があったことに刮目(かつもく)していただきたいのです。絶対に損はさせませぬ。今月忙しく、3日も出勤せねばならないのですが「狂った野獣」「脱獄広島殺人囚」「くの一忍法」「鉄砲玉の美学」「真田雪村の謀略」「背降り物語」あたりは見ようと思ってます。ああ、期間が短すぎるがな。東京で大ヒットしたんだから、もっと広げてくれへんかな。中島貞夫の映画って本当にDVD化してないから、映画館で見るしかないんだよう

http://terra.zone.ne.jp/cinenouveau/nakajima/nakajima_suke.htm

☆香田君が今どうなってるのか。風船おじさんの行方も気になるところだが。如何に彼がアホでマヌケだったとしてもだ、やはり殺すのには忍びないと思うし、解放を訴える家族や行政に対して「税金の無駄使い」だの「アホは殺されて当然」と非難する人たちはさぞ立派で高潔に人類に対して真摯に向き合い、貢献されているのですねえと思う。んなわけない。ただのアホである。母親が殺されるかもしれない息子に涙を流すのは当たり前だし、行政が在留邦人の保護に力を尽くすのは当たり前のことである。如何にアホだったとしてもだ。自分の身に触れることでも公的な視点を持たねばならないほど、いつから人間はえらくなったのだ。

☆実は私の本業はイベンツ(福本伸行風)屋で明日が本番だったりするのだ。イベンツの出来は90%は天気だということを死ぬほど思い知るだろう。(明日は降水確率70%)私の3ヶ月は何だったのか。。人類が万物の霊長と威張っても天気にはかなわない。そう、ナベツネでも武富士の会長でも天気にはかなわないのだ。すげえぞ、大自然。

☆最近の更新がたるんでるのは明日のイベンツのせいです。頼む、降らんでくれ。
☆今日は午前中、半休を取りました。忙しいので休めるような身分でないのですが、元々体調を崩してたのが昨日の水泳が駄目だったかして、朝はとても起きることができませんでした。普段の稼働能力が低いので出勤してもたいして仕事すすまんやろうなあ、と思いながらも昼から出勤しました。が、そんな時にかぎって、さくさくと仕事が進むもんなんである。この調子を持続させて作り出していた「京都映画祭まとめサイト」もあっさりと完成してしまった。ほとんどアクセスがない本サイトですがたまには見ていただけると幸いです。写真入りで少し重いですが映画祭に参加されていない方にはその雰囲気を味わっていただこうと参加された方にはまた思い出していただこうと文章と写真で紹介させていただきました。ぜひ見てください。
↓ ↓ ↓
http://homepage3.nifty.com/tetorapot/kyotoeigasai_1.htm

写真ボケボケやな。。少しは練習しなきゃ。。

☆相互リンク先のtkrさんが東京国際映画祭のレビューを行なっておられますが、大変に面白いです。映画祭特有の熱気が伝わってきます。東京国際映画祭、東京ファンタはゆうばりと並んで一度行ってみたい映画祭です。職場変わったらなあ、行けるかもしんない。

http://diarynote.jp/d/29346

☆映画祭に関するサイトをもう一つ。湯布院映画祭の詳細なレポートを挙げているおたべさんのサイトも紹介しておきます。

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/fiesta/friends/cinema/movei.html

☆いよいよもってひでえ状態になってきた新潟県。昨日も書いたが地震の恐怖で衰弱して亡くなる人々の訃報が続いている。体育館に避難している人も10万人以上になったようだし。時が過ぎるに連れて深刻になっていく被害状況。これは阪神大震災以上に復興に手間がかかりそうだぞ。地方行政の腕の見せ所である。えさを与えてくれるヒヨドリのようにピーピー鳴くのではなくて工夫を凝らして素敵な地域を作ってほしい。まだ時期がアレなんで詳細は書かないが神戸市はうまくやったと思う。(神戸空港は別)
☆まずはやはり新潟の地震。新潟に知り合いはいないので、生な情報を得ることはできないが、その怖さの想像は容易だ。わずかな時間に震度6が三回である。想像するだに恐怖だ。気が狂いそうになる。私の住む京都も常に地震が来ると言われている地域である。人事ではない。しばらくは大変だと思うが、強く生き延びてほしいと思う。行政職員も復旧に向けてフル活動であろう。ご苦労なことである。恐怖のために室内で暮らすことができずに屋外で衰弱して亡くなる方が多いと聞く。すさまじく、胸が痛む。台風での死者も80名以上になったんでしょ?やっぱり自然には誰も勝てねえな。

☆「できちゃった結婚」であるが最近は「おめでた婚」と呼ぶらしい。呼び方を変えたところでどうってこともないと思うが。昔の「どれあい」に比べたらいいとは思うが。冠婚業についてなくてよかった。なんか肩凝りそうやしな、その商売。

☆結局、西武の優勝。終わってみると西武の隙を中日がついて3勝した感じで実力ははっきり決まってたような気がする。中日は日本シリーズに勝てないな。とうとう一回も日本一になれなかった近鉄の二の舞か?50年前って最も遠ざかってるとちゃうか?

☆先週末は映画を見ることができなかったので、なんか休んだ感じがせん。

☆スカパーで「スーパージャアンツ」シリーズ(新東宝製作の宇津井健主演のヒーロー物。宇津井健はその作品について語ろうとしない。監督はナウなヤングにモテモテで今一番ウェーブに乗ってる石井輝男)を見て勝手にクリストファー・リーブを追悼する。。やる気ねえな、おまえ。

☆スカパーで西川美和監督の「蛇イチゴ」を見る。監督の顔(かんばせ)の美しさに息を呑む。2ちゃんで美人だ、美人だと騒がれてたが本当に美人だわ。。大塚寧々を少しふっくらした感じで非常にいい。あ、映画も面白いですよ。。付け加えみたいに言うな。

☆明日で本サイト「キネマの星座」(http://homepage3.nifty.com/tetorapot/)が二周年です。このブログの二周年はもう少し先です。
☆まずはこの話題

http://www.zakzak.co.jp/gei/2004_10/g2004102101.html

ひ そ か に ふ ぁ ん で す た。

タイムショック見てたんです。セブンイレブンのCMもみてました。

彼女が出てた「6週間 プライベートモーメント」という映画まで見てました。わたし。知らんでしょ。京都映画祭でひっそりと上映されてたのを舞台挨拶付きのやつを見に行ったんです。

読売の控えの嫁はんかよ。。。

>新山の妊娠はなく、現在は別々に暮らしているという。

あの。。。妊娠して結婚が普通なのでつか?最近は。

レアケースでつか?

宇多田も結婚する時にそんなことも言ってたし。

☆もういっちょ

http://www.zakzak.co.jp/gei/2004_10/g2004102102.html

こっちは結婚の王道でございますね。妊娠→結婚

たけしの娘って一時期、ロッテのCMとかやってましたね。太ってたところが愛らしくて私は結構好きでしたが。

多分、二年後にはSAYAKAもこのパターンで結婚で「松田聖子に初孫!」が見出しですね。

☆昨日の台風はえぐかった。直撃時はたいしたことがなかったのだが、吹き戻しの際の風がきつく、家がみしみし言ってた。もう10月も終わりなんだから、台風くんなよ。空気嫁。なんかまだ蚊までとんでるし。

☆情報誌だが、私はぴあを買っている。映画情報がやはり一番多いところにあるが、大きな理由は角川歩き人や新潮一週間に比べて、コンパクトで持ち歩きしやすかったところにあった。

が、モデルチェンジとやらで同じ大きさ(B5→A4)に

http://www.pia.co.jp/pia/saisin/2004/saisin_041021.html

ヴォケがっ!!!読みやすくって俺は老眼にはまだ早いわ!老眼鏡かけんと見えない奴を読者の対象にしとるんか?

今からでも遅くない。B5の大きさに戻したまえ!

しかし内容は悪くないんで、買い続けるやろうな。。

「映画満足度ランキング」って関西版には載ってないのはやはり不評だったからだろうか?私も聞かれたことがあったが、あれは確かにくだらん。

☆最後に

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041021-00000227-jij-soci

俺には関係の無い話だ。
 今日、紹介するのは「ガキ帝国」。大阪でポルノを作りながら、牙を研いでいた若き井筒和幸がぷがじゃ(プレイガイドジャーナルという大阪のタウン誌の通称。中島らももコピーライター時代に連載していた)とATGから集めた1000万円と気合で1981年に撮った痛快傑作。今でこそ井筒和幸と言えば、誰でも知ってる有名人ですが、当時の井筒は全くの新人。

 「にっぽん脚本家クロニクル」という大変分厚い本に「ガキ帝国」の脚本を書いた西岡琢也のインタビューが載っています。当時の井筒は自主製作でポルノを作っていた。当時、自主制作はブームで関西でも大森一樹という存在があったわけですが、映画好きの学生が作るのとは違い、井筒の面白いところは映画で商売をしようとしてたところであったと西岡は語っています。とにかく、型破りな男だったわけです。

 「ガキ帝国」はこの年のキネマ旬報7位と高い評価を受けます。関西のベテラン映画評論家だった滝沢一が2位に挙げています。他に山根貞男、浅野潜、川本三郎、佐藤忠男(!)、品田雄吉と様々な映画評論家が評価をしています。あ、もちろん松田政男も入れています。井筒は一気にスターダムに駆け上がり、1985年に撮った角川映画「二代目はクリスチャン」でその名声を確かなものにします。しかし、その名声をその後に棄ててしまうのもこの人なのだ。しばらくの迷走を経て「岸和田少年愚連隊」で帰ってきます。

 1967年の万博を間近に控えた大阪。 少年院から出てきたリュウ(島田紳助)はツレのケン(趙方豪)とチャボ(松本竜介)と喫茶店で久しぶりのあんみつに舌鼓を打っていた。リュウが入院中に大阪の不良情勢はキタにクロとグリコ(名前が江崎だから)が率いる北神同盟、ミナミに服部(北野誠)率いるホープ会に分かれていた。ホープ会はタバコをホープしか吸わない。

 リュウの年少仲間の高(升毅)は北神同盟に入った。ヤクザの小野(上岡龍太郎)に気に入られた高は「明日のジョー」と呼ばれ、めきめきと力をつけていく。それは北神同盟がヤクザの下部組織に取り込まれていく過程でもあった。彼はやがてグリコとクロを叩きのめし、会長の座を奪った。

 リュウの実家の工場である鉄を盗みにくる在日朝鮮人の一団があった。リュウの父(夢路いとし)に「アパッチ」と名づけられた彼らはケンの知り合いであった。ケンと高は共に在日であり、彼らはみな、顔見知りであった。ある日、「アパッチ」の一人がホープ会の連中に改造銃で殺された。怒ったケンは服部を襲撃して、大怪我を負わせる。会長に引き続き、北神同盟に副会長のポパイ(上野淳)までやられてしまったホープ会はリュウとチャボを会長にした「ピース会」(今度はピースしか吸わない)を結成する。徒党を組むのは嫌がったケンは二人と距離をおき、音楽にのめりこんでいった。一方、ヤクザの下部組織として女の調達をやっていた北神同盟はますます巨大化。ピース会との激突は時間の問題であった。。

 1000万映画というのが当時のATG映画のウリでしたが、本当に1000万円で映画を作るというのは極めて難しかったそうです。西岡琢也によると紳助と竜介のギャラが10万で上岡龍太郎は車代、他の出演者は日給800円。交通費はもちろんなし。吉本の支援もあったそうですが、これは関西人の「おもろいからやったろうや」という心意気でできた映画です。木下ほうか、徳井優、國村準と今や彼ら抜きに日本映画は語れないというまでになった名優もこの作品でデビューしています。当時、アングラ劇団にいた大杉漣も劇場映画のデビューはこの作品。自著によると切れ端のフィルムをつなげての撮影で「フィルムがないんでリテイクなしでお願いします。NGの場合はあなたの出演シーン削りますから」と言われて必死に長い台詞を覚えたらしい。

 主人公は紳助、竜介なんだが井筒の思いはケンに入っている。徒党を組まずに自由に生きることを何よりも大事にしている。彼は朝鮮人なのだが、仲間から距離をおいているという設定も面白い。当時、横山やすしが自著の中で朝鮮人の蔑称を使ったことで抗議を受けて出版差し止めになるなど、タブーだった在日朝鮮人問題に切り込んだ視点も斬新だと思う。実際、クレームもついたそうですがキチンと説明して突っぱねたようです。今でこそ、「GO」みたいな映画もありますが一昔前はそうした問題がタブーだった頃があった。それにあえて挑んだところも凄い。

 映画全体にみなぎってるパワーが物凄い。登場人物がみな、ギラギラしててまぶしいぐらい。喧嘩のシーンで本気で殴ってるし、上岡龍太郎も蹴りをマジに入れていた。趙方豪が特によかったなあ。知り合いの女の子がポルノ映画に出ているのを見て「なつかしなってなあ。。何回もみてしもたわ」と呟くシーンとかボコボコにされたあとに「やっぱミナミってええなあ。。」と顔を腫れさせながらも嬉しそうに語るシーンなんかが実に良かった。早世が惜しまれる。

 井筒の映画は台詞が実に面白いのだがこの映画でも漫才みたいな掛け合いが面白い。「しばきハンダづけじゃ!」とか、グリコ、ポパイ、ホープ会などのネーミングもとっても楽しい。スマートには程遠く、生身をぶつけるような、とっても関西らしい映画。これがDVDで見れる、今の時代って凄い。

おまけ
同じ年、井筒は趙方豪を主演にして「ガキ帝国 悪たれ戦争」という映画を作りましたがビデオにもなっていませんし、リバイバル上映もほとんどされていない、幻の映画になっています。数年前に趙方豪の追悼で久しぶりに上映されましたが、大入り満員になったようです。真相は舞台がモスバーガーになってたらしいですが、店を壊してしまうというストーリーにクレームがついたことが原因みたいです。井筒もあっさり引き下がってるところから見てもあんまりたいしたことない作品なのかも。

監督、原案: 井筒和幸 脚本、助監督:西岡琢也 撮影:牧逸郎、プロデューサー: 林信夫、佐々木史朗 企画:多賀祥介 音楽:山本公成
出演:島田紳助、松本竜介、趙方豪、升毅、玉野井徹、中浩二、永田憲一、篠田純、山本孝史、藤田佳昭、北野誠、上野淳、けいすけ、名村昌晃、米村嘉洋、紗貴めぐみ、雅薇、森下裕巳子、渡辺とく子、平川幸雄、大杉漣、木下ほうか、徳井優、國村準、夢路いとし、上岡龍太郎 
☆今日の日本シリーズでトムクルーズの始球式があった。数日前にスポーツ新聞で見たばかりで、ほんまかいなと思ったが本当だった。やはり大混乱になったんだろうか。なんか急に決まったという感じで本当に急なことだったのか、それかとっくに決まってたが大騒ぎになるのでわざと伏せていたか。何にせよ、数年前のパリーグの開幕で椎名へきるが始球式をやるというので声優オタが押しかけて、満員になったのはいいが声優オタってのはプロ野球なんか大嫌いだし(プロ野球の延長で深夜にやる声優のラジオは放送時間がバラバラになるので、声優オタクにとってプロ野球はゲイにとってのジェニファー・ロペスのような存在だ)始球式が終わるとぞろぞろ帰ってしまい、それにショックを受けたか、日ハムの先発だった西崎は散々に打ち込まれて、そのシーズンの途中に首を寝違えて自由契約にされてしまった、という痛ましい事件の繰り返しにはならなかったようでよかった。

☆その後、放送席に現れたトムであるが傍らに蝦蟇がえるがゲロゲロッ「マグノリア」の宣伝か?いやいや、さにあらず。そう、字幕界のナベ常こと戸田なっち様のありがたい通訳である。控えおろう!無礼なことを言うな。分をわきまえなきゃいかんよ。たかが映画ファンが!へへっ!三尺下がっての三拝九拝。しかしトムクルーズが来る時にいつもいるね、このおばちゃんは。マイク水野におけるぼんちゃんみたいな存在だな。デキてるかもだ。よく調査せにゃ。こいつはコトだ。最近、この人が字幕担当と聞くと見に行く意欲が1割カットで私の映画代節約に大変貢献してくれので、感謝ですな。コソるな!今度のトムの映画、吹替え版はないんだろうか。吹替えの方がマシだ。おったてろ!

☆私の数少ない楽しみの一つに「サウスパーク」がある。サッカーもテニスも見ない私がWOWOWを視聴する理由はほとんどこれだ。第6シーズンはそんなに面白くなかったので残念に思っていたが先日からスタートした第7シーズンの第一回「戦争反対の賛成なのだ!?」は大変面白く、これを見ると「チーム・アメリカ」で反戦派をからかってるのもよくわかる、傑作な番組であった。第二話の「世界征服クラブ」も楽しみであるなあ、と喜んでいたのだが、なんと

http://www.wowow.co.jp/drama_anime/southpark/episode.html より

※この時間は第7シリーズ第2話「世界征服クラブ」を放送する予定でしたが、都合により予定を変更し「スキーなんか大嫌い」を放送いたします。ご了承ください。


どういうことだ、こら。「スキーなんか大嫌い」って去年やってたじゃねえか。なんじゃい、こりゃ。

まあ、うすうす予感はしてましたけどね。
【第7シリーズ第2話】
世界征服クラブ
"KRAZY KRIPPLES"
10月14日(木) 深0:00
事故で半身不随になったクリストファー・リーヴが講演に来た。
死亡胎児の幹細胞で元気になったというのだ。町民の注目を集める彼に嫉妬した生まれつき障害者のジミーとティミーは、
障害者団体“クリップス”を結成する。しかし、デンバーには既に有名なギャング団“クリップス”があったのだ。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041011-00000347-reu-ent

むう・・・・・・・・・・あるんだな。。こんなことが

放送飛ばしたのバレバレじゃん!これで何話目だよ

☆ちなみに検索してたら悲しいニュースが

小沢茂弘氏死去 映画監督
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041014-00000065-kyt-l26

<訃報>三宅義行さん78歳=元映画カメラマン
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041016-00000052-mai-peo
 
小沢氏は東映で多くの仁侠映画を撮った監督で引退後は占い師になった方でした。彼の作品はまだ見たことがありませんが、いろんなところに名前が出てくる監督で興味はありました。これからビデオ見よう。

三宅氏は新藤兼人と組んでいたカメラマンで遺作は「ふくろう」となりました。

あまり人の死をとりあげるもんじゃないですな。

クリストファー・リーヴ、小沢茂弘、三宅義行氏の冥福をお祈りします。
 今日は実在の殺人者を描いた「モンスター」。久しぶりの洋画の紹介ですね。聖林を代表するとびきりの美人女優であるシャリーズ・セロンが体重を増やして眉毛を抜いて挑戦した意欲作です。彼女はこれでアカデミー主演女優賞、ゴールデン・グローブを始めとして海外の映画祭でも多くの賞を取りました。綺麗なブロンドに抜群のスタイルで「マイティ・ジョー」かなんかのインタビューを見た時にこれはまた綺麗な女優さんが出てきたもんやな、と感心したことを覚えています。彼女のフィルモグラフィを見てみて気がついたのは、彼女の出演映画ってほとんど見てなくて「セレブリティ」と「サイダーハウスルール」、あ、WOWOWで見たテレビ映画の「ハリウッド・コンフィデンシャル」ってのも見てるわ。まあ気になってた女優さんでしたが、彼女が出てるから見に行くかあ、という感じではなかったのです。

 正直、彼女が体重増やしてとか言うのにも、あんまり興味は覚えなかった。ニコール・キッドマンが「めぐり合う時間たち」で鼻に変なもの被せてブスを演じた(でもやっぱり綺麗だったのだ)ってのにも辟易しており、何で美人女優がわざわざ、ブスになってまで演じねばならんのだ。ブスでもいい演技をする女優、例えばメリル・ストリーブとか、メリル・ストリーブとかが可哀想やんけ、と思ったもんだが、この映画で彼女は本当に徹底して「30歳にしてシャブと荒れ果てた生活のためでボロボロになってしまい、(多分、口臭もどぶみたいな匂いがするのだろう)男にも相手にされない、惨めなおばはん」になっているのだ。シャワー浴びるシーンでもぶよぶよでかさかさの肌を披露してるしね。今までセクシーでゴージャスなブロンド女性がウリだった彼女がよくここまで思い切ったもんです。いや恐れ入りました。

 というのも彼女は南アフリカ出身で俗に言う「ホワイトトラッシュ」ではないのですが、父親がアルコール依存症だったそうです。彼女が15歳の時に父親が娘に向かって銃を乱射。殺されるとおもった母親が父親を射殺。母親は正当防衛で罪にならなかったようですが、彼女の心には深く残った事件だったようです。そうした思いがモンスターと恐れられたアイリーン・ウォーノスに思い入れになったのかもしれません。

 1986年のフロリダ。一人の女性がバーに入ってきた。肌はかさかさで髪はボロボロ。まだ若そうだが、女としての魅力は既になかった。彼女の名前はアイリーン・ウォーノス(シャリーズ・セロン)。貧しい家に生まれて不幸な生い立ちに育った彼女はヒッチハイクしながら体を売る、最低ランクの娼婦だった。強盗や偽造などで服役までしてきた彼女はまともな社会には相手にされず、男にも相手にされなくなっていた。人生に絶望した彼女は”仕事”で得た最後の金で酒を飲もうと店に入ってきたのだ。しかし、そこで彼女は”希望”をつかむのだ。

 アイリーンに一人の女性が声をかけてきた。同性愛者であるために故郷からつまはじきにされて孤独だったセルビー(クリスティーナ・リッチ)だった。彼女はアイリーンの全てを受け入れたのだ。今まで人に受け入れられたことがなかったアイリーンは彼女をいとおしく思う。金を手に入れたアイリーンは「1週間だけでいいんだ。お金は全部私が稼ぐ。もし帰りたくなったら帰りのバス代は私が出す」とセルビーを説得して二人は隣町のモーテルで暮らし始める。

 最初は幸せだった。しかし金が少なくなるに連れて、セルビーは「私の面倒を見て」と叫び始める。娼婦を二度とやらない、と誓ったアイリーンはカタギの仕事に就こうと就職活動を始める。しかし。。前科持ちの娼婦に世の中は冷たかった。職安で「工場勤務がいいところね」と冷たく職員にあしらわれた彼女はキレてしまう。「どうして娼婦をやらないのよ!」と叫ぶセルビーに彼女は打ち明けた。二人で暮らすためにいつものようにヒッチハイクで売春をしていたが、暴力的な客にひどい目に合わされて抵抗しているうちに殺してしまった。今、生活をしている金はその時の金だ。私はそれから怖くて娼婦ができなくなった、と。しかしセルビーはそれでも彼女に娼婦をして金を稼いでくれることを望んだ。アイリーンのなすべきことは一つ。ヒッチハイク殺人で金を奪うことだけだった。。

 シャリーズ・セロンの演技が素晴らしい。口を開けば汚い言葉しか吐かないビッチ女を見事に演じている。社会に無視されて生きてきた女性が最後につかんだ、生きる意欲。それを離そうとしない物凄い気迫と執念、そして悲しみがスクリーンからにじみ出ている。あ、あと見逃しがちだけど、からみの部分でおっぱいも見せてるぞ。ちゃんと見とけよ。

 セルビー(彼女のモデルとなったのはティリア・ムーア。アイリーンは実名になったが、ティリアは許可が下りなかったらしい)を演じたクリスティーナ・リッチも大変よかった。実際のティリアは肥満でブサイクだったらしいが、この映画での彼女は大変愛らしい。もう24歳にもなるんだが、少女のようにひ弱い女性を演じている。しかし決していい女性ではなくて小悪魔のように見えるのだ。ひ弱い女性の面と小悪魔の面をうまく出している。

 彼女にとって殺すことは正当化できるものであっても殺される側になってはたまったもんではない。確かに売春するような男はビッチかもしれないが、殺された男のために涙を流す者もいるのだ。ともすれば、犯罪者を一人称で描いた映画は犯罪者を正当化する映画が多い中、本作は彼女を哀れであるが悲劇の女としては描いていない。ただ一人の女性の生き様としてアイリーンを描いているのだ。彼女の生い立ちは描かずに断片的な情報で彼女の境遇を語っている。そこがやや、わかりにくいのが欠点か。

 監督はこれがデビューとなる、パティ・ジェンキンス。女性です。彼女はアイリーンの子供時代の親友にコンタクトを取り、死刑判決が決まっていた彼女に手紙を送ります。パティの思いを知ったアイリーンは処刑直前に今まで獄中より書いた手紙を読む許可を与えました。2002年10月9日。彼女は「神と共に戻ってくる」という言葉を残して処刑されました。

参考
http://profiler.hp.infoseek.co.jp/files.htm

※彼女の事件を題材にしたテレビドラマは92年にも作られていますし、彼女をモデルにしたリドリー・スコットの「テルマ&ルイーズ」もありますので映画化は始めてではありません。11月には「シリアル・キラー アイリーン『モンスター』と呼ばれた女」というDVDも発売されます。
☆治ったと思ったのはつかの間。どうやらスパイウェアとの戦いはまだまだ続きそうです。ソフトはあるんですが、チェックするたびに何か出てくる。恐ろしいもんだ。一時期、ビルダーが動かなくなりましたが再インストールの結果、動くようになりました。あの。。本体もちょこちょこいじっておりますので、また見てください。。結構、時間かかってるんで

☆木曜日。とっても仕事が忙しいのですが、えいやってなもんで仕事を整理して、年休を取って新京極映画祭に。京都映画祭で見損ねた「TURN OVER(ターンオーバー) 天使は自転車に乗って」と「マディソン郡の橋」を見てくる。

☆「ターンオーバー」の方は朝一番の上映なれど見事に大入り満員で年寄りから老若男女で賑わっておりました。当日は主演の栗塚旭さんの舞台挨拶がありました。監督は大映出身で「ザ・ハリウッド」を撮った野村惠一。映画に興味を持ち出した学生時代に「ザ・ハリウッド」を京都朝日シネマで見た記憶があります。自分が見慣れた鴨川の風景が嬉しかったなあ。先日亡くなられた東千代之介様(俺は東映のスターでこの人が一番好きだ!)も出られていました。当時は全然知りませんでしたが。今度の映画も京都を舞台にした自主映画で大変、お金を集めるのには苦労されたようです。ただ、映画の出来自体は言いたいことはわかるのですが、やや舌足らずで消化しきれてない感じ。池坊美佳はもう少しなんとかならなかったのか。いらいらいしたぞ。

☆次の「マディソン郡の橋」になるとあっという間に閑古鳥。イーストウッド先生の監督作品で95年のヒット作。映画ファン始めてもう6年にもなるのですが未見でした。未熟のそしりは甘んじて受けねばなりますまい。まだまだ見てない作品も多いんです。日本映画でも見てないのはいっぱいあります。専門外の洋画なんか全然です。てんで、青いです。ゴダールもオーソン・ウェルズも見ておりません。蓮實さんの本を半分も理解できません。で、今回の機会に見たわけですが、はっきり言うと全然つまらんかった。こんな地味臭い内容を2時間たらたらやられて、イーストウッド先生、どうしちゃったんでしょという感じです。雨の中にたたたずむ先生の姿、あれは笑うとこですか?

☆金曜日。始業よりも1時間早くも出勤してひたすら働く。今日は残業できないのだ。そんな日に限って忙しく、昼休み返上で働いて、なんとか5時に出てきました。今日は野暮用で。。なんてわけなく、もちろん、映画です。(たまにゃ、野暮用でもできればいいが)高槻松竹セントラルの女性映画傑作選がある。「女が階段を上る時」「流れる」(監督はどちらも成瀬)という高峰秀子の二本立てである。私は昔の女優で一番好きなのは高峰秀子である。あの突き放したような言い方が好きでたまらん。その次が香川京子、佐久間良子である。別に興味はないやろうけど。。

☆「女が階段を上る時」は昔に一度見ているのだが、すっかり忘れていた。高峰秀子演じるのはバーの雇われマダム。元々は業界の人ではなくてマネージャーの仲代達矢のスカウトでこの世界に入ってきた人。未亡人で死んだ主人に操を立てており、お客に体を許そうとしない。その堅さが魅力でもあり、欠点でもあるのだ。「流れる」の役は置き屋の女将で元芸者の山田五十鈴の長女役。家業を嫌がり、自立する道を探している。「女が・・」では着物姿が「流れる」では洋服姿もうっとりするほど美しく楽しき4時間でございました。ああ、古い映画はよいですな。癖になる。

☆土曜日。睡魔に襲われて昼近くまでとろとろと寝てしまう。昼からMOVIX京都にて「モンスター」を見る。シャリーズ・セロンがアカデミー主演女優賞を取った作品である。美人女優がブスメイクして挑んだ作品と聞いていたので正直、どうかなと思ってた作品ですが、素晴らしい作品だった。美人がウリの彼女があそこまで顔をゆがめて熱演しているだけでも頭がさがる。そしていい演技である。実在の殺人事件を題材にしており、ぐいぐい引き込むほどの説得力をもった映画で飽きることなく見てられた。

☆その後、京都文化博物館にて黒澤の「素晴らしき日曜日」。これは日曜日にやはり見たかった。昔に見たことがあったが、これもスクリーンで見たかったのだ。無名俳優ばかりのオールロケ、低予算で挑んだ意欲作で胸を打つものがあった。拍手を呼びかけるシーンは実験的で日本では全く駄目だったが、フランスでは拍手喝采が起こったらしい。

☆前田珈琲で休憩後に帰宅。家族に土産でも、と思ったがもうお金が本当に無い。給料日まで後少し。

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